ムッシュの読書紀行
人生は旅のようだと言いますが、旅が人生かも知れません。 ぼくは活字中毒気味でもあり、旅はまだまだ続くでしょう。
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温泉場で読書
日本アルプスのふもとあたりには温泉場がたくさんある。ちいさなものからおおきな旅館のような普
請のものまでさまざまである。その温泉場は広い休憩室のようなものを備えていた。湯上りにひと息
ついて軽い食事などもできるようになっている。登山客のなかに地元の方もまじっていた。旅行者で
あるわたしは湯でほてった身体を横たえていた。リュックを枕に本を読んでいると、若い女性の声が
聞こえてきた。ほう、こんなところにも女性がくるんだなと思いつつそのまま本を読んでいた。その
とき突然視界のなかに、にっこりと笑う女性があらわれた。だれだろう、知っている人なのかな。思
いあたるような記憶はよみがえらない。「ムッシュ、わたしのこと忘れたの」がばっと起きあがった
ら誰もいなかった。まわりを見回すが姿はない。あれっ、夢でも見ていたのか。そのときテレビから
歌声が流れてきた。♪ あなたお願いよ 席を立たないで 息がかかるほど そばにいてほしい

N8829メタセコイア並木

「近代日本の陽明学」 小島毅 講談社選書メチエ ★★★★
「武士は本来、天皇陛下の番犬としてお仕えするもの」という使命感を根底にもつ「靖国史観」とは
どういうものなのか。その論理とはなにか。小島氏はいきなりこう書く。
『天皇につきしたがった者のみが正しいとする、戊辰戦争のなかで確立したこの独善的な論理は、先
述した藤田東湖が本職として関わった『大日本史』のものであり、それに先立って大流行した頼山陽
『日本外史』の論旨である。そして、動機が正しい「大義」の戦いであったことだけを根拠に、いま
だに「聖戦」を称揚し、「なぜ負けたのか」を問おうとしないその思考停止ぶりは、水戸学の大義名
分論と日本陽明学の純粋動機主義とが結合した産物なのだ。本書はそのことを論証していく。
 だが、それによってわたしが読者諸賢に問いたいのは、単なる靖国問題ではない。そもそも、人々
がみなで共有できる「歴史認識」などというものが存在しうるのかという、きわめて原理的な問いで
ある。わたしの語る「近代日本の陽明学」は、あくまでわたしの物語であり、あなたにはあなたの、
こなたにはこなたの、「近代日本の陽明学」がありうるだろう。無限の相対主義に陥るやもしれない
この泥沼でもがき苦しむことなしには、「近隣諸国との友好」などあり得ない。反・陽明学的心性を
持つわたしからの、これはみなさんへの挑戦状である。』
中韓がなにかにつけていう正しい歴史認識ってなんなんだろう。歴史認識に正しいとか正しくないと
かがあるとは知らなかった。正しいなんとかといわれると、そうなのかと思ってしまう人がたしかに
いる、と正しく認識しているのだろうと想像するのだが。歴史は物理とか数学とはちがう。思想・主
義・宗教に近い。立場がちがえば認識が変わるというものだろうと思う。それはさておき、中国には
紀元前孔子を祖として儒教が興った。その後キリスト教とおなじようにいろいろな派が生まれた。そ
のなかでも有名なのは朱熹のとなえた朱子学だ。それを批判するかたちででてきたのが陽明学である。
ただこの陽明学はふつうの教義とはひと味ちがっている。なにかひたむきな感じがする。
『陽明学者は陽明学を師匠から伝授される必要がない、と。中国でも日本でも(少数だが朝鮮でも)、
高名な陽明学者は朱子学の学習によって陽明学者になる。教祖・王守仁(陽明)にしてからがそうで
ある。彼は熱心に朱子学を学び、その精神を実践しようとし、挫折し、悩み、そして悟った。「理を
心の外に求める朱子学のやり方は根本的に間違っている。理とはわが心のはたらきにほかならないの
だ」と『青い鳥』の寓話にも似たこの悟りによって、陽明学的心性を持つ後世の者たちも、晴れて陽
明学者になることができるようになる。』
武士の倫理には儒教のそれも朱子学の影が強く感じられる。だがやがてそこに陽明学が伝わる。そし
て幕末の維新運動におおきな影響をおよぼした。ただいえることは次のことだ。
『彼らが置かれた時代背景の中で、生活指針となりうる過去の思想的遺産であった。それは「彼らの
陽明学」であった。ここでわたしに言えることは、「彼らの陽明学は、王陽明の陽明学ではない」と
いうことだけである。』
ただ陽明学そのものはこれといった定形をもたないので、まだ理解には遠いのかなという気がする。

