ムッシュの読書紀行
人生は旅のようだと言いますが、旅が人生かも知れません。 ぼくは活字中毒気味でもあり、旅はまだまだ続くでしょう。
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また来る日まで
深夜になって雨が降りだした。

部屋の電灯を消して、それでも名残り惜しいのかDさんはしゃべる。
暗闇のなか、二人の声がしばらくさまよった。

一夜明けるとどんよりとした曇り空だった。
すこし昔のアルバムなど見たりしてすごす。

すると突然、稲光が走った。
しばらくして、ゴロゴロと雷鳴がとどろく。
やがてあたりは夜のように暗くなってきたかと思うと雨がどうと降ってきた。
立て続けに、海に島に閃光がきらめく。
と同時にすさまじい落雷音が聞こえた。
みんなは食堂に集まって、それでもこわごわと窓の外を見ていた。

4107雷

昨日はあんなにいい天気だったのに。
これでまた、この雨はぼくのせいになるのだろう。
(それはそれで別にかまわないけど…)

若い頃のことをみんな思いだしているようだった。
それは帰るときが近づくと胸に去来するもの。

4112三虎

「もう一泊しようかなあ」
「そうだよ泊まりなよ」と袖を引く。
「だけど学校にも行かないと…、やっぱり帰ろうかな」
「その分ここで勉強すればいいじゃない」
(そういえば、卒論持ち込んでやってた奴もいた)
(ぼくがからかうと鬼の形相で睨んだ、そうでしたよねC先輩)
「そうしようかな、でもな…」
などと、どこまでも優柔不断になってしまうのだった。

帰るところがある人を「旅人」とは呼ばない。
(帰るべき故郷や田舎がないことが口惜しかったろうか)
旅とは、「ひとり旅」を言うのだ。
(いっしょに仲良く旅行している連中が妬ましくみえるようだ)
観光地なんて行く気がしない。
(そうでしょう、でも観光の意味をご存知でしょうか)
などなどと、言ってましたね。

4118祭り船

それでもどこかを歩かずにはいられない。
なにかがぼくを旅へと駆り立てる。
でもねえ旦那、島はけっして逃げやしませんぜ。

4078かたつむり

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テーマ:真鍋島の愉快な仲間 - ジャンル:旅行

懐かしきミーティング
潮湯に浸かってほっとひと息つく。
海を隔てて悠然と佐柳島が横たわる。
いつもそんな島をながめてすごした。
なにかを考えるとき、すこし悩んだとき、なぜか悲しみを感じるときに。
たわいもない話をしながら、浜に並んで座って蒼い島影を見る。

4110佐柳島

そんなことを思ってたら、夕食のとき。
HRくん(もう46歳になるという)が小学生の頃のことだ。
ぼくといっしょに佐柳島へ行った話になった。
おたがいに記憶内容は微妙にちがうが、行ったことは確かだ。

だれも通らない道を手をつないで歩いた。
おおきな声で歌をうたいながら、であった。
M島も人は少ないが、さらに輪をかけて人さみしい島なのだった。

島の住人YMくんや、DSさんもやってきていっしょに酒をのんだ。

4087鰆

4091南蛮

4092蛸

興にのった東京のDさんは得意の技(?)を披露してくれた。
「ぎっちょんちょん踊り」と憶えている。
確か、伊豆のユースで習い覚えたと彼は言っていた。

♪高い山か~ら 谷底見れば
 ぎっちょんちょん ぎっちょんちょん
 瓜やなすび~の花盛り
 おやまたどっこいどっこいどっこい よ~いとな
 ぎっちょんちょん ぎっちょんちょん

鼻濁音の歌声とともに、からだをくねらせるのだ。
指先から足の先まで神経がいきとどいている。
爆笑、爆笑、また爆笑の宴である。

先輩Dさんへの返礼として、ぼくも「ロックマイソウル」をやった。
大学一年生、はじめて行った北海道札幌の宮が丘ユースで覚えてきたものだ。
すこし不安だったのだが、歌いだすとメロディが自然に口をついてでた。

