ムッシュの読書紀行
人生は旅のようだと言いますが、旅が人生かも知れません。 ぼくは活字中毒気味でもあり、旅はまだまだ続くでしょう。
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なんども出会う本
以前なぜか本棚にまったく同じ本がならんでいることがあって、あれっと思ったことがある。
なんども読みたいと思う本でもなかったから、よけいに不思議な気がした。
どうしてだろうかと考えると、これは読まなければいけないと感じていた本なのだとわかった。
しかしそう思いながらも読んでいないから、本屋で見かけるとつい買ってしまっていた。
こうした本は買うとなぜか安心してしまって、すぐには読む気になれないものだ。
だから、またおなじようなことを繰り返し、結局三冊になってしまった。
その本とは、「法と社会」 碧海純一 著 中公新書 初版発行は1967年2月24日となっている。
書名からしてだれも読みたいだろうとは思わないだろうし、実際いらないと言われたことがある。
ということで、じつはまだ読んでいないし、そのうち読もうといま思っているが読めるのだろうか。

8199スノードロップ

「脳のなかの天使」 V・S・ラマチャンドラン 山下篤子訳 角川書店 ★★★★★
この本のなかにも書かれているようにミラーニューロンのことは聞き知っていた。
『一九九〇年代後半に、サルをもちいてその運動指令ニューロンの研究をしていたイタリアの
パルマ大学の神経科学者ジャコモ・リゾラッティと同僚のジュゼッペ・ディ・ペレグリーノ、
ルチアーノ・ファディガ、ヴィットリオ・ガリースは、奇妙なことに気づいた。
一部のニューロンが、サルのある行動をしているときに発火するだけでなく、
ほかのサルがそれと同じ動作をしているのを見ているときにも発火したのである。
リゾラッティがある講演でこのニュースを発表したとき、
聞いていた私は座席から跳びはねそうになった。
それはただの運動指令ニューロンではなく、ほかの動物の視点を採用していた。
それらのニューロンは(前述のように、実際はニューロンが属する神経回路だが、
これ以降、「回路」ではなく「ニューロン」という言葉を使う)、
事実上、ほかのサルの心を読みとって、そのサルが何をしようとしているのかを把握していた。
それは霊長類のようにきわめて社会的な生物にとっては、不可欠の特性である。』
ラマチャンドラン氏はミラーニューロンの重大な意味に気づいたのである。
『私は一九九六年に、研究仲間とともに、病態失認についてのちょっとした研究を独自におこない、
驚くべき新たな事実に気づいた。研究対象の患者のなかに、自分の麻痺を否定するだけではなく、
ほかの患者の麻痺も否定する人たちがいたのである
――念のため言い添えると、その人が麻痺していることは、火を見るよりもあきらかだった。
自分自身の麻痺を否定するだけでも十分に奇妙だが、
いったいなぜほかの患者の麻痺まで否定するのだろうか? 
この異様な所見は、ミラーニューロンの障害という観点から理解するのが最良だと私たちは考えている。
人間は、だれかほかの人の動作について判断しようとするとき、
かならず脳のなかでそれに対応する動作のバーチャルリアリティ・シミュレーションを
実行する必要があるが、ミラーニューロンがないとそれができないという解釈である。』
なるほど、非常におもしろい解釈だ。ということは、
『多くの自閉症児は、ほかの人の行動をまねるのが困難である。
この観察所見は私に、ミラーニューロン・システムの欠陥を想起させた。』
他者の思いにいたるということもできないというか、わからないのではないだろうか。
『ミラーニューロンの発見が重要だったのは、ミラーニューロンが本質的に、
心を読みとる細部のネットワークだからだという点をおさえておけば十分である。
神経科学者がその説明づけを長年の課題としていた、高度な能力の生理学的な基盤がみつかったのである。
私たちは、ミラーニューロンの機能と推定されるもの、すなわち共感、意図の読みとり、模倣、
ごっこ遊び、言語学習などが、まさに自閉症で機能不全が見られるものであるという事実に驚いた
(これらの活動はすべて、他者の視点――を必要とする)。』
などなど本書を読みながら附箋がたちまち底をつき、その視点に興奮の連続であった。
是非お勧めの一冊であることは、まちがいない。

