ムッシュの読書紀行
人生は旅のようだと言いますが、旅が人生かも知れません。 ぼくは活字中毒気味でもあり、旅はまだまだ続くでしょう。
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プールで読書
こどもたちとプールにやってきた。もう泳ぐという年齢ではない。こどもらを見守りながら、プール
サイドの芝生に寝そべっていた。真夏の太陽が容赦なく照りつける。どこからともなく汗がわきだし
てくる。ビーチパラソルも太陽の運行を自動追尾するようにはできていない。いつのまにか陰の外に
いる。読んでいるミステリのせいでかっかしているのかと思ったが、そうではなかった。ビールをと
いいたいところだが、ここではご法度である。しかたがない、冷たい水で我慢する。しかし、この水
がうまいのだ。からだの要求するものはうまく感じるのだろう。言うではないか、空腹にまさるご馳
走はない、と。そろそろ帰るかと立ちあがったところにこどもたちがもどってきた。笑いあいながら、
「おとうさん、おなか」と指す。たるんだおなかの日焼けしたところとそうでないところが縞模様だ。
いっしょに笑いながらもなんだか物悲しくなった。文庫本のページが風をはらんでハラハラとなる。

N8212夏空

「独断! 中国関係名著案内」 高島俊男 東方書店 ★★★★
わたしは高島さんを尊敬している。いや、すばらしい先輩だと敬服もしている。自分に非があると認
めるとすぐに訂正しお詫び申しあげる。できるようでできないことのひとつだ。他人に厳しく自分に
はおおあまなジャーナリストもどきがたくさんいる。それはさておき、本書である。近年、日本と中
国の関係はいいとはいえない。しかし中国は日本が古来から手本としてきた国である。もっとおたが
いに仲良くなれればいいだがと思うのだが、現実は厳しい。日本人は中国を理解しているのかという
と、どうもそうではないという気がする。まず高島氏のこんな指摘をご覧いただこう。
『中国と日本は異質である。
 もちろん、アメリカやヨーロッパも日本とは異質であろうが、中国のばあいは、もっと本質的に異
質である。
……
 もう一つ。中国はフィクションの上に成り立つ国である。このフィクションを一部分でも信じたと
たん――たとえば「解放前」「解放後」というコトバを(たとえ不用意にでも)用いたとたん、中国
像はたちまちゆがみはじめる。日本の新聞記者の中国レポートがだめなのは、彼らの所属する大新聞
社が、かつて受け入れたフィクションを基本的に疑おうとしないからである。
 わたしが、日本の若い人たちの中国レポートが好きなのは、フィクションから解放されており、異
質に対する感性がたしかだからだ。』
たしかに某新聞社の記者だった方の本は読んでいてもつまらん。記者クラブの発表の受け売りのよう
なもので、目が曇っている。思いこみというのはだれにでもあるが、気をつけなければ。中国といえ
ば、台湾問題もある。台湾人の立場だとどう考えるのか。黄昭堂氏(台湾人は中国人ではないという
立場の方)の本からこう紹介している。
『外来者の台湾支配は日本が最初ではなく、一七世紀のオランダを皮切りに、スペイン、鄭氏王朝、
清国があり、そして日本のあとを受けて中華民国がつづく。
 中華民国国民政府、ぞくに国府、国民党政権、蒋政権と称される集団による台湾占領は……いまも
つづいている。』
かつてヨーロッパ人が「シャングリア」と呼んだチベットの問題もある。中国といってもさまざまな
面があるのだ、ということも考えておかなければならない。というようにいろんな書籍が紹介されて
いるのだが図書館にあるものは少ないのだ。たまには本屋にでかけますか。

「ソポクレス オイディプス王」 藤沢令夫訳 岩波文庫 ★★★★
テーバイの王オイディプスの物語を題材とする「オイディプス王」はソポクレスが、紀元前427年
ころに書いたとされる戯曲である。ギリシャ悲劇の最高傑作として有名である。主題は「父親殺しと
母親との姦淫」だ。ではどのように物語りは展開していくのか。テバイの王ライオスと妃イオカステ
の間に男の子が生まれる。だが、アポロ神の神託にこの子は「父を殺し母と姦淫する」という預言が
なされる。預言を恐れた王は赤子の両かかとをピンで貫いた上で、家来に山に捨てて殺せと命じたが
不憫に思った家来は、その子を牧人に預ける。ところがこの子は子どものいなかったコリントス王の
手に渡り、出生の秘密を知らぬままコリントス王子として育てられる。かかとの傷から「腫れ足」を
意味するオイディプスと名づけられた。また、オイディプスもアポロの神託に「父を殺し母と姦淫す
る」と告げられる。オイディプスは預言の実現を避けるため、コリントスを去り旅にでる。その途中
でオイディプスは馬車に乗った老人一行と出くわす。そこで争いになり、彼は一行を殺してしまう。
彼は知るよしもなかったが、この老人こそは実の父ライオスだったのだ。テバイにやってくると、都
では怪物スフィンクスの出現で大騒ぎ。スフィンクスの謎に答えられないと食われてしまう。このス
フィンクスの謎というのは有名な「朝には四つ足、昼には二本足、夜には三つ足で歩くものは何か」
というものだが、オイディプスがそれに挑み、謎に「人間」と答えると、スフィンクスは谷に身を投
げて自殺する。スフィンクスを退治した者に今は亡きライオスに代わる王の地位を約束するのとおり
にオイディプスはテバイの王となる。つまり実の母と知らずイオカステを妻にするのだ。そして、そ
の間に二男二女をもうけた。だが、それからテバイに凶作と疫病が広がっていく。「この国には一つ
の穢れが巣食っている。さればこれを国土より追い払え」とアポロの神託が下る。そこでオイディプ
スはライオス王殺しの犯人探しをはじめる。だがやがて、オイディプスは自らが犯人であり、すでに
「父を殺し母と姦淫して」いることを知ることになる。それを知ったイオカステは自殺し、オイディ
プスは自分の目を潰して放浪の旅に出る。まさに悲劇なのである。
この物語にヒントを得て、ジークムント・フロイトは「エディプスコンプレックス」という概念を唱
える。母親を愛してわがものにしようと思う一方、父親に対して強い対抗心を抱くという幼児期にお
ける現実の状況に対するアンビバレントな心理である。当然それはいけないことだという抑圧もあっ
て心理的葛藤のうちにある。これらのことが無意識下に抑えこまれる。そういわれればそんな気もす
る、というのが精神分析の功罪といえなくもない。

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島を旅するときが楽しいですね。
遠くに眺めるのも好きです。
楽園なんてないんですけどね。

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