ムッシュの読書紀行
人生は旅のようだと言いますが、旅が人生かも知れません。 ぼくは活字中毒気味でもあり、旅はまだまだ続くでしょう。
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読読しい
秋といえば、ではじまることばに読書があるのだが、なにを読めばいいのかと迷う人もおおい。
有害図書などといわれると、ついどんなものかと読んでみたくなるのが人情でもある。
ためにならないぐらいならいいのだが、毒だというのだからよほど詳しく読んでいるのかとも思う。
だが、そんなくだらない本なんか読んでいられませんよ、というならば何をかいわんやである。
読みたくないだけならそれでいいのだが、有害だ毒だというならどこがと指摘できなければいけない。
そのためには、ふつうにもまして精読する必要があるだろうと考えるのがふつうではないか。
じつは、世のなかにはこうした議論がはなはだ多いのである。
好きだ嫌いだの無邪気(?)な意見から、あれはいけないから禁止せよという過激なものまである。
そのおおくはろくな検証もなされず、ただ気分的に嫌いだからの理由でなされている。
まさに結論が先にありきだが、それならそうなりに理屈づけを考えろよ、といいたくもなるのである。

5399案山子

「昭和史探索 4」 半藤一利編著 ちくま文庫 ★★★★
昭和十二年から十四年にかけて、いよいよ戦争の足音がまじかになってくる。
いまでは軍歌だと思われているこの歌のことを書いた団伊玖磨の文を紹介しておこう。
(孫引きになるが、ご容赦を)
『信時先生は、明治・大正を孤高に生きられたが、あまたの依頼があったのも拘わらず、
軍歌を一つも書かれなかった。
山田先生がその方向にも稍々協力されたことを思うと、信時先生の孤高さは立派である。
先生は、若い頃救世軍に身を投じた程の、平和主義者だったのである。
「海道東征」も「海ゆかば」も、軍国主義に同調して書かれたものでは無く、
日本人の先生にとっては、真剣に、自然に生まれた作品だったと言える。
 夏の陽の中で「海ゆかば」を考えると、作った先生にとっての「海ゆかば」と、
世間の「海ゆかば」の受け入れ方、使い方の間に、
どうにも仕方の無いギャップがあったように思われてならない。
然し、そうした事が戦争なのだったと思われなくも無いのである。

 海ゆかば

        大伴家持・作詞
        信時 潔・作曲

海ゆかば 水漬く屍(かばね)
山ゆかば 草むす屍
大君の 辺にこそ死なめ
かえりみはせじ
                         』
陸軍が海軍の反対を押し切って戦争へと突き進んでいくのである。

「ワシントン・スクエア」 ヘンリー・ジェイムズ 岩波文庫 ★★★
十九世紀前半、ニューヨークに一人の隆盛をきわめた開業医スローパー博士がいた。
しわせな結婚もしたが、わずか三年のうちに妻と息子を死なせてしまった。
残されたのは彼と健康だが平凡な容姿のキャサリン(亡き母の名)のふたりだけである。
ワシントン・スクエアの邸宅には、博士の妹のペニマン夫人と三人が暮らしていた。
そんなある日、いとこの婚約パーティでとてもハンサムな青年モリス・タウンゼントに出会った。
いつしかふたりは結婚を約束するが、定職にもついていない彼との結婚に父は断固反対だという。
どうなだめても、どう説得をこころみても博士のこころは変わらなかった。
それどころか、彼と結婚すれば必ず不幸になると断言されてしまったのである。
この小説の読みどころは、現代ではすこしピンとこないところもあるが、その対話にある。
博士のモリスに対する批評も、科学の世界にいる人間からすればこう結論が導かれるというものだ。
平凡(とも思えないが)ではあるがしっかりした精神の持ち主のキャサリンの人生はどう転んでいくのか。

「純平、考え直せ」 奥田英朗 光文社 ★★★★
主人公坂本純平二十一歳は、いまでは気のいいやくざになっていた。
『新宿歌舞伎町は冬の夜の毛布のようなものだった。
安眠が約束されるわけではないが、少なくとも追い出されはしないし、剥がされることもない。』
そんな彼に組長から鉄砲玉(ヒットマン)になれと命じられる。
もちろん、出世するチャンスであるし、男をあげるかっこうの機会がおとずれたと思った。
しばしの暇と金をもらった純平は街で知りあった女のこについそのことをもらしてしまう。
彼女は携帯サイトにそのことを書き込んだら、続々とレスが返ってきた。
心配しているようでもあり、信用していないようでも、からかっているようでもあるレスが。
純平も孤独なら、レスを返す若者たちも孤独なのかもしれない。
そんなとき知り合った元大学教授、現浮浪者のジイサンと焼肉を食べながらも指摘される。
『若者が死を恐れないのは、人生を知らないからである。
知らないのは、ないと同じだから、惜しいとも思わない。』
ブロードウェイを目指しているというダンサー、カオリとの会話が哀しい。
『「じゃあ、純平さんの夢は?」
「ねえよ」
「ないの?」
「だから肩身が狭えんだ」』
で、純平は考え直して殺人を思いとどまるのかどうか、これは本書を読んでいただくしかない。
青春ドラマはどのようにでも書ける、青春はどこにでもあるのだから。
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遠くに眺めるのも好きです。
楽園なんてないんですけどね。

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