ムッシュの読書紀行
人生は旅のようだと言いますが、旅が人生かも知れません。 ぼくは活字中毒気味でもあり、旅はまだまだ続くでしょう。
06 | 2017/07 | 08
S M T W T F S
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -

ノウカスイタイ
大学時代に同級生が同人誌のようなものを発行していて、その小冊子にこう名づけていた。
すでに日本の農村人口(就農者)が減少を続けていることはだれもが知っていた。
農業だけでなく一次産業に従事する人たちは減少するばかりだし、社会的位置は低くなる一方だ。
人気がないから若者はサラリーマンになるべく都会へと出るばかりで、農村は過疎地となっていく。
メディアで人生の楽園などと、ときにいわれたりすることが逆にそのことを裏付けてもいる。
サービス産業ばかりになってしまっては、国がたちゆかないことはだれもがよくご存じである。
しかし、だれが猫の首に鈴をつけるのかの話になってしまうから日本の農業に未来はない、のか。
もちろん、「脳下垂体」の同音異語だというシャレであることはお気づきでしょうが。
ふと、これってヒトの脳下垂体の機能低下による成長ホルモン不足によるものなのか、と思ったり。

057稲穂

「いじわるな遺伝子」 テリー・バーナム+ジェイ・フェラン 森内薫訳 日本放送出版協会 ★★★
生物学の研究はいろんなことを教えてくれるが、それがすべて真理だということではない。
(つまり、そういう傾向があるとか、統計的には有意だとかという意味である)
ではそんな実験などから人間を考察してみると、どういうことになるのか。
『一般に哺乳類は――野生の霊長類から家で飼われるペットまで――みなアルコールを嫌う。
もし選択肢が与えられれば、彼らは酒よりも水を選ぶ。
ここで、数人の科学者が酒の好きなラットを繁殖させようと企てた。やり方はこうだ。
各世代のラットのうち、アルコールをいちばん嫌悪しないものだけを選んで交配させる。
残るラットは子どもをもつことを許されず、子孫を残さないまま死に絶える。
そうして交配を繰り返すうち、まもなく酒を愛するラットの集団が生まれた。
興味深いのは、これらの酒好きのラットの脳内では、
幸福の神経伝達物質であるセロトニンの生成が異常に少なかったことだ。
だから、彼らがアルコールを好むのはひょっとして、
脳内のセロトニンのレベルをふつうと同程度まで引き上げる試みなのかもしれない。』
これをヒトにあてはめると(類推するとでもいいが)、
酒呑みというのは、幸薄い、ちょっとかわいそうな連中のことだ、とでもなるのだろうか。
そういう論理で口説こうとする男(女)がかならずいそうな気がする。
しかし、たいていは理屈がかちすぎてあえなく失敗するということになりそうだ。

「許されざる者」上下 辻原登 毎日新聞社 ★★★
ときは日露戦争が間近にせまってくるころ、ところは紀伊半島の森宮(しんぐう)で物語は展開する。
医師槇隆光がインド・ボンベイ大学での脚気の研究実績を引っさげて帰国したところはじまる。
ドクトル槇(毒取ると呼ばれる)は「差別なき医療奉仕団」を結成して人々からの信頼も得ている。
読みすすめるうちに同時代の日本を描いた司馬遼太郎の「坂の上の雲」を思いだすのは自然の流れだ。
その対抗心からか、いろんな有名な人物が登場して、すこし奇をてらっている感じがして残念だ。
たとえば、姪の西千春の結婚相手である上林青年は阪急鉄道や宝塚歌劇団の創始者小林一三だろうし。
シルクロードの探検隊を組織し帰国の船で槇と出会う谷晃之は真宗大谷派の宗主大谷光瑞のことだろう。
他にも脚気病原菌説で槇と対立する軍医総監森鴎外がでてきたりするのはご愛嬌でもあろうか。
田村花袋、頭山満、ジャック・ロンドンという方々が本人の名前で登場したりもするのである。
ロシア小説にあるようなロマンスあふれるものをめざしているのだろうかとも思ったりした。
しかし、いまひとつ焦点が定まっていない感があり、背骨のようなものがわかりにくくなっている。
過ぎた時代を描くなかでは、いまの時代からみた種々の批判をすることはたやすいと思われるだろう。
だから、どれだけその時代の雰囲気が伝えられるか、という点でいまひとつの物足りなさは残る。

「読者は踊る」 斎藤美奈子 マガジンハウス ★★★★
以前、著者の「趣味は読書」を読んでいまひとつ共感できないところが多かった。
ではあるが、なんとなく気にはなっていたのでもっと初期の本書をまた読んでみると、これがいい。
というようなことがあるので、一冊だけで人を判断するのは問題だなとあらためて思った。
まあ、人間完璧な人のほうが少ない(いるかどうか)わけなのだからゆったりといきましょうか。
『そもそも芥川賞・直木賞とは何なのか。
選考委員が全員作家である(批評家がいない)点に注目したい。
つまり両賞は、新しい作品を見きわめて励ますためのものではない。
新人作家の中から自分たちの仲間に入れてやってもよさそうな人材を一方的にピックアップする、
一種の就職試験なのですよ。
選考委員はいわば文壇の「人事部」で、だからこそ受賞予備軍の人たちが結果に一喜一憂したり、
受賞者が記者会見で大袈裟な挨拶をしたりするんだよね。
とすれば、私ごときが○×つけたりすること自体、越権行為も甚だしい。
会社の人事のことは社内の人に任せるしかない。』
マスコミや新聞社(出版社も兼ねている)の販促キャンペーンということなんでしょうね。
もうひとつご紹介しましょう。
『料理店ガイドに対する読者の文句は
「推薦されているので行ってみたけど、全然よくないじゃないか」というものであろう。
が、読書ガイドに置きかえてみれば、そんなことは珍しくもない。
「推薦されているので読んでみたけど、全然おもしろくないじゃないか」てなことは日常茶飯事である。
そういう場合、私たちは、この書評家はたいしたことねえな、と考えるはず。
その書評がそこそこおもしろければ許すはず。』
これはよくというか、しばしば経験することであります(笑)。
スポンサーサイト

テーマ:最近読んだ本 - ジャンル:本・雑誌

この記事に対するコメント

この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
→http://moucheokuno.blog26.fc2.com/tb.php/1296-5d8cbebd
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

ムッシュ

Author:ムッシュ
島を旅するときが楽しいですね。
遠くに眺めるのも好きです。
楽園なんてないんですけどね。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カレンダー

06 | 2017/07 | 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

カテゴリー