ムッシュの読書紀行
人生は旅のようだと言いますが、旅が人生かも知れません。 ぼくは活字中毒気味でもあり、旅はまだまだ続くでしょう。
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商人宿で読書
いまはすっかりすくなくなってしまったが地方には商人宿というものがあった。いまふうにいうとビ
ジネスホテルとなるだろうか。それの和風だな。もちろん畳敷きの部屋である。食事は付いていたり
なかったりさまざまだった。セールスの仕事をしているときは、たまに泊まることがあった。風呂に
はいり食事も済ませるとあとは寝るしかない。疲れてはいるのだが、まだ眠くはない。手持ちの本は
もう読んでしまった。部屋の隅をみると週刊誌が何冊か重なっている。先客が残していったものだろ
うか。手にとると表紙の一部が破れていた。「週刊実話」「週刊ポスト」「女性自身」。読むのをや
めようかと思ったが、ほかに読むものがない。開くと扇情的なタイトルがならぶ。エロ・グロ・ナン
センスとよばれるたぐいだ。しかし、逆にこれが現実の一部でもある。エロ写真まがいのグラビアや
記事をながめながら、人はなんとしてでも生きていくのだなあ、と感慨にみちた。

N7646二宮尊徳像

「インカの世界を知る」 木村秀雄・高野潤 岩波ジュニア新書 ★★★★
『インカ国家については、残念ながらわかっていないことだらけである。日本人が一度は行って見た
い場所の第一位だというマチュピチュ遺跡ですら、いつどんな目的で作られたのか、またインカ国家
とどんな関係にあるのか、はっきりしたことは何もわかっていない。』
南アメリカのペルーあたりにあったというインカなのだが、あまり詳しく調べたこともない。イメー
ジとしてはサイモンとガーファンクルの歌う「El Condor Pasa(If I Could)」(コンドルは飛んでゆ
く)のもの悲しいメロディがうかぶ。スペイン人によって征服された歴史が思いおこされる。
『謎だらけである理由のひとつは、「インカが文字を持たず、彼ら自身が書き残したものが何もない」
ためである。縄を結んで数字などを表わしたと言われるキープというものはあるが、文字とはとても
言えず、インカ時代にそれを管理していたキープカマヨクという役人が死に絶えてしまったため、読
むこともできない。そのため、インカの国家がどんなものであったかについては、スペイン人によっ
て征服以後に書かれた記録をもとに推測するしかない。』
なんといっても霧のなかに浮かぶように姿をあらわす城塞都市マチュピチュは魅力だ。標高約二五〇
〇メートルの雲霧林帯と呼ばれる地帯にある。またこの霧はインカにとって実におおきな役割をにな
っている。それが森にゆたかな水を供給している。水がなければ作物もできないのである。そこでは
アンデス原産の多種多様なジャガイモ(ナス科)が人びとの食料となっている。いまではドイツが有
名だが、もちろん原産地はアンデスだ。しかしこんな高山地帯で農業は可能なのかという疑問はある。
『海岸地帯やアマゾン地方の低地にはさまれて、大まかにいえば西側、中央部、東側という、三つの
山系からなる山脈が南北に貫いているアンデスには多くの傾斜地が広がっていた。その傾斜地の高度
差は栽培地に限ればほぼ四五〇〇メートルになる。そういた地形を持つことから、アンデスではそれ
ぞれの土地が持つ気候や環境を生かした高度差利用の農業が発達した。その傾斜地を支えたのがアン
デネス(階段畑)であった。』
マチュピチュもそうだが、こうした石組みの技術もすばらしいものがある。なるほど、一度訪れてみ
たいと思う日本人がおおいのもなんとなく理解できる気がするのだ。

「森と山と川でたどるドイツ史」 池上俊一 岩波ジュニア新書 ★★★
ドイツというとゲルマン民族を連想する。でもドイツという国はいつできたのだろう。つまり、ドイ
ツという「国」は一九世紀にいたるまでどこにもなかったのだ。それまでにいろいろと変遷をへてい
るのがわかってくる。ローマ帝国との関わりが深いことがまずある。だからロマンチック街道、つま
りローマへの道なるものが残っているわけだ。またドイツというと森にかこまれた都市をイメージし
がちだ。日本なんかよりよほど緑がおおい国だとなんとなく思っていたが、数字をみておどろいた。
『じつは日本は、国土の三分の二が森林という世界有数の森林国です。しかし、やみくもにスギやヒ
ノキなどの針葉樹ばかりが植樹され、木材利用を目的に植えたのもかかわらず、放置されている森も
少なくありません。一方ドイツは国土の森林率は三一パーセントですが、アカマツやトウヒをはじめ
とする針葉樹林にブナやナラなどの広葉樹がミックスされ、バランス良く栽培されています。』
地理的にはこんなことが特徴である。
『ドイツには製塩都市が軒並ならんでいます。生活に欠かせない塩は、古代よりときの権力者たちが
独占を志し、統制物質としてそこから税金を徴収して懐をうるおしました。』
たしか古代の戦士は給料の代わりに塩を支給された。サラリウム(塩)から、サラリーマンの語源が
なったというようなことをなにかで読んだ記憶があるのだが。それくらい塩は重要な物資だったのだ。
さらにドイツのおもしろいところはこんなところにある。
『ドイツの医療の基本は「薬で治す」ではなく、「自然治癒力を引き出す」ことにあります。湯治は
まさにそれにかなった行いですし、その効果を政府も認め、長年、温泉治療には健康保険が適用され
てきました。』
なぜドイツでは太陽光発電が支持されているのかの理由がわかるような気がするのです。

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島を旅するときが楽しいですね。
遠くに眺めるのも好きです。
楽園なんてないんですけどね。

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