懐かしいユースのミーティング風景が一瞬よみがえった。
台所の扉の陰で、楽しそうに口ずさんでいるおばさんが見える。

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懐かしき人
今年がM島のおじさんが亡くなって三周忌の年になる。
東京のDさんが久しぶりに四国のMくん宅にやってくると聞いた。
ご無沙汰してる島へも行ってみるという。
じゃあ、墓参りも兼ねていっしょに行こうじゃないかと相談がまとまった。

時間の都合がつく友人八名が笠岡の港に集まった。
(正確には、紡績工場跡地のスーパーでだ)

長らく会っていなかったDさんだが、元気そうに見えた。

チャーター船だと30分ぐらいで島に着く。
(はじめて島に渡ったときには木造船で二時間近くもかかった)
島影のあいだを疾駆する船が白い波飛沫をあげる。
島の突端をカーブすると、向こうにログハウスが見えてくる。

4077笠岡

4111福原浜

HくんやMさんの笑顔が迎えてくれる。
ふたりの娘も元気いっぱいだ。

しばらく休んで(なんだか疲れたのだ)、いざ墓参りへ出発。
島の細い道を歩いているとおじさんやおばさんの声が聞こえてくるようだ。

4079真鍋島

「よう来たな」
「まあ、いらっしゃい」

たまには台所で、
「いっぱい、やらんか」
とコップ酒をすすめてくれた。

「君はこの島へ、なにをしに来るんだ」と詰問されたこともあった。
(なにをって、そんなこと分からんから来るのに)
(分かってりゃあ苦労しねえよ、と心のなかで毒づいた)

いっしょに並んで夕焼けを見ていたこともあった。
雲の縁が金色に輝く様を見て、おじさんは言った。
「そごいのう」

4084本浦

つい最近のことのように思えた。

4113汀

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長月に読む
秋は夜長になりぬる、こんなところから夜長月の異名もある長月になったという。
月はおおむね夜に眺めることが多く、秋にかけては空気もいちだんと澄んでくるようだ。
青白い冴えた光りを放つ月は数々の寓話をも生んできたことだろう。
人類は月の裏側をも見たいと望み、そのことにも成功した。
しかしそのことによって、逆に失うこともあるというパラドクスが夜空にうかぶ。
知ることによってロマンスの輝きが消えることも、またよくあることである。

「多重人格殺人者」 上巻・下巻 ジェイムズ・パタースン 新潮文庫 ★★★★
名門私立小学校に通う財務長官の息子マイクル・ゴールドバーグ。
とその仲良しの有名女優の娘マギー・ローズが算数の教師に誘拐される。
犯人はわかっているが捕まえられないままに、身代金を要求される。
受け渡し人にクロス刑事が指名され、まんまと金だけを奪われてしまう。
そんな捜査でシークレット・サービスの要人警護課長、ジェジー・フラナガンと知りあう。
だが事件の真相は意外な結末へとすすんでゆく。
それに加えて、犯人は多重人格者だというのである。
ひとりの人間のなかにいる殺人者ゲイリー・ソーネジと善良な市民ゲイリー・マーフィ。
裁判での心神喪失状態の認定というのは、なかなかにむずかしい問題だ。

「トンデモ科学の世界」 竹内薫+茂木健一郎 徳間書店 ★★★
書名からはいかがわしい詐欺師の話かとも思うが、筆者を見ればそうではないと分かる。
もともと科学とは仮説の積み重ねであり、いつでも覆る可能性があるのはニュートンしかり。
ではあるが、科学的思考というものがあり、それを身につけるにこしたことはない。
だがこの態度がすべての科学者に具わっているかというと、はなはだこころもとない。
しかしながら、期待した(?)内容とはちがっており、いまひとつ興味がわかなかった。

