ムッシュの読書紀行
人生は旅のようだと言いますが、旅が人生かも知れません。 ぼくは活字中毒気味でもあり、旅はまだまだ続くでしょう。
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夏は図書館
とにかく暑かった夏は朝から近所の友人とふたりで市の図書館にでかけた。けっこうな道のりを歩い
ていった。ひんやりとした空気と、冷たい木肌の椅子がなにかとても高級な気分であった。あのころ
はよく図鑑を読んでいた。本文とは別に漫画での解説があったりした。虫取りにはいけないけれど、
本のなかでいろんな生物にであっていた。昆虫採集はお金持ちのこどものすること、となんとなく思
っていたのでうらやましくはなかった。ぼくには縁がないだけだった。それでも兵隊虫を小さなビン
にいれてながめたりしていた。いま思いだしても宿題をやっていたという記憶はほぼないといえる。
先生にしかられた記憶はないからやっていたんだろうけど。それよりもどぎつい色をしたワタナベの
ジュースの素の味とか、飲んだあとの舌の色とかを思いだす。まさしく人工甘味料(チクロといった
かな)という味だったのだが、なぜか懐かしい気もするからこどものころの記憶って不思議だ。

N6253梢のさき

「背後の足音 上 下 ヘニング・マンケル 柳沢由実子訳 創元推理文庫 ★★★★★
ヴァランダー・シリーズ七作目、シリーズのなかでも非常に面白いし考えさせられる作品になった。
一九九六年六月二十二日、夏至の日(ミッドサマー・デイ)の未明に事件は起こった。日本人にはわ
からないかもしれないがヨーロッパとくに北欧の人々は日光浴を好む。というより、日本人からすれ
ば異常ではないかと思えるほどなのだ。スウェーデンの夏至祭は、キリスト教以前から人びとに夏を
太陽の恵みをよろこぶ伝統的な行事である。その夏至の日を祝う古の扮装をした若者たちが額を撃ち
抜かれて殺されたのだ。しかし死体はなぜか隠された。
『それは一九九六年六月二十二日、夏至の日の未明のことだった。
 予報ではその日は一日快晴だった。
 南スウェーデンのスコーネ地方にやっと夏がやってきた。』
ある朝、イースタ署で恒例の捜査会議が開かれたが、いつも時間をきっちり守ることで知られている
スヴェードベリが来なかった。電話しても留守電がこたえるだけだ。いく日かそういう状態が続いた。
そんななか、ある婦人が娘のことでと署にやってきた。旅先からだと絵葉書が届いたのだが、これは
娘の字ではないという。筆跡は娘の丸い字に似ている。だが、どうしてもちがうといいはった。では、
だれがなんの目的でこの絵葉書を書いたのか。一方、スヴェードベリにふたたび電話するがでなかっ
た。これはどうもおかしい。ヴァランダーは彼の家に行くことにした。鍵がかかっていた。彼はドア
をバールでこじ開けた。頭部半分が吹き飛ばされた彼の死体があった。少し離れたところにライフル
銃が投げ出されていた。鑑識のニーベリとも見解が一致した。これは自殺ではなく殺されたというこ
とだ。そして、扮装した若者たちの死体が発見された。続いて新婚のカップルとカメラマンが銃で額
を一発で撃ち抜かれて殺された。射撃の腕は確かだ。これらの犯人は同一だと考えられた。しかし、
これらの人びとに共通するものがない。さらに、動機はなんなのか。手がかりもいっこうに得られな
かった。捜査のなかでスヴェードベリの知られざる個人生活がすこしづつあきらかになっていく。そ
れとともに事件の輪郭がおぼろげにうかんできた。しかし、こんなことが現実にあるのだろうか。す
こしづつ追いつ詰められてきたと感じた犯人はついに禁断の行為にふみだしていく。
『この結論が出たのは午後もかなり遅くなってからだった。次の目標は警察官クルト・ヴァランダー。
それもすぐに実行するつもりだった。スヴェードベリの葬式は明日に予定されている。その一日は準
備のために使おう。スヴェードベリに協力してもらうとは、と思い、彼はほくそ笑んだ。』
人間関係がうまくむすべずに社会の底辺に沈む人間はどんな思いで生きているのだろう。世界は、彼
らとどう折りあっていこうとしているのか。そんな社会が産みだした犯罪なのだろうか。

「脳と心の進化論」 澤口俊之 日本評論社 ★★★
脳はどのようにして進化してきたのかと考えるとき、まず思いつくのはいろんな動物の脳の構造を比
較してみるということだ。この王道ともいえる方法でマクリーンは「三位一体説」という理論を展開
した。彼の理論は脳の進化学だけではなく、哲学などにも大きな影響をもたらした。
『具体的には、爬虫類では大脳基底核が脳のほとんどをしめており、大脳皮質はない。これを爬虫類
脳(R複合体)という。ところが、下等哺乳類になると辺縁系などの古い皮質(旧哺乳類脳)が発達
してきて、大脳基底核を覆うようになる。そしてさらに高等な哺乳類になると、大脳新皮質(新哺乳
類脳)が発達して、旧哺乳類脳とその下の大脳基底核を覆ってしまう。こうして、ヒトなどの高等哺
乳類の脳は、爬虫類脳、旧哺乳類脳、そして新哺乳類脳の三つの主要な脳が「三位一体」となってい
るわけだ。』
ここで重要なことは進化とは、新しくなにかを産みだすということではなくておうおうにして既存の
ものの焼き直しというか、利用できるものは利用するということ。ふつうに考えればそのほうが効率
あるいはスピードが速いということはすぐにわかる。臨機応変ということは進化でも大切だ。
『脳の相対的な大きさも、大脳新皮質を代表としたいくつかの脳部位の相対的な大きさも社会構造と
密接に関係する。つまり、多妻型の霊長類のほうが一妻型の霊長類にくらべて大きな脳・大脳新皮質
をもつ。くわえて、脳と大脳新皮質の相対的な大きさは群れの大きさ(社会の大きさ)と正の相関を
もつ。群れが大きいほど、脳も大脳新皮質も大きいのである。しかも、多妻型の真猿類にかぎっても、
同じような相関がみつかった。つまり、多くのメスがいて群れが大きいサルほど、より発達した脳・
大脳新皮質をもつ。』
必要は発明の母である、ということばを思いだす。脳は知能は、なぜ発達したのか。発達せざるを得
ないという状況が生みだしたものなのだろうか。
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島を旅するときが楽しいですね。
遠くに眺めるのも好きです。
楽園なんてないんですけどね。

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