ムッシュの読書紀行
人生は旅のようだと言いますが、旅が人生かも知れません。 ぼくは活字中毒気味でもあり、旅はまだまだ続くでしょう。
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読みフケル
読みだしたらやめられなくなって、まわりでなにごとかが起こっていようとまったく気づかない。
不思議なことに空腹感をおぼえることなく、まして疲労感さえもなくただ読み耽る。
いまここにいるという感覚もなくなってしまって、ただ漂っているかのようだ。
ビルの角をまがればたちまち駅が現われ、ホームにとまっていた列車に飛びのる。
あっというまもなくフルスピードになれば、ひときわ高く警笛をならして海辺の線路を走りだした。
窓側の席にすわって風にふるえるページに目をおとせばふたたび空高く舞いあがっていく。
わたしとは視線の奥にあるものなんだなあ、と妙に納得づくで考えるのだった。
いつしか陽ははるか西に傾きつつきらめいて暮れていくのである。
少年老い易く学成り難し、読み老けつつもあり、黄泉更けるものかもしれない。

8285梅の実

「サイコパス 秘められた能力」 ケヴィン・ダットン 小林由香利訳 NHK出版 ★★★★
わたしの父はサイコパス(精神病質者)だった。で、はじまる本書は興味深いものがあります。
サイコパスということばはときに耳にしますが、どうもその意味については理解が浅いようです。
では、どのような経歴の人たちがいて、サイコパスと呼ばれているのか。
『わたしは密室でハンニバル・レクターやテッド・バンディ級の人びとに会った――ガラス越しに
受話器を手にするまでもなく、姿を見せるだけでサイコパスだとわかる、極悪非道な大物たちだ。
その一方で、社会を食いものにするどころか、冷静沈着さと断固とした決断力によって社会を守り、
豊かにしているサイコパスにも会った。外科医、兵士、スパイ、起業家――なんと弁護士もいた。』
サイコパスの特徴は、良心の欠如、非情さ、魅力と一点集中力にあるようだ。そんな一人がこう言った。
『魅力とは何か、あとからわたしたちの話に加わったレスリーの解釈が、かなりいい線をいっていた。
魅力とは「我慢ならないやつを丁重にもてなして、一気に、順調かつ効率よく
自分の思いどおりに動かせるようにする能力」だという。』
ある意味、サイコパスは「説得力のエリート」「究極の説得名人」である能力をもつのかもしれない。
聖人、スパイ、連続殺人鬼の三者に共通するのがサイコパス度が高いということなのだ。
身近にいる魅力的なひとは、じつはサイコパス度の高いひとかもしれない。
正常、精神病質、精神病はひとつの直線上にある位置のちがいかもしれないですなあ。
毒も薄めれば薬になるし、その逆もまたありえますから。

「自分では気づかない、ココロの盲点」 池谷裕二 朝日出版社 ★★★★
人はいわゆる認知バイアスと呼ばれる脳のクセをもっている。
それをドリル風に解説したのが本書であるが、できあがるまでに五年間を要したという。
そんな認知バイアスのなかから30個を選定してある。まずはこのようなものを紹介しよう。
9 魔性の女、では女性の写真で服の色を次々に差し替え、一番人気はどの色だったか。
『赤色の服がもっとも魅力的として選ばれました。とくに男性へのアピール度が高いようです。
この傾向は世界のどの文化圏にも共通します。服全体でなく、口紅やイヤリング、バッグなど、
一部分を赤色に変えただけでも効果があります。
赤色に惹かれる理由は、血液にあると考えられています。
酸素の結合したヘモグロビンの鮮やかな赤色は、心肺が健康であることを意味します。
とくに血液の色が肌に現れたら毛細血管が広がっている状態。活き活きとしている証拠です。
脳はそうした相手の状態を察知するのでしょう。赤色には敏感なのです。』
これは色彩心理効果とよばれるもので、女性は無意識のうちに赤を身に着けているのかも。
28 ズルイ心、では頭の中で1から10までの数字の一つを思い浮かべてもらいます。
思い浮かべた数字が、もし偶数だったら500円差し上げます。
でも、ウソをつく人がいるかもしれません。できるかぎりウソをつかれないためにはどう言うか。
①ウソをつかないでね
②ウソつきにならないでね
もうおわかりだと思いますが、②ですよね。
『実験によれば、選択肢①では約30%の人がウソを申告しましたが、
選択肢②ではウソをつく人はほぼいませんでした。
選挙でも、「投票することは大切です」というよりも、「有権者として振舞うことは大切です」
と諭すと、投票率がアップします。「怠けないで」より「怠け者にならないで」、
「私の状況を理解してください」より「私のよい理解者になってください」、
「泣かないで」より「泣き虫にならないで」などなど、多くの場面で応用できそうです。』
これは人格同一性効果とよばれるそうですが、なるほどと感心しますね。
代表的な183項目が巻末リストにありますので、興味のある方はそこからさらにどうぞ。

「偽善の爆発」 ビートたけし 新潮社 ★★★★
副題に、初級人間学講座①時事問題講義とあるし、深刻な問題でも笑えるところがいい。
すこし古くなったけど、お受験にからんで春奈ちゃん殺害事件というのがありました。
この事件については、彼はこう言ってます。
『それもこれも、平等ばかり言ってきた戦後教育のツケが回ってきたんだ。
世の中は、みんなが「勝つ」わけじゃない。
それなのに、「負ける」ことがあるって当たり前のことを教えてこなかった。
「努力すれば何でもできる」なんて言ってね。
特においらたちの後の世代になると、「夢を持つ」とか「将来やりたいことがある」とかって
セリフを、お経のように唱える。ソープランドのネエちゃんとかでも、言うんだよ。
「私にだって夢がある。将来やりたいことがあるから、今はこんなことをやってるんです」
ソープ嬢までやって、やりたいことみつけてどうするんだって。
そんなことやるくらいなら、夢なんか初めからない方がいい。』
まあ夢をもっているというのは自分に対しての言い訳になっているんでしょうね。
いまの自分はほんとうの自分じゃない。本気だせばこんなところにはいないって。
傍からみれば笑えるんだけど、けっこう本気で言ってるみたいで、反応に困ってしまいますね。
『よくスポーツ選手に対して、「夢をありがとう」とか言う連中がいるだろう。
そんな言葉があること自体がおかしいんだ。
夢は自分で見るもんだよ。他人にたよって夢を見てどうするんだ。人の夢にたかるんじゃないって。
「何々さん、青春をありがとう」って。誰の青春だよ。わかんないな。
青春まで人にもらうな。自分の人生をちっとも生きてないんだね。』
『まぬけなやつは、鳥は空を飛べて自由でいいなんて言う。
鳥は好きで飛んでいるんじゃない。飛ばないと落ちてしまうし、止まってりゃ外敵に食われてしまう。
餌も探さなくちゃならないしで、仕方なく飛んでいるんだ。
外敵もいなくて、地上に餌が落ちていたら、ペンギンみたいに歩いているって。』
ひさしぶりに本読みながら笑わせていただきました。人生にはユーモアが必要ですね。
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島を旅するときが楽しいですね。
遠くに眺めるのも好きです。
楽園なんてないんですけどね。

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