ムッシュの読書紀行
人生は旅のようだと言いますが、旅が人生かも知れません。 ぼくは活字中毒気味でもあり、旅はまだまだ続くでしょう。
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本棚のほこり⑨
棚板にたまった埃を人さし指の腹ですくう。うっすらともやがかかったみたいな、蜘蛛の巣をからめ
とったようでもある。嫁の前で姑がすればセクハラともとられかねない行為である。そうではなくて、
本棚の前にたつとついしてしまう癖なのだ。ぼんやりしていれば、その指を口にはこんでペロリと舐
めかねない。きたないっ、といわれてはっと気がつく。そして、ほこりをじっとみつめる。この眼が
顕微鏡のようであれば、すぐさま倍率をあげ塵芥などの世界に突入していくのだがそれもできない。
ただこころのうちで想像することはできる。たちまち、以前読んだ本にあった写真やイラストがうか
にでくる。ヒトは見ているようで観ていない。だけど観ていないようで見ている。意識にのぼってき
たものだけが記憶となるなら、網膜上をきらめいては消えていった膨大なインパルスはいったいどう
なってしまったんだろう、などと指をみながら考えてみたりすることもある。

N2629ランダム読書

「考えるマナー」 赤瀬川原平・井上荒野 他 中央公論社 ★★★★
十二人の方々が読売新聞の夕刊に掲載されたエッセイの数々、なかなか趣きがあるものありますね。
なかでも井上荒野(あれの)さんの「名前のマナー」。
『私の名前「荒野」は本名である。知っている人は知っているし、知らない人は、当然これはペンネ
ームだと思っていることだろう。考案したのは私であると。少なくとも、私の意思が反映されている
と。私にとって、それは大変に心外なことだ。
 この名前をつけたのは父だ。もともとは友人の編集者に頼まれて、彼の息子のために考えた。とこ
ろが彼の家族が大反対。そこに私が生まれてきたので流用されたという経緯がある。父はそのとき三
十三歳。若い。名付け親ははじめての経験だったろう。きっとものすごくはりきったのだろう。はり
きりすぎだし、考えすぎだ、と私は言いたいのである。』
知りませんでした。申し訳ありませんでした、とおもわず言ってしまいそうである。
『とはいえ、長年かけて折り合ってきたこともあり、今は自分の名前を気に入っている。』
なかなかいい娘さん(?)ではないですか。それと「老化のマナー」でこういうことも書いている。
『老化。それは、初対面の人と年齢の話になったとき「私、いくつに見える?」という科白を吐いた
瞬間にはじまると言われている。』
そうなんだよな。気になるのかな、とくに女性は。であるからなにかでたまたま知っていたら、私な
どは二歳ぐらい若い年齢をわざと答えることにしている。相手の微妙な表情がゆかいである。ただ、
『海外では年齢よりも若く見られるということは、幼稚であると思われているに等しく、嬉しがるの
は日本人だけである、という話を聞いたことがある。』
くれぐれも、海外でそのような失敗をされませんようにご注意いただきたい。マナーといってもとこ
ろかわれば品かわる、ということがあるようなので自分の思っている常識を疑えということなのかな。
読んでみようかな井上荒野さん、おもしろそうだな、ということで読書はひろがってゆくのである。

「二度死んだ少女」 ウイリアム・K・クルーガー 野口百合子訳 講談社文庫 ★★★
元保安官のコーク・オコナーは行方不明になったシャーロット・ケインの捜索で雪に埋もれたなかを
動きまわっていた。吹雪に襲われてあやういところを間一髪助かった。そのとき不思議な体験をした。
幻のようでもあったのだが、そのおかげで死をまぬがれたのだ。そして四ヶ月近くがすぎて、雪解け
の季節になったころ雪のなかから彼女の遺体が発見された。現場検証でわかったことは、彼女が手袋
をしていなかったこと、コロナ・ビールの瓶が栓を抜かれた状態でそばに転がっていたこと。これは
なにを意味しているのだろうか。やがて犯人としてシャーロットとつきあっていたというソレムが逮
捕された。彼はコークが父の死で苦しんでいたときに温かい手をさしのべてくれたサムの姪ドロシー
の息子だった。ドロシーから助けてほしいと依頼をうけコークは真相追及にのりだしていく。すべて
の状況証拠はソレムが犯人だと告げていたが、コークは無実と信じられるものがあった。捜査のなか
で意外な事実につきあたる。シャーロットはすでに数年前に死んでいるということだった。では、こ
の事件で死んだシャーロットはだれなのだ。さらに謎は深まっていくのだった。
ミステリといっても本書はアメリカに住む少数民族(オジブワ族)の生きかたが中心にある。自然と
ともに生きる。物質だけの豊かさを求めない生き方。それと現代アメリカ的価値観があらゆる面でぶ
つかりあい、そのなかでコーク(彼もオジブワ族の血をひく)もみちびかれるようにすすんでいく。
アメリカのミステリでも異色の主人公コークが活躍というよりは生きていくなかで起こるいろんな事
件に読者は興味をひかれるのではあるまいか。
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島を旅するときが楽しいですね。
遠くに眺めるのも好きです。
楽園なんてないんですけどね。

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