「神経内科医の文学診断」 岩田誠 白水社 ★★★
西欧の小説を読んでいると、よくじっと相手の目を見たりする場面がでてくる。
『西欧人が相手の目を見て話すことの意味が少しわかったように思った。
ここに書かれているような瞳孔反応は、
相手の話の中身が嘘か本当かをたちどころに示してしまう可能性がある。
西欧人は、これを読みとるために会話相手の目を観察するのではないだろうか。
日本人同士だと、たとえ一メートルも離れていなくとも、
相手の瞳孔の大きさを確認することなどできはしない。
だから相手の目を見ていても、得られる情報が西欧人よりずっと少ない。
こんな理由で、西欧人は日本人の言明の中の
「本音と建て前」をよく読みとれないのではなかろうかとまで考えるのである。』
相手の目を見て話しなさい、というのは日本人にあっていないのかもしれない。
もちろん、瞳孔の開閉は発汗と同じように心理の変化を表わしてわしているのである。

テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌

継読は力なりしか
何事もこつこつと続けることが、成功への近道だと先人はいう。
読書もそのように永きに渡っておこなっていると、なにかいいことが起きるだろうか。
別になにかのために読んでいるのではない、そんなふうに思っている。
だから、どうにもならないのである(くどいが、どうかしたくて読んでいるのではない)。
ほんとうは自分ひとりで考えていればいいのだが、つい賢人はどう考えたのか。
そう思うと、ついつい本に手が伸びて気がつけば、ふむふむと読んでいたりする。

「幻想に生きる親子たち」 岸田秀 文藝春秋 ★★★★
『ある子を「あきっぽい」と判断する人というのは、たぶん、親か教師であろうが、
要するに、そこにあるのは、親か教師がずうっとつづけてやってもらいたい、
やらせたいと思うことを、その子がやらない、やり始めてもすぐやめるということでしかない。
性格判断には価値判断が伴っているとさっき言ったが、
「あきっぽい」というのは非難を含意している言葉であり、もし、親か教師が好ましくない、
やめさせたいと思っていることを、その子が始めてもすぐやめたのであれば、
「素直な」とか「あきらめがいい」とか「意志が強い」とか褒められたであろう。
「ねばり強い」に関しても同じことが言えるであろう。
親か教師が好ましいと思っていることを、ある子がやりつづければ、
その子は、「ねばり強い」のであって、それが好ましくないことであれば
「しつこい」とか「執念深い」とか「かたくなな」とか言われたであろう。』
この文章を読んでいて思ったが、主観と客観の区別もむずかしいし分かり難い。
客観とはなにか、客観の主体はなにか、などと考えるのである。
客観的に判断してというが、それは主観的な判断とどこがどう違うのか。
どう判断するのであれ、それはあくまでも主観ではないか。
客観とは神のことであるか、あるいはヒトには到達し得ない理想郷をいうのだろうか。

「14歳からの哲学」 池田晶子 トランスビュー ★★★★
副題に―考えるための教科書―とあるように中学生のために書かれたもの。
しかし、大人が読むのに十分耐えられる内容だと思う。
しばし立ち止まってこうしたことを考えるのも悪くはない。
『何であれ、何かを肯定したり否定したりできるいうことは、
それがそれであるということが認められているのでなければならないね。
そうでなければ、それについて議論することはできないからだ。
それがそれであることを認めるということが、あらゆる議論の前提なんだ。』
こういう基本的なことが理解できない、理解することを拒否(?)する人も多い。
なにを考えて生きるかはその人の自由なのではあるが、それではなあ、とは思う。
少年の気分で読んでいると、いろんなことを思いだしてくるのだった。

「B型陳情団」 奥田英朗 講談社 ★★★★
本を読んで笑うことなどあまりないのだが、ひさしぶりに腹の底から笑った。
他人を笑わせるのは好きだが、そのせいか逆に自分が笑うことは少ない。
つまり、ハードルが一般人に較べて高くなっているのかもしれない。
しかし本書はそれを軽く越えさせ、思わずなんども声に出して笑ってしまった。
『東名高速を走っていると、静岡あたりで大きな自由の女神を見つけることができる。
それを見たアメリカ人の翻訳家が訊いた。
「あれは何か」
「ラブホテル」私が答えた。
「つまり男と女がセックスをする場所か」
「もう少しオブラートに包めよ」
「じゃあ男女が愛を確認する場か」
「さすが翻訳家だ」
「なぜ自由の女神を建てる必要があるのか」
「ない。強いてあげるなら目立つから、アメリカ的だから、アメリカ的ということは格好いいから」
「もし東南アジアのどこかの国に、金閣寺を真似たラブホテルがあったら、君はどうする」
「笑う」
「じゃあおれも笑うぞ。ガハハハハハハ」』