「人生はマナーでできている」 高橋秀実 集英社 ★★★★
高橋氏の著書はおもしろい。わたしなど不謹慎とそしられそうなぐらいに読みながら笑ってしまうの
である。そしてしばらくして、すこし物悲しくなる。第7章結婚するつもり? などはことにそうだ。
社会学者がいいだした「婚活」は、後ずさりするように様々な「〇活」を生み出しているという。
『そういえばある未婚女性もこう言っていた。
「いい人がいれば結婚してもいい」
 これも「いい」が重複している。「いい人」とは「結婚してもいい」人のことだからこの文章は何
も語っていない。譬えるなら「おいしいものがあれば食べてもいい」というのと同じ。おいしいかど
うかは食べてみなければわからないし、おいしさを感じるのはあなた自身であって普遍的に「おいし
いもの」があるわけではない。』
結婚相談室のこの道21年になるベテラン仲人はこう語るのだそうだ。
『「女性は相手に対して『どこか頼りない』『物足りない』と必ず言うんです。そんなもん、全員頼
りなくて物足りないですよ。物足りないから残っているんだし。そもそも男は物足りないぐらいがち
ょうどいいんですよ。物足りるとうるさいでしょ」
――おっしゃる通りだと思います。
 私は同意した。物足りないから文句も言えるのだ。しかしこれは結婚生活をしばらく送ってみなけ
ればわからない境地で、「実際はどのようにアドバイスされるのですか」とたずねてみると、彼女は
即答した。
「この人を逃がしたら一生の不覚! これを逃したら孤独死!」
 ほとんど脅しだが、それくらいでないと目が覚めないそうだ。
「『誰と結婚しても同じよ』とも言いますね」
――同じ、なんですか……。
「要するに、相手の問題じゃないということです。相手が変わればまた別の問題が出てくるわけです
から、相手のせいにするんじゃなく自分の問題として考えなさい、と言いたいんです」
――「自分から好きになれない」「ビビッとこない」と言う人もいるんじゃないでしょうか?
 これは婚活中の義弟の口癖でもあった。
「やっぱり、相手にボーッとなれる人はしあわせですね。結婚は多少は頭がおかしくないとできない
決断ですもん。本当に一瞬でもいいんです。後になって、なんでこんなバカと結婚したんだろうと思
ったりしますが、その一瞬があればいい。それにすがりついて一生いけたりするんですね、これが」
 魅力とは相手が持っているものではなく、自分が感じるもの。感性というよりひとつの能力なのか
もしれない。』
どこか他人事ではものごとは進まない、というのはなにごとでも同じである。歴史的に日本は母系社
会といわれいたのではなかったか。女性が主導権を握らないでどうするのか。
『振り返ってみれば、日本人の結婚は平安時代まで「婿入婚」、つまり男が女性の家に婿入する形だ
った。『竹取物語』のように男たちが求婚し、女性、ならびに女性の両親が決める。最終的判断は女
性側が下すのだ。母系制の名残りなどともいわれるが、人類の歴史としてはそちらのほうが長いし、
卵子が精子を選ぶようにこれは生物学的にも正しいような気がする。ちなみに古来、婚姻関係のこと
を「めおと」と呼ぶが、これもかつては「女夫」と書いていた。「め」は女性なので自然な漢字表記
なのだが、明治時代に夫を先にして「夫婦」と書き換えられたのである。「とつぐ」も然り。「嫁ぐ」
などとまるで嫁入りを表しているようだが、これはもともと「と継ぐ」。「と(性器/ほと)」をつ
なぐセックス、あるいは「と(戸)」を継ぐということで家を継承することを意味しており、本来、
性別は関係ない。漢字をすり替えることで、女性は受け身だと洗脳されてきたのである。それを真に
受けるとおそらく女性は結婚できない。受け身もまた演出にすぎず、受け身と見せかけて男を落とす。
受け身で待つのではなく、受け身で迫るのだ。』
いまだ結婚したいと思いつつそこに至らない女性にエールを送りたい。あっ、ついでではありますが
男性にも。結婚しないで後悔するより、結婚して後悔するほうがいい。のじゃないかと思うけど。

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島を旅するときが楽しいですね。
遠くに眺めるのも好きです。
楽園なんてないんですけどね。

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