ムッシュの読書紀行
人生は旅のようだと言いますが、旅が人生かも知れません。 ぼくは活字中毒気味でもあり、旅はまだまだ続くでしょう。
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読書感情文
入力があると出力があるものなのだが、それが時差をともなう場合もある。
読書すると感想文を書くというのだが、しばしば後で書けばいいかということになる。
根が完璧主義(?)なので、書き終えていないうちはどうも気分が落ち着かない。
ならばさっさと書けばいいのだが、なにやかやと理由をつけて先送りにしてしまう。
そんなことであれこれいうなら書くのをやめれば、というご提言をいただく。
どうもそれではプライドが許さないというか、自己に負けたことになるのではないか、と。
考えてみれば、いくどもいろんなことで負けてきたのではないか。
客観的にみても、連戦連敗といえないこともないなとまた自省するのである。
しかし、自省はすれども改善はいっこうしないから、どのみちおなじということにあいなる。

N4121満月

「日本のリアル」 養老孟司 PHP新書 ★★★★
対談集だが、養老先生が希望してお会いした方々だから話の内容が興味深く読めた。
食卓の研究で著名な岩村暢子さん、続いて農業では不耕起栽培の岩澤信夫さん。
それからカキの養殖で有名な畠山重篤さん、最後に全国で間伐の指導をされている鋸屋茂さん。
こんな養老先生の話から二つご紹介しましょう。
『消費者教育をやってきた結果、教育の現場においてさえ、子どもたちは消費者行動をとるようになって
いますよね。今の子どもたちは授業を商品として見ています。
だから、教師が教えようとすると、「その価値を説明してみろ」という態度に出る。授業中、ずっと
後ろを向いてしゃべっている小学生は、先生の話を無視することで値切り行動に出ているんですよ。
価値のわからないものを買うときには徹底的に値切るというのは、完全に消費者としての振る舞いです。
以前は大学の教員はシラバス(講義概要)なんて書きませんでしたが、いつからか、
書くのが当たり前になり、強制されるようになりました。
あれは、大学側が学生を消費者と見て、教員に対して「商品見本」を出せと命じているんです。
いつのまにか、それが当たり前になりましたね。まあ、僕は知らないよってソッポ向きましたけどね。
教えることって、毎日、いつ変わるかわからないから。』
う~ん、正しい消費者意識をもっているんですね、子どもたちって(笑)。
『自動車が高速走行をしていると、運転席の窓に大量の虫がぶつかって死にます。
一台の車が廃車になるまでに一〇〇〇万匹の虫が死ぬという試算もあると言います。
それぐらい死んでも、自然界全体としては数が減らないのが、虫というものだったんですね。
それが、今はすっかりいなくなった。消えたという感じです。
それは、環境の変化によって、虫が発生する土壌そのものが消えたからなんですね。』
虫や蝶を本気で保護したいなら虫捕り禁止じゃなくって、ほかの手段が必要ってことですね(笑)。
最後に、農業で不耕起栽培の運動をすすめている岩澤信夫さんの言。
『――これまで日本の稲作では、なぜ田んぼを耕してきたのでしょうか。
一つには乾土効果があるからです。水田土壌は酸素が入らない還元的な場所ですが、
耕して土を空気にさらすと、有機物の無機化が進みます。
これによってイネを育てるというのが、昔ながらの稲作です。
明治の時代までは、肥料らしい肥料がありませんでしたから、
コメをたくさんとるためには耕すしかなかったのです。
そのため、土壌肥料学の研究者たちはいまだに、耕せ、耕せと言っているわけです。
また、日本では「耕すこと」が農家の勤勉さの証と見られてきました。
よく耕し、まじめに作物を栽培する農家は「精農」と言われてきましたし、
不耕起栽培なんていうのは横着者がすることだという見方は今もあります。
私たち日本人は「農耕民族」と言われます。
だから、「耕すこと」は当たり前だとつい考えがちですし、奈良時代にたたら製法で鉄がつくられる
ようになり、鉄器の農具が広まって以来ずっと先祖が田んぼを耕してきたのは歴史的事実ですので、
もしかすると、日本人は遺伝子レベルで「田んぼは耕すもの」と思い込んでいるのかもしれません。
しかし、この地上では、コンクリートで覆われているところは別として、道端でも原野でも山でも、
土を反転させたところなどありません。自然界の植物はすべて、耕していない地面に根を下ろし、
子孫を繁栄させています。そういう仕組みをもつ植物しか、地球上には生き残っていないんです。
つまり、田んぼを耕すというのは、自然とは反対のことをやっているんです。
そうやって、わざわざイネを弱くつくり、化学肥料と農薬に頼って育てているのですから、
うがった見方をすると、そういう農業をするように誰かに仕組まれているんじゃないかとせ思えます。
特に農協は、不耕起冬期湛水栽培が普及すると困るでしょう。農薬も肥料さえも売れなくなりますから。』
なるほど、では農協さん御反論をどうぞ、ということでしょうか。

