ムッシュの読書紀行
人生は旅のようだと言いますが、旅が人生かも知れません。 ぼくは活字中毒気味でもあり、旅はまだまだ続くでしょう。
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帰らざる本
あの本はどこにいったのだろうか、と本棚のなかをさがすがどうしてもみつからない。
たしかに持っていたはずなんだがなあ、どこにいってしまったのだろうか。
ぼんやり考えていると、そうだと思いだすことがあった。
いま思うと、ずいぶんと相手も迷惑に感じていたのではないだろうか。
若い女性相手にこんな本を読めばいい、というか読むべきというようなニュアンスで。
どさりと十冊の本をテーブルに投げだして、喫茶店で話していたことがあったっけ。
これでも生真面目なところがあって、すてきな女性には本気ですすめたものだ。
髪の長い、涼しい目をしたやさしい正統派美人をまえにしての所業だったのだ。
にこやかにしてはいたが、内心こまったわと思っていたかもしれないな。
と、いまになって気づくわが身の鈍感さにあきれるばかりである。
彼女はだれかって、四国徳島生まれのYMさんのことなんだけど、いまはどうしているだろうか。

6580クレマチス

「どちらとも言えません」 奥田英朗 文藝春秋 ★★★
奥田氏は岐阜出身ということもあり、三十年来の中日ファンを自認している。
当然、プロ野球のことなどに一家言もっているのはいうまでもないが、その楽しみも知っている。
それも選手をほめることよりもけなすことのほうがはるかに多い、というのである。
『スポーツ選手の価値とは、記録と同じくらい、語られることにあるのである。
ちなみに、歴代の「語られキング」を考えてみると、ダントツの一位は長島茂雄だろう。』
これはどういうことかというと、
『AKB48が」どれほど日本中を席巻しても、人々の日常会話にはのぼらない。』
ということなのである。
本書で語られる、プロ野球談義をにやにやしながら読むというのもまたひとつの楽しみであるだろう。

「007 白紙委任状」 ジェフリー・ディーヴァー 文藝春秋 ★★★
なぜジェフリー・ディーヴァーが007を、という疑問はだれしも最初に感じることだろう。
『「一九五三年にイアン・フレミングが生み出した世界一有名なキャラクターを、数百万の読者を失望
させることなく現代に蘇らせること」――作者ジェフリー・ディーヴァーは、フレミング財団から与えられた、
そのきわめて難度の高いミッションをみごとに成功させたと言えそうだ。』
と訳者あとがきにあって、まあそういうことなんだろうなと納得する。
だが、ジェームス・ボンドといえば、やはり映画では初代のショーン・コネリーがやっぱりよかった。
といった感想はあるのだが、今回もエンターテイメントとしてはなかなかうまくできていると思う。
時代といえばそうなのだが、こんなところに目をつけるディーヴァーはやはりただものではない。
『ミッドランズ・ディスポーザルは、マンチェスター南部を本拠とする比較的大きな犯罪組織に関連した
会社だった。アメリカでは昔から、廃棄物処理はマフィアのしのぎとされている。
また犯罪組織カモッラが支配するナポリでは、ごみ回収業は犯罪の王と呼ばれていた。』
このあたり世界的に共通するのだろうか、日本ではどうなんだろうかと、ふっと思う。

「人生に二度読む本」 城山三郎・平岩外四 講談社 ★★★★
いままでに人からすすめられて読んだという本は多くはない。
ただすすめられたからといって読むほど単純な性格ではない、というか天邪鬼だからだ。
しかしながら、人生の大先輩の対談を読んでいると、なるほどなと思うところなきにしもあらず。
ここで解説に引用されている井上ひさしの太宰評には思わずにんまりとしてしまう。
太宰は一人芝居の作者兼役者であり、そこで扱われる主題は、イエス・キリストの受難劇だという。

 「しかし、いくら図太い太宰でも、舞台の上で、自作自演のキリストを気取るのに照れるときがある。
  格好よくポーズをきめる、偉そうな警句を口にする、(略)そのたびに照れて含羞かんで、
  『なあんちゃって』と崩す。これが太宰の文体の、いや彼の文学の基調なのです」
  (『太宰に聞く』より)

太宰の文章にこれをあてはめると、たとえば「人間失格」の冒頭の文章は、
「恥の多い生涯を送って来ました……なあんちゃって」ということになる。このパラドックスは見事な発見だ。
この本で紹介されているうちで、読んでみたいな思ったのは以下の三冊。
ジェイムズ・ジョイス「ダブリン市民」
(「ユリシーズ」や「フィネガンズ・ウェイク」を読んでみようとはまだ思えなくて)
ヴァージニア・ウルフ「ダロウェイ夫人」
(ご高名だけはうかがっていたのですが、なんだか縁がなくて読めなかった)
シャーウッド・アンダソン「ワインズバーグ・オハイオ」
(マーク・トウェインとヘミングウェイ、フォークナーらの世代を結ぶ作家だとか)
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