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虫の音と読書
夜道を歩くと、虫の鳴き声が聴こえてくる季節がいつのまにかやってきた。
通り過ぎる家々の窓には、やわらかな明かりが灯っている。
あんなに暑かったときには気づかなかったのだが、いまは妙に目につくのだ。
秋の夜長を読書して過ごしているのだろうな、と勝手に想像するのである。
長編恋愛小説なのだろうか、辛口のエッセイなどもこころよく読めるだろう。
もうすこし寒くなってくればきっとミステリが似合う、そんな気がするのである。

「凶犯」 張平(ジャン・ピィン) 新風舎文庫 ★★★
張平は「いま中国で最も実力のあるリアリズム作家」と称される人気作家だとか。
であるから、これは空想の物語りではない実際にあったことである。
李狗子(リーゴウズ)は戦争で左足を失った傷痍軍人であり、英雄でもある。
いまは中国内陸部にある国有林のたったひとりの森林保護監視員である。
ところが、ここではあたりまえのように盗伐が行われそのせいで村も豊かだった。
代々の監視員はそれを見逃し、その代償に金品を受け取っていた。
ところが誇り高い軍人であった狗子はそんなことを許すわけにはいかない。
村にはここを牛耳る金龍(ジンロン)を筆頭とする孔(コン)四兄弟がいた。
しかるべくして、避け得ない対立から壮絶な殺し合いへと展開してゆく。
そのすさまじさは、本書を読んでいただければ分かるはずである。
中国は広大な国家であり、日本人の想像を絶するようなことが起こっている。

「わたしのおせっかい談義」 沢村貞子 光文社文庫 ★★★
ドラマなど見て、その芯の強そうなところが好きでファンになった。
本屋で文庫本を見つけて、以前は沢村さんのエッセイをよく読んだ。
読むとなぜか、弟の加東大介さんの姿が浮かんでくる。
映画「用心棒」での頭の足りない単純なヤクザ役がすばらしかった。
森繁の社長シリーズにでてくる中間管理職役とのギャップに驚いたものだ。
ほんとうの役者とはこういう人のことをいうのだなと、深く納得した。
すてきな人は日常のなにげないことに驚き、楽しみをみつけるものなのだ。
なんだかお茶を飲みながらいい話を聴いているような気分になれる。

「養老訓」 養老孟司 新潮社 ★★★
なかなか快調な養老先生の訓示(?)であります。
いっしょに暮らしていると、どうしても衝突することがあります。
喧嘩をする原因のひとつが、向かい合いすぎることだというのです。
『コスタリカに行ったときに面白いことに気がつきました。
レストランで食事する恋人同士や夫婦が、横に並んで食べていたのです。
彼らは「向かい合うとろくなことはない」と気がついているのではないでしょうか。
 もちろんお互いに違うものを見ながら、
それでもうまくやっていければ豊かといえば豊かでしょうが。
しかし並んで食うほうが感覚は似てくる気もします。
イタリアでも恋人同士ならば直角に並んで食べるそうです。』
これは我家ではすでに実践(?)していることであった。

テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌

読み痩せ体質
夏痩せとは、夏の暑さがひと段落着いた秋に、その疲れがでて痩せるのだそうだ。
しかし、高校時代の友人は夏になると体重が増え、冬になると体重が減少した。
ちょうど世間の云いとは正反対の現象が彼の身の上に起こっていた。
なぜだか彼はそのことがちょっと自慢なようで、ぼくは得意体質じゃないかと思った。
ぼくもそれと同じように夏には読書量が増えるのだが、秋になると減少するのだ。
彼とはちがって、寒くなってくれば炬燵で熱燗をいっぱいなどとなるからだろうか。

