ムッシュの読書紀行
人生は旅のようだと言いますが、旅が人生かも知れません。 ぼくは活字中毒気味でもあり、旅はまだまだ続くでしょう。
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黙読の時代
中世のヨーロッパでは、本は声にだして読むものであったとなにかの本に書いてあったと思う。
日本でも江戸時代の映画やドラマで、武士の子が素読する場面がでてきたりする。
一般庶民のこどもたちも、寺子屋で声をあげて読む光景などがあるのを記憶している。
いっとき、声にだして読むことが推奨(?)されたりしたことがあった。
では黙読は声をまったくはっしてはいないのか、と考えてみるとそうともいえない。
じっと自己観察してみると、頭のなかで音のない声(!)が響いているのがわかるだろう。
外部への音声出力はないかもしれないが、たしかに音が声がしているのだ。
それを聴きながら、思考は連想はつづいていくのではないかと思う。
対話、会話のたぐいは決して自分ひとりだけだとできない、ということはないのである。

N3231養殖

「ブラウン神父の無心」 G・K・チェスタトン 南條竹則・坂本あおい訳 ちくま文庫 ★★★
推理小説の古典であり、シャーロック・ホームズと並び称されるブラウン神父の初登場作品である。
短編集でもあるのだが、はっきりいってどこがおもしろいのかわからなかった。
やはり時代的な問題があるのだろうかと思ったり、推理のすすめ方にすこしとまどってしまう。
書くことがないので、筆者チェスタトンを描く解説文中の逸話を紹介しておく。
ちなみにチェスタトンは巨漢で、身長193センチ、体重は130キロあったそうだ。
『痩身の菜食主義者ショーをチェスタトンが
「君を見たら、誰だって、イギリスは飢饉に襲われたと考えるぞ」とからかうと、ショーはこう答えた。
「君を見たら、誰だって、飢饉の原因が君だって考えるだろうね」』
蛇足ながらショーとは、ジョージ・バーナード・ショーのことであります。
こんな楽しい人物のようなので、もうすこし読んでみようと思います。

「脳はこんなに悩ましい」 池谷裕二・中村うさぎ 新潮社 ★★★★
池谷裕二さんの語り口がいい、と感じる。
好奇心が旺盛なわりには力んだところがないし、ああこういう人が研究者の理想だなとまで思う。
ややほめすぎかもしれないが、それくらいの人だというしかない。
研究することや考えることはこんなに楽しいのだと伝わってくる。
養老先生とはまたちがったタイプだが、述べておられることがよくわかる気がする(笑)。
『たしかに男性の方が、自分を客観視する能力が低いかもしれません。
女性はまず「化粧」という行為を日常的にしていますよね。
他人から見た私はどう見えるのか、あるいは、
他人からどう見られたいのかを、日常的に意識しています。』(池谷)
ありきたりの学者はこういうことが言えない、と思う。
『「腦はほかの臓器に比べて、多くのエネルギーを消費する」と揶揄されますが、
実は、効率そのものは決して悪くはない。
だって、脳には千億を超える細胞があるのに、わずか二十ワットの消費エネルギーで動くのですよ。
電気料金にしたら月額三百円(笑)。これは、一部のシナプスが優先して働くおかげなんです。
だからこそ、脳は電子コンピュータの何十分の一の消費電力で駆動できるのです。』(池谷)
きっちりと決まったプログラムで動くのではない脳って、ヒトってうまくできていると思います。
遺伝情報も関係性のなかで発現しながら成長していくんですから、すごいものです。
是非、池谷氏の本を読んでおおいにふむふむとうなっていただきたいものです。

「ビブリオバトル 本を知り人を知る書評ゲーム」 谷口忠大 文春新書 ★★★★
著者は、ビルリオは書籍を表すラテン語由来の接頭辞であり、バトルは戦いを意味する、という。
このビブリオバトルには公式ルールがあり、それは次の四つである。
1.発表参加者が読んで面白いと思った本を持って集まる。
2.順番に一人5分間で本を紹介する。
3.それぞれの発表の後に参加者全員でその発表に関するディスカッションを2~3分行う。
4.全ての発表が終了した後に「どの本が一番読みたくなったか?」を基準とした投票を参加者全員
 一票で行い、最多票を集めたものを『チャンプ本』とする。
こうした発想にいたるには、以下のような事情があったという。
勉強をかねた輪読会というようなものは大学のゼミやグループなどでよく行われている。
しかし、では何を読むのかが決められなければ輪読会をはじめることができない。
それにこのメンバーにとって良い本を見つけるということは、きわめてむずかしい。
それならば、みんなでその本を見つければいいじゃないかという発想の転換があったのだ。
輪読会の弊害は発表者以外が受け身になってしまうということにある。
では、参加者すべてが発表者になればいいし、一番になってやろうという目標もできる。
本もいやいや読んでいては(そんなやついないだろうが)身につかないことはだれもが知っている。
勉強もどうしたらやる気がでるか、この点にかかっていることが多い。
そうした観点からもこのビブリオバトルはよく考えられている、と思う。
本書のなかでよくでてくる「人を通して本を知る。本を通して人を知る」はなかなかいいと思う。
今後、教育現場や公共図書館、人が集まるイベントなどでもこの活動がひろまっていくだろう。

