ムッシュの読書紀行
人生は旅のようだと言いますが、旅が人生かも知れません。 ぼくは活字中毒気味でもあり、旅はまだまだ続くでしょう。
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読む
読むといえば、ふつうは本や新聞などに書かれた文字を読むことをいう。
しかし、相手のこころのうちを読む、などとつかわれたりもする。
将棋などゲームでは、何手先を読むなどとつかわれることもある。。
こう考えてみると、読むと予測するとはほとんど同義であることがわかってくる。
だから読み間違うということも、しばしば現実にはおこってくる。
実際に本を読んでいて、この作者はなにがいいたいのだろうと感じることはしばしばである。
論理の組み立てというものが一方向のみであるならば、すべてが同一地点にいたるはずだ。
だが現実は、しばしばそうならないということを教えてくれる。
読むことひとつとってもそうなんだから、と読めない悩みにばしばぶつかる日々である。

4833比較行動学

「真鍮の評決」上下 マイクル・コナリー 古沢喜通訳 講談社文庫 ★★★★
マイクル・ハラーは、リンカーン弁護士とよばれている。
そのわけは、決まった事務所をもたないですべて車(リンカーンが三台)のなかで仕事をするからだ。
あるとき、ホルダー判事から即時出頭命令がでた。
でむいてみると、ジェリー・ヴィンセント弁護士が殺されたという。
彼はハラーを次席者に指名しており、彼の業務を引き継ぐことになった。
そのなかの一件にアーチウェイ・スタジオのチェアマン、ウォルターエリオットの裁判があった。
彼は妻とその恋人と思われる人物を殺害した容疑をかけられていた。
アメリカでは日本とはちがって、陪審員裁判である。だから裁判とはハラーの言うようなものになる。
『人はみな嘘をつく。
警官は嘘をつく。代理人は嘘をつく。証人は嘘をつく。被害者は嘘をつく。
裁判は嘘のコンテストだ。そして法廷にいるだれもがそのことを知っている。』
さて裁判はどのように進んでいくかについては本書を読んでもらうしかないのだが…。
その過程で、ボッシュ刑事(別シリーズの主人公)が登場したりして豪華なものになっている。
さすがの伏線、どんでん返しなどあり、あっというまに読んでしまったというのが正直な感想である。

「脳と心の正体」 W・ペンフィールド 塚田裕三/山河宏訳 法政大学出版局 ★★★★
ワイルダー・ペンフィールドと聞けば、脳に興味のある人ならば誰でもが知っている。
てんかん治療で開頭したときに、脳を電極で刺激すると鮮明な記憶がよみがえることを初めて知った。
脳神経外科医であった彼はこのときのことをこう記している。
『こうしたフラッシュバック現象をはじめて意識のある患者の口から告げられたとき
(一九三三年)、私は自分の耳が信じられなかった。
その後も、同じような例にぶつかるごとに私は驚異の念に打たれた。
たとえばある母親は、私の電極が解釈領に触れるやいなや、自分は台所にいて、
庭で遊んでいる小さな息子の声に耳をすましているのに気がついた。彼女には、
息子に危険をおよぼすかもしれない近所の物音、たとえば走り過ぎる自動車の音なども聞えたのである。』
記憶は脳のある場所に刻みこまれているということを示しているのだろうか。
そして、彼はその後も多くの患者の脳を電極で刺激して今日でも有名な脳マップの基礎をつくった。
脳と記憶との関係は、脳をモジュールとして考えるべきものなのだろうか。
まだまだこれからの脳科学の成果に注目してゆくほかないだろう。
しかし、その先鞭をつけたのは確かにペンフィールドであったというしかない。

「雪は汚れていた」 ジョルジュ・シムノン 三輪秀彦訳 ハヤカワ文庫 ★★★★★
ドイツ軍占領治下の一地方都市でのことである。
十九歳のフランク・フリードマイヤーは毎晩のように占領軍黙認の酒場「チモ」に通っていた。
母親のロッテは自宅アパルトマンを売春宿として経営していたからお金に困ることはなかった。
そんな生活からフランクは鬱屈した心情をしめすような暗い眼差しをした青年になっていた。
『太陽がまた姿を現わした。そして大地は陽気に凍りついていた。
新しく降った雪はまだ汚れる暇がなかった。いくらかの地区では、
市役所にやとわれた失業者たちが、まだ歩道沿いにきらきら光る雪の山をつくっていた。』
彼はやがて理由なき殺人を犯し、その将校から奪った銃をつねにコートのポケットにしのばせていた。
とくにお金が欲しいわけでもないのに、さらに老婦人を殺して時計のコレクションをうばった。
それを売って得た大金もむぞうさに身につけていたのは、いつか捕まりたい願望なのだったろうか。
やがてある日、突然に逮捕されることによって、やっとこころの安寧がえられたかのようだった。
訳者あとがきにもこうあるが、たしかにそんな雰囲気のあるすばらしい小説だと思う。
『この小説をはじめて読んだとき、すぐにカミュの『異邦人』の主人公ムールソーを思い浮かべました。
……
とくにフランクが投獄された後の内的な深まりは見事です。
この部分をドストエフスキーに比較する批評家もいるほどです。』
こういうところは読まないとわからない。翻訳でもすごい、と思います。
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遠くに眺めるのも好きです。
楽園なんてないんですけどね。

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