ムッシュの読書紀行
人生は旅のようだと言いますが、旅が人生かも知れません。 ぼくは活字中毒気味でもあり、旅はまだまだ続くでしょう。
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喫茶店で読書
出張先の朝。ビジネスホテルに泊まっていたので食事はついていない。訪問予定先の営業開始時間は
10時だ。しかたがないので近くの喫茶店でモーニングでも食うか。さて、店にはいってみるとすで
にたくさんのお客さんがいた。みなさんゆったりと新聞などひろげながらトーストを食べコーヒーを
のんでいる。なかなかの地域密着型の喫茶店だななどと感じる。こちらもおなじようにモーニングを
頼んだら、小さな器にソーメンもついてきた。夏だからのサービスか。すこし得した気分だ。のんび
りと食べて時計をみるとまだ時間があるので店にあった本を読んだりしていた。すると、緑茶と小さ
な皿におかきがのせられたものがテーブルに置かれた。あれっと思って店員さんの顔をみるが、軽く
会釈して去っていった。これもサービスなのだろうか。そう思いつつまわりの様子をみる。だれもが
あたりまえのようにお茶をのんでいた。これがこの地のモーニング。南国は高知でのことであった。

N8263ナガバオモダカ

「北京から来た男」 上 下 ヘニング・マンケル 柳沢由美子訳 東京創元社 ★★★★
ノルウェーとの国境近くスウェーデン側にあるヘッシューヴァレンの村でのこと。さまよいながらや
ってきたオオカミが人の死体を引きずっていく場面からストーリーははじまる。黒澤明の「用心棒」
の一場面が思いだされる。村人十八人と少年一人が殺害されているのが発見された。どの家にも死体
があり、犬も猫も切り殺されていた。鋭く研ぎ澄まされた刃物でめった切りにされていたのだ。ただ
少年だけは一太刀で、ほかの人間は何度も斬りつけ拷問のような無残な殺し方だった。これはなにを
意味するのか、捜査陣は考えこむばかりだった。一方、このミステリの主人公ともいうべきビルギッ
タ・ロスリンはヘルシングボリの裁判官をしている。彼女はこの事件の新聞報道をまじまじと見た。
この写真にでている家に見覚えがあった。母親は十五年ほど前に他界していたが、もっていた写真の
なかに写っているのが確かにその家だ。この事件、自分に全く関係がないとはいえない。母親が子ど
も時代をすごした村でむごたらしい殺人事件がおこったのだ。話は一八六三年へとさかのぼる。中国
は広東の片田舎にサンと兄と弟の三人兄弟がいた。広東で弟は殺され、サンと兄のグオシーは奴隷船
に乗せられてアメリカへ向かうことになった。
『一八六三年の話である。何万人もの貧しい中国の農民が攫われてアメリカへ連れて行かれた年だっ
た。アメリカは大きな口を開けて彼らを呑み込んだ。彼らを待ちかまえていたのは、いつの日か解放
されたいとあれほど願った重労働だった。』
サンはアメリカで鉄道敷設の重労働につくのだが、この話がどうつなっがっていくのかは後半になる
までわからない。そこは読んでいただくほかはない。ヘニング・マンケルといえば、刑事クルト・ヴ
ァランダーのシリーズが有名だが、かならず社会の闇の部分も描く。今回もアメリカの奴隷はかなら
ずしも黒人だけではない。中国の苦力やヒスパニック系の人々もいるということを思いださせてくれ
る。この長編ミステリ、読み応えあり。

「超人類へ! バイオとサイボーグ技術がひらく衝撃の近未来社会」
                 ラメズ・ナム 西尾香苗訳 河出書房新社 ★★★

著者はエジプト系アメリカ人で、マイクロソフトのインターネットエクスプローラーやアウトルック
の開発者のひとりということだ。研究者ではないが、近年のテクノロジーの成果には注目している。
本書では、脳同士を結びテレパシーのようにイメージや音声を伝え合う実験や人間の知能や記憶力を
高めたり、老化を防止する技術、肉眼では見られない波長を見る視力、一時的に肌の色を変えられる
技術など最先端のテクノロジーの萌芽の事例が紹介される。当然、遺伝子レベルでの操作がある。そ
のことに対してさまざまな抵抗があるが、世界均一というわけではない。
『アジア諸国は概して欧米諸国よりも、人間能力増強という考え方になじんでいる。たとえば以前「
遺伝子操作に対してどのように考えるか」という調査が国際的に行われたが、「遺伝子操作技術を用
いて子どもの性質を望み通りにつくり出す」ことに賛成するアメリカ人は二〇%ほどであるのに対し
て、インドでは六三%が賛成、タイでは賛成の割合は八三%という途方もない数字になった。』
スポーツ界では禁止薬物摂取によるドーピング問題がある。なかなか線引きがむずかしいのだが、能
力増強と治療のちがいはどこにあるのか。また経済的な側面からも注目される。
『ほかの医学技術と同様、社会はこれら生殖・衛生技術の恩恵を得ることになる。疾病を抱えて生ま
れてくる子どものための保健医療費が削減できるからだ。』
ということもあり、単純ではない。また薬には副作用がつきものだが、本来の使われ方ではない用法
もあったりする。
『ほかにも、いま世の中に広く普及している知的能力増強剤がある。抗うつ剤だ。世界中で三八〇〇
万人近くの人々がプロザックを処方されていて、さらに少なくともそれと同じくらいの人数が同類の
薬を服用している。普通、抗うつ剤は能力増強剤だなどと思わないだろう。何と言ってもこの薬は精
神を回復させて「正常」な状態に戻すのが目的だ。しかし現に、プロザックや類似の薬はうつ病患者
にもそうでない人にも効力を発揮している。』
最先端医療関連技術等に興味のある方は是非お読みください。

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遠くに眺めるのも好きです。
楽園なんてないんですけどね。

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