ムッシュの読書紀行
人生は旅のようだと言いますが、旅が人生かも知れません。 ぼくは活字中毒気味でもあり、旅はまだまだ続くでしょう。
09 | 2014/10 | 11
S M T W T F S
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -

ためにならない読書
ためになる本というのをときおり見かけることがあるが、それってだれのためになるのだろう。筆者
の生活のため、というのならまあおおむね理解できるが買おうという気にはならない。だからその逆
で意表をついて、ためにならない本と書いてあったりすると、おやっと思う。たいていの方は素直に
じゃあ買わないとなるのだが、かならず一定数の天の邪鬼がいるのである。このへそ曲がりをターゲ
ットにしてもけっこう商売になるということを聞いたことがある。ベストセラーにはまちがってもな
らないが、コピーライトのよさだけでも売れるというのである。表紙イラストやカットに売れっ子を
起用したりしていて、見映えだけはいい。なんだか女性の化粧のようでもあるが、それのどこが悪い
ひっかかるほうの自己責任だろう。こういう失敗をしても、すぐに忘れてまたふらふらとついていっ
てしまうからまったくためにならない。

8652アゲハチョウの幼虫

「沈黙の絆」 マイクル・ベイデン&リンダ・ケニー
 藤田佳澄訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 ★★★
 
被害者を麻酔で眠らせてその間に血液を採取するという事件が連続で起こった。このことからマス
コミは、<ヴァンパイア>と名づけてセンセーショナルに書きたてた。血液をとってどうしようとい
うのか。DNAを調べるのならばわざわざ眠らせてまで血液を採る必要がないことは周知のことだ。
検屍官のジェイクはどういうことだろうと調べを開始した。一方弁護士のマニーは郵便ポストが爆発
したときにすぐ近くにいてトラブルにまきこまれた少年の弁護を依頼された。ふたりはプライベート
では仲のいいカップルなのだが、お互いにかかわっている事件がその後関係してくるとは思ってもい
なかった。まあ、ありがちな仕立てのミステリだが、なかなかコミカルでおもしろい。それより検屍
官であるジェイクの生真面目さ(?)がストーリーにユーモアをそえているのだ。
『オペラ歌手が皆、巨大な乳房をしている事実に、彼はどうしても科学的な説明をつけたいと思って
いることを認めた。解剖学的な理由はないと、ジェイクは確信している。歌手には人並みはずれた肺
活量が必要なのはまちがいないが、胸部の内側にあるものと、上についているものに相関関係はない
はずだ。』
これについて明確な科学的な説明あれば、わたしもすっきりするのである(笑)。

「脳と記憶の可塑性」 塚原仲晃 岩波現代文庫 ★★★★
筆者はあの一九八五年の日航機事故で亡くなっている。享年五十一歳であった。脳の記憶・学習のメ
カニズムの研究では名の知られた科学者であり、本書執筆途中で亡くなられた。DNAは設計図と考
えられているようだが、そう簡単なことではない。成長の経過のなかでつくりあげられていくものも
あるし、すべてがおなじような過程ですすんでいくということではない。記憶も同様にどう蓄えらて
いるのか、どこに残されているのかという問題はいつもあった。
『記憶の分子説とシナプス説との論争は、かつての光の粒子説と波動説に似た状況にあるといえよう
か。光の粒子説は、ピタゴラスに始まり、ニュートンにより頂点に達し、一方波動説は、アリストテ
レスからホイヘンスに到る系譜があるが、それぞれこれらの説を支持する実験的根拠をもっていた。
これらは量子力学の出現によって解決され、本質的に光は波動と粒子の性質を合わせもつものである
ことが明らかとなったことはよく知られている。量子力学の登場は全く異なる次元でこの二つの対立
を止揚したのである。粒子とは物質であり、波動とはその存在様式であり、量子力学の世界ではこの
二つは互いに矛盾しないものとして存在しうるからである。
同様に、シナプスとは脳における物質=分子の存在様式であり、これがそれを構成する物質=分子と
切り離しては考えられないからである。ただ、この二つの説は、いまだ統一的に説明されるレベルに
まで到達していない。』
これからもいろんな知見がでてくるのであろうが、それはそれで楽しみなことではある。

「迷宮の淵から」 ヴァル・マクダーミド 横山啓明訳 集英社文庫 ★★★★
スコットランド、ファイフの州都グレンロセスの警察署にミーシャ・ギブソンが訪ねてきた。二十二
年半前、一九八四年十二月に行先不明になった父をさがしてほしいというのだ。彼女の息子がファン
コーニ貧血で骨髄移植をしなければ、二十代まで生きることはむずかしいと。おなじような時期、エ
ディンバラではベルという女性ジャーナリストが大富豪に面会を申込んでいた。こちらは二十二年前
の迷宮入りした誘拐殺人事件の有力な手がかりを見つけたというのだった。期せずしてふたつの事件
を同時に担当することになった未解決事件再捜査班のカレン・ビーリー警部補は、男が姿を消した炭
鉱町で聞き込み捜査をはじめる。当時、炭鉱町では全国的なストライキがおこなわれていた。事件の
背景にはそのような社会の状況が関係しているのだろうか。まったく別の事件だと思われていたもの
がすこしずづ近づいてくるようにもビーリー警部補には思われるのだった。
難解なふたつの事件を捜査する相棒にはフィル・パーハトカ巡査部長があたることになった。最初は
なんとなくぎこちないふたりだったが相性は悪くはなかったのだろう。フィルが言う、『「こう言わ
れているのを知っているだろ。信じるというのは処女と同じ。一度失えばもとには戻らない。さて、
“良い警官・悪い警官”の尋問コンビになる心構えはできたかな?」』やがて絶妙のコンビネーショ
ンを展開しながら事件の核心にせまっていく筆致にはさすがと思わずにはいられない。社会性もあり、
事件の構成もしっかりしたミステリに仕上がっていると思います。

スポンサーサイト

テーマ:最近読んだ本 - ジャンル:本・雑誌

ヒトと鏡
ヒトは自分の顔を見ることができない。
しかしながら、他人の顔はいつもたくさん見ることができる。
いい顔だ、いやしい顔だ、個性的だ、美しいなどと批評したりもする。

自分はどんな顔をしているのだろうと、ふと思うこともある。
水面であったり、鏡に映ったのを見て、ようやく自分の顔を知る。
いや、知った気になることができるのである。
ほんらいの顔ではない、映った顔をだということをつい忘れているのだ。

よくよく見れば、顔は左右対称ではない。
目も頬も、まゆ毛の形さえも左右ですこしずつちがっている。
おまけに左右の表情はそれぞれ交叉した脳による。
右側の表情は左脳が、左側は右脳の管轄下にあるのだ。

人は無意識のうちにそういうことを知っているのかどうなのか…。
ときに芸能人などは、顔を撮る側を指定したりする。

ふたたび、ヒトは自分の顔を見ることができない。
だから他人(ひと)を鏡としてみるのだろう。
「他人のふり見てわがふり直せ」

「人間のための鏡」 クライド・クラックホーン著 光延明洋訳 サイマル出版会
というような本もありました。若いころに読んだ本です。
そのころフレーザーの金枝篇などもMとの会話にでてきたことを思いだす。

N4859イソヒヨドリトと青虫



プロフィール

ムッシュ

Author:ムッシュ
島を旅するときが楽しいですね。
遠くに眺めるのも好きです。
楽園なんてないんですけどね。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カレンダー

09 | 2014/10 | 11
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

カテゴリー