「反撃」(上)(下) リー・チャイルド 講談社文庫 ★★★
退役軍人のジャック・リーチャーが通りすがりの街角で、
ランドリーから出てきた杖をついた女性を手助けしようとして車に拉致される。
長い道中をへて、山中の隠れ家のようなところにやってくる。
彼女の父親は政府の軍幹部であり、大統領が彼女の名付け親でもあったのだ。
誘拐した彼らは、政府に対して独立と身代金を要求するのである。
ふたりを助け出そうとする軍とFBIであったが、常に彼らに先を越されてしまう。
これも割合よくあるパターンで、独立要求は建前、実はお金が本来の目的だったりする。
しかし、そのアクションや、スピード感はなかなかのもので楽しめました。

「対岸の家事」 南伸坊 日本経済新聞社 ★★★★
いままで対岸の火事とみなして家事にひょんなことから取り組んでみることになる。
連載の題材としての家事ではあったが、そこは凝り性の伸坊氏のことである。
ただで終わるわけもなく、闘志満々次々と難関(?)に挑戦していくのであった。
考えてみれば、男が料理、炊事、洗濯に向いていないというのはおかしい。
プロの料理人は男のほうが多いくらいだし、けっして彼らはなよなよしていない。
これはいってみれば、まあ時代のなかでたまたまそうなっていただけのこと。
生物学的な適性というようなものではない。
しかし例えば、確かに男の作る料理と女の料理は違うような気もするが。
なにはともあれ、やってみなくちゃ話にもなにもならない、これが伸坊の芯棒なのだ。
そこにはけっこう驚きと新たな視点を与えてくれる発見があるのも事実だ。

「笹まくら」 丸谷才一 新潮文庫 ★★★★
東京の私立大学の庶務課勤務の浜田庄吉は現在課長補佐だ。
その彼が二十年前には、杉浦健次として戦時下の全国を放浪していた。
二十歳の彼は徴兵忌避者として、世間を欺きながら生きてきたのだった。
題名の笹まくらは次なる和歌からとられている。
 これもまたかりそめ臥しのさゝ枕一夜の夢の契りばかりに
    『新訂俊成卿女家集』
芭蕉が旅寝に詠んだように、野に仮の宿を求めたのと同意なのである。
若い頃は反体制で生き抜いてきたような人でも、やがては体制に順応する。
そうなるのは世の中が全体として見えてきて、限界を感じてのことなんだという。
つまりは、体制を反体制が倒したしたとしても、反体制がこんどは体制になるだけ。
いわゆる庶民の意識、人生観が変化しないと世の中は変わらない。

テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌

旅の重さ
歩き疲れたあとは冷えたビールと海の幸などをいただく。
海辺が見える席で、光が変化するのを感じながら時間が過ぎてゆく。

4051花あかり

4056夜の渡船

翌日の朝食の席でのこと。
同宿した奈良の法隆寺に住むという若いカップルと話す。
昨日はふたりして自転車で今治までしまなみ海道を走ったらしい。

4059ブレックファスト

「自転車ですか、奥さんはだいじょうぶでしたか」
「ついてゆくのがやっとです」、と言って笑う。

「ぼくも若い頃、自転車で旅行したことがあるんですよ」
「百キロくらいなら、どうということはないですよね」
「自分でペースで走れるし、エコだし、また乗りたいなあ」

彼はレースにも出るという本格派のサイクリストだ。
でも、ふたりで走っている光景を想像すると微笑ましくなる。
仲良くこれからもいい旅をしてください。

潮風さんに教えてもらって、すこし驚いたことがある。
旅仲間では有名なMGのママさん、森岡まさ子さんが5月13日に亡くなった。
まだまだ元気で、あっちこっちと精力的に講演などででかけてられると聞いてたから。
きっと百歳までいくだろうな、などと噂していたのだが…。
ぼくもMGユースへ行ったことがあるし、そのときには会えなかったが、
M島にこられたときにおじさんと一緒に「潮騒」の間でお話をうかがったことがある。
元気で、明るい、信念をもったおばさんだなあという印象でしたね。
残念なことだが、これも人生の有様なのだ。
こころから、ご冥福をお祈りいたします。

4045夏の空

「潮風」さん、お世話になりました。
きっと、また来ると思います。
そのときは、よろしくお願いいたします。
どこかで偶然にも出会えたりしたら、それもまた最高ですがね。