「世界が認めたニッポンの居眠り」 ブリギッテ・シテーガ 畔上司訳
                   阪急コミュニケーションズ ★★★
日本は治安がよく安全な国だから電車のなかでも平気でみんなが居眠りをしている、とよくいわれる。
はたして、そう単純な理屈付けでいいのだろうかと。
『安全感は、疑いもなく安眠の基本条件である。
だが、たとえ絶対治安がよくても安眠できるわけではない。
安心できればすぐに寝入る仕組みがあるわけではない。
大半の人の場合、電車が安全だと思うから居眠りするわけではない。当然だ。みんなそうだ。
だが安全論が、人前での睡眠行動を分析する際に簡単に無視できるわけでもない。
先のテレビ討論での動物学者、堀の指摘、つまり動物は安全ではないので
居眠りはするが熟睡することはないという指摘は深く考える価値がある。
私が関心を抱いたのはいろいろな動物の寝方ではなく、「居眠りが習慣になるのはその動物が安全な
ためでなく――逆に――周囲に対して不安を抱いているからだ」という説の方だ。』
なるほど、つまり居眠りという眠り方はどういうことなのか。
『堀が動物の居眠りを熟睡と対置させているからには、居眠りは表面的な眠りということになる。
だから堀が言おうとしていることは、動物がもっぱら居眠りをするのは絶えず危険にさらされている
からであって、熟睡を避けて表面的な、たいていは短い睡眠相で寝ているということである。
それは、いつでも逃げられるためであり、ないしは敵を攻撃できるためだ。
こう考えてくると、人間が居眠りという短くて表面的な睡眠をとる傾向があるのは熟睡をできるだけ
短くするためとも言えるので、ここに新たに睡眠と安全性の関係についての疑問が浮かんでくる。
つまり日本人が居眠りの習慣を身につけた(あるいはその習慣を続けている)のは周囲が非常に安全
だからではなく、日本史上長期にわたり、住民の大多数にとってこの種の表面的な睡眠をとる方が、たと
えば夜間に八時間ほど深く眠るより安全だったからではないか、という説を立てることもできるだろう。
しかも日本人は、比較的短めの夜間睡眠に加えて、機会があれば昼間に幾度となくウトウトした。
そのため人前で眠る習慣が発達し、現在に至るまで――人前での睡眠が再三にわたり批判されたり、
不安な状況がもはや同程度ではなくなっても――広まっているというわけである。』
だからこそ、居眠りに寛容な社会になっているということもいえそうだ。

「ポーカー・レッスン」 ジェフリー・ディーヴァー 池田真紀子訳 文春文庫 ★★★★
ジェフリー・ディーヴァーの第二短編集、16篇が収められています。
そういえば、若いころは長編小説などとても読めないと敬遠していました。
日本でいえば、短編の名手といえば芥川龍之介でしょうか、よく読みました。
太宰治もわりあい上手でしたね、女性の語り口になかなかのものがありました。
まあ、わたしの好きなのは坂口安吾のほうでしたが。
ということで、ディーヴァーも短編の名手とよばれているようです。
その真意は読んで自分で判断するしかないのですが。
ミステリで短編、なかなかむずかしそうな気もするのですが、さすがというしかないです。
長編でもそうですが、かならず二転三転するストーリー仕立てになっていますからね。
いわゆるドンデン返しがかならずあるわけです。
いろんなドンデン返しをお楽しみください、って宣伝のようになってしまいました。
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遠くに眺めるのも好きです。
楽園なんてないんですけどね。

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