「白い雌ライオン」 ヘニング・マンケル 柳沢由実子訳 創元推理文庫 ★★★★
スウェーデンといえば北欧の国というだけであまり身近に感じることはなかった。
高福祉、したがって高税率の国というようなことぐらいでしか知らなかった。
ところがシューヴァル=ヴァールー夫妻の刑事マルティン・ベックのシリーズが登場した。
「笑う警官」は映画にもなったし、これでぐっとスウェーデンに親近感が増したような気がする。
その後継者となるのが、クルト・ヴァランダー警部の本シリーズになるのはまちがいない。
世界的にも人気があることは読んでみればすぐに実感できるというものだ。
ミステリといえば謎解きといういっときのステレオタイプはどこへやら、じつに多彩になった。
本作の主人公ヴァランダー警部もとりたててスーパーマンぶりは発揮しないがなぜか気になる。
妻とは離婚し、ひとり娘との仲もしっくりこず、絵描きの父とも意思の疎通がままならない。
だがそんなぱっとしない警部だが、犯罪に対する姿勢だけは確たるものがある。
しかし、悲惨な犯罪にであうたびに彼は反問せざるをえないのだ。
イースタに住む二人の娘の母であるルイース・オケルブロムが失踪した。
ついにメソジスト教会の敬虔な信者である夫がローベルト・オケルブロムが警察にやってきた。
話を聞いたヴァランバーは、いろいろと事情を聞くうちにだんだんとある判断にちかづいていった。
『生きているルイース・オーケルブロムを発見することはないだろうという確信があった。
証拠はなかった。犯罪現場も知らない。死体もみつかっていない。
なにもなかった。それでも彼は確信していた。二人の女の子の写真が何度も頭に浮かんだ。
説明できないことをどうやって説明したらいいのか。
それにローベルト・オケルブロムはどうやってこれから神に祈るのだろう。
彼と子どもたちを残酷に裏切った神に?』
事件は意外な方向へと転じてゆくのであるが、それは読んでのお楽しみというものだ。

「せいめいのはなし」 福岡伸一 新潮社 ★★★★
四人の方との対談集、内田樹、川上弘美、朝吹真理子、そして養老孟司さんというメンバー。
読みつつこれはと思うところに附箋をはるのだが、本書は五枚という結果になった。
一枚は福岡さんで、残りはすべて養老先生の発言だったからこれってどうなのだろうか(笑)。
では著者に敬意を表して、まず福岡氏の講義から。
『細胞は、受精卵が二つ、四つ、八つと分裂して増えていって、数百個ぐらいになった時、初めて
自分がどんな細胞になるかを決めはじめます。つまり、細胞一つ一つは最初から自分の天命を知っていて、
私は脳になる、私は肝臓の細胞だ、と決めているわけじゃない。
指令書も持ってないし、誰かに命じられるわけでもない。
では、どうやって決めるのか? 実は前後左右の細胞とそれぞれ空気を読み合うんです。
空気というのは喩えですけれど、隣り合う細胞同士が接していて、情報や物質を交換したり、
細胞表面の凸凹を互いに差し出したりしてコミュニケーションをとって、
「きみが脳の細胞になるならば、私は心臓の細胞になろう」
「きみが皮膚の細胞になるなら、私は骨の細胞になりましょう」と
文楽人形のパーツのように細い糸で結ばれながら、互いに他を律して、自分の分担を決めていく。
この時期の細胞同士のコミュニケーションが、その細胞の後の人生を決めるうえで、
非常に重要な鍵を握るわけなんですが、ここで、細胞を一個一個バラバラにしてシャーレに撒くと、
その細胞はどうなるか? というと、前後左右の細胞がなくなって、互いに空気が読めなくなって、
結局みんな死に絶えてしまうんです。つまり、自分が何になるかを決められなくて、死んでしまう。』
DNAという設計図があってヒトはできあがっていくというふうに誤解している人は多いでしょうね。
ひとりで生きてゆくんだという青春の叫びも、すこしちがったように感じられるのではないですか。
最後に養老先生のひとこと。
『カエルの目玉は、どういう状態がレスティング(神経状態として休んでいる状態)かを
考えるとおもしろい。光があってなにも視野に動いているものがない状態が、
カエルにとっては休んでいる状態だと気づいたんです。目は光がなきゃ意味がない。
真っ暗は、光を探さなくちゃいけないから、かえって疲れる状態じゃないかと。
両棲類は洞窟の中に暮らしていると目がなくなります。
あれは、疲れてなくなるんであって、よく言われるように要らないからなくなるんじゃない。』
科学的な説明のようでありながらこじつけの域をでない、こういう説ってじつに多くあります。
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遠くに眺めるのも好きです。
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