ムッシュの読書紀行
人生は旅のようだと言いますが、旅が人生かも知れません。 ぼくは活字中毒気味でもあり、旅はまだまだ続くでしょう。
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午睡のち読書
春眠暁を覚えずというのか、ホルモン分泌の季節変化なのかどうか。
どうにも眠くてしかたのないときには、短い時間でも眠るのがいい。
究極の刑のなかには、囚人をかたときもねむらせないというのがあるときく。
そうするとどうなるかというと、精神は均衡をとることができなくなり発狂にいたるのだそうだ。
そこまでいかなくても、不眠は判断力の低下をまねきミスや事故のもとになる。
であるから、読書していてねむくなったらねむるのが正しい読書のしかたでもある。
すみきったこころで読む書は、どこまでもしみいるようで読書の醍醐味があじわえるというものだ。
眠ることによって気分はすっきりとし、世界もなんかすばらしく思えるから不思議だ。
マンネリに陥っていたパートナー関係も寝起きにながめればすばらしく思える、かもしれない。

8246スズラン


「笑う男」 ヘニング・マンケル 柳沢由実子訳 創元推理文庫 ★★★★
正当防衛とはいえ、人を殺してしまったことで苦しむクルト・ヴァランダー警部。
警察官を続けるべきかどうか、長期休暇をとってデンマークの海岸べりで悩む日々を送っていた。
そこへ友人の弁護士がやってきて、父の弁護士が交通事故で死亡したがどうも腑に落ちないという。
真相をつきとめてくれないかと頼まれたが、そんな力がいまの自分にはあるとも思えず断った。
ついに警察を辞める決心をしてイースタに戻ってきたとき、その弁護士が殺されたということを知る。
その瞬間、辞めることでなく復職することを決断し、事件の真相究明に乗りだすのである。
クルト・ヴァランダー警部の事件シリーズ第四弾、まさに手に汗をにぎる。
捜査をすすめるうちに、スウェーデン国内でも有数の多国籍企業がうかんできた。
それもどうやらその事業内容を知ってしまったか疑いをもったために弁護士は殺されたのではないかと。
あるジャーナリストにたどりつき、彼女の話を聞くうち彼は知らない国を旅しているように感じた。
『そこでは人間の臓器や体の一部が市場の商品と化し、モラルというものが完全に不在の状態だった。
臓器売買の市場規模が見えた。彼女の推測どおりだとすれば、それは想像を超えて大きいなものだった。
だが、いちばん彼が驚愕したのは、健康な人間を殺し――それも犠牲者はたいてい子どもや若者だったが
――その体の一部を売り飛ばす人々のことを、彼女が理解できると言ったことだった。
「されは世界の一つの姿なのよ。わたしたちが望もうと望むまいと、実際の世界はこれが現実なの。
食べるものもないほど貧しい人間は、生き延びるためににはなんだってやるということ。
どんなに悲惨で残酷なことでも。彼らに向かってモラルがなだのって、どうして言える?
彼らの生きる条件がわたしたちとはまったく違うときに。
リオやラゴス、カルカッタやマドラスのスラム街で、もしあなたが三十ドル取り出して、
人を殺してくれたらこの三十ドルをやると言ったら、一分もしないうちに長蛇の列ができるでしょうよ。
彼らはだれを殺すのか、どんな理由で殺すのかなど、訊きはしないでしょう。』
世界にはいろんな国があり、またどんなことでもする人間が、またいるのである。

「64(ロクヨン)」横山秀夫 文藝春秋 ★★★★
日本のというか横山氏の書く警察小説は独特の趣きをもつ。
事件の背景とかはもとより、警察機構をえがくのに力点がおかれているようだ。
否、日本の社会を警察機構をつかって解いてみせようとしているかのようだ。
社会的動物であるヒトはどのように犯罪に手をそめてしまうのか、というように。
64(ロクヨン)とは警察内部でつかわれている符丁だが、それが事件の鍵になっている。
昭和64年に起きた未解決の誘拐殺人事件を指している。
そしてその年は、1月7日までしかなかった昭和最後の年でもあった。
警察の広報官である三上義信が霊安室で自殺した若い娘の遺体に出会うところからこの話ははじまる。
わが娘ではなかった、だからといってこころが楽になるわけでもない。
そんなとき自宅に無言電話がかかってくる。
妻が二度受けたが、相手はなにもしゃべらない。
三上がでたときにも、もしや娘からと思って問いかけたが、やはり無言であった。
同じ署内にも無言電話がかかってきたという情報もあった。
やはり娘からだったのか、なぜなにも言わないのか。
ところが未解決の誘拐殺人事件を調べていくうちに、どうもおかしなことに気がついた。
警察内の官僚機構というか組織の問題にもぶつかりながら物語は意外な方向にすすんでゆく。
ありそうもないのだが、そこを読ませるのがフィクションの腕というものだろうか。
なかなか読みごたえありでした。

「湿地」 アーナデュル・インドリダソン 柳沢由実子訳 東京創元社 ★★★★
アイスランドときくと、どういった国土、イメージを思いうかべるのだろう。
随分前に知ったのだが、アイスランドとグリーンランドとはまったく逆だというのだ。
ことばからは、アイスランドは氷にかこまれた寒い土地なんだろう。
グリーンランドは緑豊かな住みよい地なんだろうな、と多くの人が思うそうだ。
実際は逆で、アイスランドは住みやすく、グリーンランドは人が住めるような地ではないという。
国土は日本の北海道と四国をあわせた程度、人口は三十二万人という火山島だ。
その首都レイキャビク警察の犯罪捜査官であるエーレンデュルを主人公とするミステリである。
男が殺された。七十歳前後、死体の上に意味不明の三つの単語からなるメッセージがおかれていた。
それは「おれはあいつ」どういうことなんだろう。
同僚のエーリンブルク(女性)、シグルデュル=オーリとの捜査がはじまる。
じつはこの殺された男は殺されてもしかたのないような悪人だったのだが…。
ミステリの中身は読んでもらうしかないのだが、ミステリはその社会をうつしている。
どこかの国を知りたかったらその国のミステリを読めばいい、とはよくいわれる。
どこかの国の言葉を習いたかったら、この場合もミステリを読むのがいいそうだ。
その国の人びとが日常なにを食べ、なにを遊び、どんな問題をかかえて生きているかがわかるのだ。
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島を旅するときが楽しいですね。
遠くに眺めるのも好きです。
楽園なんてないんですけどね。

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