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別れは出会いの始めなりけり
人は人と出会うなり、という。
出会ってこそ人となりゆく、とも言えり。
ゆえに、別れることを恐れてはいけない。

ヒトの歴史において繰りかえされてきたことである。
いたずらに嘆いてばかりではつらくなるではないか。
別れることがあらたな出会いの必要条件でもある。

N3219カタツムリ

ならば、出会いは別れを内包しているのだろうか。
と問われれば、そうなのだというしかないのだ。
だが、なぜに別れを哀しむのだろう。

泣かないでほしい。
笑顔で別れよう。
泣くから哀しくなるのだ。
ヒトの生理・感情はそのようにできている。

N3216路傍のネコ

別れるときには、また出会うときのことを思えばいい。
出会う可能性は無限である。
あくまでも可能性の話だが。
もちろん忘れてはいないだろうが、不可能性も無限である。

どちらに転ぶかはだれにもわからない。
神にはわかるのではないかという人あらば、
神がそんな些細なことに関ずらわっているわけがないだろうと答えよう。
ということでその点については配慮する必要もなし。

さあ、どうなるかわからない未来へ向かってゆこう。
まあ、未来といえるものがあるのかどうかも知れないのだが。
(生きるとは、現在しかないのではないか)

N3222羅漢さん

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鈍川温泉にて
翌日はやはり雨がふりだしたが、予定通り「砥部焼祭り」へとむかう。
やはりこの時期雨が多いのだろうというと、ただちに否定されてしまった。
雨がわたしの行く先々についてまわるという不思議な因果関係があるのかもしれない。

かみさんは雨をものともせず、買い物に鋭意専心しているようだ。
これで精神的な安寧が得られるのならそれはそれでいいことである。

物質的なものを軽んじるということは考えものである。
肉体を精神の下部構造とみなすのは、近年あやまりであることが明らかになってきた。
どちらかというと、精神は肉体の強い影響下にあるといえそうなのだ。
チェホフもいう「風邪を引いても世界観は変わる、ゆえに世界観とは風邪の症状である」。

まあむずかしい話はべつの機会にゆずるとして旅をつづけよう。

8045鈍川温泉

8028カドヤ別荘

今夜の宿は「鈍川温泉」にとる。
pH(ペーハー)9.9のアルカリ単純泉だと浴場に書いてあった。

「pHって最高は10までなの?」
「pHというのは、0~14まであって、14だと皮膚が溶けます」
「アルカリ泉のぬるっとした感じは、皮膚というか角質が溶けているってことなのかな」

などと学術的な会話をかわしながら、湯につかる。

夜更けには、一部屋にあつまって宴会のはじまりである。
老若男女といえるのかどうか、とにかく12名が集う今夜のパーティなのだ。
近くを流れるせせらぎの音がすごいなあ、と思ったら強い雨だった。
人の認識などこの程度のものなのだから、そう肩ひじ張って生きることはない。
こんな会話をきけば、KMさんも笑ってくれるだろうと思う。

8035宴会飲料

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八幡浜へ
もうあれからどれくらいの時が過ぎたのだろうか。
いまでもときおり思いだすことがある。

ぼくが誘って、ふたりで飲んだ居酒屋でのこと。
その当時、若い女性はそういった場所には来ないものだった。
だからか、おかみさんがいたく喜んでくれておでんを大サービスしてくれた。
KMさんが「とてもおいしいよね」と笑顔でいうものだから、おかみさんはニコニコしていた。
どんな話をしたのかはすっかり忘れたけど、その光景だけはしっかりと憶えている。

いろんなことが断片的に思いだされては懐かしい気分にひたされる。

N3225福高禅寺

二年ぶりでやってきた。
お墓には似合わないかもしれないけれど、KMさんは薔薇がすきだったから。
カサブランカのはなやかさもいいんじゃないかな。
みんなでしゃべっている声と線香の煙が空へとのぼってゆく。

N3221供花

こうしてみんなと旅ができるのも、あなたのおかげだ。
ありがとうね、いっしょに旅ができないのがちょっぴり残念だけど。
みんなまだまだ元気そうだから、また来るから。

N3224福高寺十六羅漢石仏

今夜の宿はいつもの「Seasideうわかい」さん。
あいかわらずおいしい料理をだしていただき、おまけに低価格です。
お世話になりました、ありがとうございました。

N3237Seasideうわかい

つくづく、人は人とのグループダイナミックスのなかで生きている、と感じるのだ。

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島を旅するときが楽しいですね。
遠くに眺めるのも好きです。
楽園なんてないんですけどね。

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