帰りにちょっと高松に立ち寄って讃岐うどんを食べたり、
疲れからか列車のなかで眠ったり、
ビールを飲みながら、本を読んだり、
今回の出会いの感想を話し合ったり、
電車の窓から夕焼けを眺めながらも電車は走る。

4064讃岐うどん

こうして夏はゆっくりと幕をとじていく。
(まだ残暑厳しいですが、文章とはこういうものです(笑))

テーマ:旅先での風景 - ジャンル:旅行

猫町・尾道
朝早くに尾道駅に到着。
荷物を預かっていただこうと今夜の宿「B&B潮風」さんに電話を入れる。
こころよく了解いただいて、渡船で向島へと渡る(人は100円です)。

4005渡船

横手に中学校を見ながら歩いていると、誰かがこちらをのぞいているのが見えた。
「おはようございます、お世話になります」

4009潮風

なにゆえなのかは分からないのだが、宿は最初の印象でわかる。
玄関を入った瞬間に、ほぼすべてが感じとれるのである。
これは清潔だとかセンスがよさそう、というようなことではないのである。
それは住む人の感性・意識(だから、合う人と合わない人がいる)のようなものだろうか。

冷たいお茶をいただいて話していると、オーナーさんがニコニコしている。
その理由は、我らが700人目の宿泊者ということなのだった。
昨年6月オープン以来というから、なかなかの宿泊者ペースである。
手作りの案内地図をいただいて、尾道の町歩きへと出発です。

ぼくが若い頃、この地には「尾道友愛山荘」というユースホステルがあった。
瀬戸内の島と、この坂の町を行ったり来たりした。
島に飽きると、この寺の町に来て過ごし、島が恋しくなるとまた連絡船に乗った。
懐かしい潮のにおいがする尾道で、青春時代の一時期を過ごした。
海沿いにあった大衆食堂群でビールを飲んだ。
おおきな窓から、尾道水道をゆっくりと進む船を眺めていた。
いまはきれいに整備されて散歩道になっているのが、すこしもの哀しい。

海沿いからすぐに坂になる尾道には多いものが二つある。
まずは寺がある。
今回も千光寺、天寧寺、西國寺、西郷寺、浄土寺と歩いた。
加えて、港町ではいたるところで出会う猫たちである。

艮(うしとら)神社の前で暑さにからだを投げだしていた。
毛色がとてもやわらかで、もしやして帰国子女であろうか。
「眠くて眠くて、相手なんかできないよ」

4039艮神社

こちらは御袖天満宮への石段で寝転んでいた。
お腹をすかせた子猫だろうか、すこし痩せてもいた。
「写真撮ってないで、なにか食べるものをちょうだいニャー」

4042御袖天満宮

尾道の歓楽街「新開」に住む仲良しコンビ(?)、あるいはアウトサイダーか。
夕方になり暑さもやわらいできて、けだるさがつのってきていたのだろうか。
「なんだおまえたちは、余所者だな」、ちらっとだけこちらを見た。

4049新天地

萩原朔太郎に「猫町」という短編小説がある。
もうどんなストーリーだったかは忘れてしまった。
狭い路地から路地へと歩いていると、ここが猫町のようにも思えてくる。
猫たちが話しかけてくるような、不思議な感覚につつまれてしまうのである。

4043足跡

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広島へ
途中、相生から接続した満員電車を岡山で降りる。
(だが、イスパックのおかげで座っていられた)
しばしのコーヒータイムを過ごして、ふたたび列車に乗って西下する。
列車を選べば(そのためには余裕が必要だ)、空いた列車に乗ることができる。
のんびりとした時間を感じることができるのは、ビールのおかげだろう。

広島駅に着いて、平和公園までは三連結の市内電車を利用する。
乗降者がことのほか多いのは、料金が市内ならどこまで行っても150円だからか。

3985市内電車

ガタゴトとゆられながら街を走り、「原爆ドーム前」で降りる。
もう何度目になるのだろうか、いつきてもこの場所はこころに迫るものがある。

3986原爆ドーム

人類はどうして原爆という兵器を同じ人に対して使うことができたのだろうか。
いま、同じ人と書いたが、同じ人ではなかったようだ。
アメリカは、原爆を落とそうと考えたのは日本に対してだけであった。
決して、ドイツ、イタリアになどとは考えもしなかった。

