ムッシュの読書紀行
人生は旅のようだと言いますが、旅が人生かも知れません。 ぼくは活字中毒気味でもあり、旅はまだまだ続くでしょう。
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連絡船乗り場で読書
都はるみの歌がヒットしていたころだったろうか。若者は船着き場にくると、なぜか哀愁の衣をまと
いたくなる。そんな空気が漂うなか、ときおり鳴きながら飛ぶカモメやウミネコにパンくずを投げた。
スピーカからながれでる歌謡曲や民謡はここが観光地なんだとうそぶいている。そんなやすっぽい別
れの雰囲気が気にいらない。かならず近くには食堂があり、片隅には土産物なども陳列されいる。ギ
シギシと音をだす窓をあけ、潮風をよびこんだ。定食と焼酎をいっぱいください。運ばれてきたコッ
プにはいった焼酎をすする。しみるんだよなあ、これが。五臓六腑が正確にはなにをさしているのか
は知らない。だけど飲みながら本を読んだでいたら、書かれていることばがしみいるのだった。つま
み代わりのフライを食えば、空を飛びたくなったりした。ときにソースが跳びはねて文庫本にシミの
ように滲んだ。つと、それがなんだか孤島にみえてきて思わず落涙におよびそうになった。

N6546桟橋

「日中アヘン戦争」 江口圭一 岩波新書 ★★★
まずモルヒネとヘロインおよびアヘンについて、その関係を知っておこう。
『アヘンの麻薬作用は、生アヘンに五~一五%、多い場合には二〇%含まれているモルヒネによって
もたらされる。生アヘンから精製されたモルヒネ(略称モヒ)は無色の結晶で、少量でも強力な鎮痛
作用をもち、鎮痛・鎮咳・鎮静・催眠のための薬剤として用いられるが、連用するとモルヒネ依存を
生じ、慢性中毒をきたす。モルヒネは麻薬の代表的散在である。
 ヘロインはモルヒネのアセチル化物=ジアセチルモルヒネで、もともとはドイツのイー・ゲー・フ
ァンベン系のドイツ・バイエル会社の登録商品名であったが、後に一般名となった。白色の結晶性粉
末で、鎮痛作用はモルヒネより劣るが、呼吸器官にはモルヒネより強力に作用し、一八七五年開発後、
鎮咳剤としてひろく用いられた時期もあった。ヘロインはモルヒネよりも多幸感・依存性がさらに強
く、容易に慢性中毒となり、今日では麻薬といえばヘロインを指すほどである。』
軽量であるから輸送にてまどらない。金(ゴールド)と同等の利便性がある。かっこうの手段だ。と
いうことで、昔から注目されていた。
『アヘンの吸煙は、一七世紀初め頃に、オランダの植民地であったジャワから明朝末期の中国南部に
もたらされ、中国全土にひろがっていった。中国のアヘン禍を深刻にした元凶がイギリスの東インド
会社であることは、あまりに名高い。イギリス東インド会社は、一八世紀後半から植民地インドでア
ヘンの生産・専売をはじめ、これを中国に輸出し、中国からイギリスへ茶の輸出、イギリスからイン
ドへの綿製品の輸出と補完しあう一九世紀のアジア三角貿易をつくりあげた。』
そこでこれを阻止しようとする清とイギリスとの間でアヘン戦争が起こって、清は敗れた。その次に
は日本が乗りこんできて戦費調達の手段としてアヘンに目をつけた。日中アヘン戦争のはじまりであ
る。どのように日本がアヘン政策を中国で行ってきたかは本書を読んでいただきたい。ずいぶんと非
道なことをしてきたものだと思う。南京虐殺・慰安婦問題などよりも深刻な被害を与えたのではない
か。しかし、そのことをなぜか中国は言わない。だから、逆に歴史的事実とかというよりも政治的な
ものだとわかるのである。いまさら、イギリスと対立する道は選ばない、ということか。

「日本人はどう死ぬべきか?」 養老孟司×隈研吾 日経BP社 ★★★★
ヒトは死ぬ。かならず死ぬ。不確かな世のなかではあるが、ヒトの死亡率だけは100%である。そ
こを知らぬふりして生きるというのにも限界がある。では死をどう考えればいいのか。
『死というものは、個人に関して言うと「時間」の話です。でも、他人から見ると、その人がいる、
いないの「空間」の話になるんです。他人として死を語ることはできます。でも、自分の死は、あく
まで生きているうちの話です。だから、自分の死を考えても、それは無駄の典型ですよ、と僕はお答
えします。』(養老)
そう、養老先生はよく死と眠ることとの比較で話される。死が怖い、では眠ることが怖くないのか。
目覚めないというのは死そのものではないか。死は生きているかぎり経験できない。経験できないこ
とを恐れる。なにか逆説的な皮肉のようでもある。でも、死が怖いんだという。知らんがな。自殺に
ついていえば、ご両人とも理解できないという。わたしからすれば、あせるな、かならずみんな死ぬ
んだ(笑)、ということだ。話を変えましょう。男と女とのちがいってなんだ。
『それはもうわかりきっていることで、女性のほうが強いに決まっているんですよ。
 哺乳類は女性のほうが平均寿命が長い。哺乳類の染色体は女性がXXで男性がXY。メスの染色体
が基本で、そこから作られるのがオスなんです。そうやって無理して作られているからね、オスは弱
いんです。』(養老)
隈さんもおっしゃいます。分かる気がします、と。
『ちなみに鳥類の性別を決めるZ染色体は逆で、ZZがオスでZWがメス。おんどりを去勢しても何
も変わらないけど、めんどりを去勢すると、とさかができて、コケコッコーって時を告げる。でも哺
乳類は逆です。男が去勢すると、お乳が大きくなって、髭が生えなくなる。だから、どっちが元にな
っている染色体かというのは大きいんです。』(養老)
最後に有名な「スタンド・バイ・ミー」という映画の原作はスティーヴン・キング「THE・BOD
Y」といって、日本語で死体のことである。
『英語の授業では習わないでしょう。でも「ボディ」が死んでいるものを指すというのは、江戸時代
以前の日本でも同じだった。それがグローバルスタンダードだったんです。なぜ分かるかというと、
「体」の語源は「空」だから、辞書にそう載っています。』(養老)
『空だから「カラダ」なんですよ。それを「身体」と書くようにしたのは江戸時代から。つまり「空」
のものに身が付いちゃった。さらに引っくりかえったのが「心身」という言葉です。道元の時代には
「身心」って、「身」が先に来たのですが、今はパソコンで入力して文字変換しても、「心」が先に
来ますよ。』(養老)
江戸時代に心が優先、つまり「葉隠」の精神ですね。身体よりも心が重要になった。「腹が減っては
戦ができぬ」から「武士は食わねど高楊枝」。そして、この精神のもと太平洋戦争に突入していった。
その結果、日本陸軍における戦死者の七割が餓死と言われている。なんとも痛ましい。

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島を旅するときが楽しいですね。
遠くに眺めるのも好きです。
楽園なんてないんですけどね。

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