同じ白人に投下はできないが、同じ人間に、にならなければなくならない。
また同じ人間にが、同じ動物に、生物に、というように変化することが必要だ。
なにとなにを同じと考えるのかは、恣意的な場合がある。
なにとなにが違うと考えるのも、文化的な制約を受けるものだ。
文化を宗教と変えても通じるところがあるのが、この問題の深さでもある。

さらに、これは一種の人体実験でもあった。
投下都市を、周囲を囲まれた地形(効果がはっきりわかる)から選定した。
それ以降、候補都市には空襲を加えなかった。
京都や新潟がその被害から逃れられたのは偶然のなせることだった。

3994原爆資料館

曇り空の下を原爆ドームの横を抜け、原爆資料館に向かう。
広島を訪れる外国人の数はけっして少なくはない。
資料館のなかも多くの国々の人々が熱心に展示を見学していた。
この惨状を見ることは生きるうえで大事なことだと思う。
こんなこともできるのがヒトという生き物だと知っていなくてはならない。
でなければ、そうはしないと意志表示することもできないのである。

いつのまにか、外は黒い雲が垂れ込め雨が降りだしていた。

3992広島の空

古い記憶をたどって、以前食べたことのある広島駅内のお好み焼き屋へ行く。
このフロアにある居並ぶ店をざっと見渡して、ここだという店に入る。
加えてこの「カープソース」が大躍進していた(「お多福ソース」あやうし?)。
うまいなあ、野菜のボリュームもたっぷりで、これだけでもう十分に満腹だ。
あ~失敗したなあ、もう酒を飲む気力がなくなってしまったのだ。

3996広島焼き

4002麗ちゃん

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青春18切符の旅
夏の終わりをどう過ごせばいいだろうか、と考えていると。
いちど私のルーツにつながっているらしい尾道に行ってみたいなどと言う。
しからば、青春18切符で出かけてみるか、ということになる。

3966青春18切符

切符は、ディスカウントショップで11111円で購入できた。
五日分あるので、往復につかって残り一日分は売ればいい。

結局電車に乗って切符を使用した区間は、
三田→尼崎→岡山→広島→福山(7980円)
尾道→岡山→高松→岡山→尼崎→三田(7520円)
普通に買うと、15500円×二人分=31000円かかる。

3976糸崎

残った一日分は買ったショップへ持って行き、2000円で売れた。
(もっと早い時期だと、一日分は2500円で買い戻しますとのこと)
(ネットで売ればもっと高く売れるかもしれないが、まあいいだろう)
ということで、要した金額は9111円ということになった。
(一日分は結局2278円だ)
で収支計算すると、31000円-9111円=-21889円ということになった。

しかし、そのために行かなくてもいい(?)場所まで足を伸ばしたきらいがある。
このあたりのことをどう考えるか感じるか、がなかなか難しいのである。
単純に、安くてよかったと思える人は幸せ(!)なのだ。
ほら、こんなところにも小さな幸せがあるんです(笑)。

この「青春18切符」は、ぼくが若い頃にすでにあった。
その内容(最初は一日切符が五枚あった)に変化はあるが、現在も続いている。
隠れたヒット商品(つまり、JRにとっては痛し痒し)でもあるらしい。

旅はその過程を愉しむ(もちろん苦しさもときにある)ものだ、という。
愉しめるには、おおらかなこころと鋭敏な神経が必要であるとも。
観じることができれば、どんなところでも魅力を発見できるものなのだ。
でないと、ああであったなら、こうならといらぬ不満がでてしまうやも知れぬ。

3974旅の友

とはいえ、旅することにはいつも不思議が、出会いが満ちている。

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プロフィール

ムッシュ

Author:ムッシュ
島を旅するときが楽しいですね。
遠くに眺めるのも好きです。
楽園なんてないんですけどね。

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