ムッシュの読書紀行
人生は旅のようだと言いますが、旅が人生かも知れません。 ぼくは活字中毒気味でもあり、旅はまだまだ続くでしょう。
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リビングで読書
リビングで本を読んでいた。白いレースのカーテンがゆらいでいる。どこかでイヌが吠えているよう
だが、やがて静かになった。うららかな陽がさしてあたたかい。おやっ、あの鳴き声はと耳をそばだ
てる。どうやらメジロがやってきているようだ。そっとのぞくと木に吊るしたワイヤの籠のなかのミ
カンの実をついばんでいる。かれらは甘いものが好きだ。数羽が鳴きかわしながらミカンを食べてい
る。もうすこし暖かくなってくると山へ帰ってしまうのだろうな。いましばらく眺めていたくなる。
そこへうるさく鳴くヒヨドリがやってきた。たちまちメジロは四散する。おいおいヒヨドリはあっち
に行けよ、と追っぱらったがメジロはもどってはこない。そこで急にやるせなくなった。俺は差別主
義者なのか。メジロはかわいい。ヒヨドリはかわいくない。そんなことで差別していいのか。ヒトは
見た目で差別する動物なんだ。とくに故なくカブトムシではなくゴキブリを嫌うのがその証拠だ。

N7425二羽のメジロ

「赤の女王 性とヒトの進化」 マット・リドレー 長谷川眞里子訳 ハヤカワ文庫 ★★★★
生物学の分野では「赤の女王仮説」として知られるものがある。「鏡の国のアリス」のなかで、アリ
スが出会うあの女王のことである。赤の女王は走り続けるのだが、永遠におなじ場所にとどまってい
る。風景が彼女についてくるからだ、とされています。つまり、すべての進歩は相対的である、とい
う概念のことをいうです。この考え方は、進化の理論にますます大きな影響を与えるようになってき
ていると著者はいいます。
『速く走れば走るほど、世界はまた速度を増し、それだけ進歩は少なくなる。人生はチェスのトーナ
メントだ。ゲームに勝ったところでまた次のゲームに進まなければならない。しかも「駒落ち」とい
うハンディを負って。』
科学万能の昨今の世のなかだが、進歩が相対的となれば幸福も相対的なのか。という疑念もわいてく
る。絶対的真理などというものがあるのか。ニュートンの万有引力の原理が支配していた世界は、ア
インシュタインの相対性原理の宇宙にはいりこんでいった。物質の存在も、ハイゼンベルグの不確定
性原理によって確定できないものになる。さらにはニールス・ボーアらが提唱する量子論により確率
的なものになっていった。物質が確率的に存在するとはどういうことなのか、直感的には理解しがた
いのである。そんなことを思いながら本書を読みすすめていった。さて、リドレーは進化に関するこ
んな古いエピソードを紹介している。
『ある哲学者とその友人がクマに襲いかかられたときのことである。二人は一生懸命逃げたが、途中
で論理的思考をする友人がこう叫んだ。
「むだだ、しょせんクマより速く走るなんてできやしない」
 すると哲学者はこう答えたのだった。
「クマより速く走る必要などないのだ。ただ、君より速く走らなければならないだけだ」』
そうなのだチーターに攻撃されたカモシカは、チーターより速く走ることではなく、他のカモシカよ
り速く走れれば危機を脱出することができるということなのだ。進化とはそういうものなのだという。
ヒトの知性はなぜ進化したのか、脳はなぜおおきくなったのかもおなじではないのか。ケンブリッジ
大学の心理学者ニコラス・ハンフリーは次のような解答をだした。
『我々が知性を駆使するのは、実際的な問題を解決するためではなく、機知により他者を出し抜くた
めなのだ。人を欺くこと、他人の欺きを見破ること、人の動機を見抜くこと、狡猾に人を操ること。
これらのために知性は使われるのである。つまり重要なのは、どんなに賢いか、どんなに狡猾かでは
なく、どれだけ他人よりも賢く、狡猾かなのだ。知性の価値は無限である。同種内淘汰は、異種間淘
汰よりもはるかに重要なのである。』
なかなか興味深い説である。また、進化から道徳的結論を引き出すことはできないとリドレーは書く。
『「自然」だからといってそれが正しいことにはならない。類人猿が日常的に殺害を行い、人類の祖
先もそうであったという意味においては、殺人は「自然」である。偏見、憎悪、暴力、残虐。これら
はすべて我々の本性の一部なのである。そしてしかるべき教育によってこれに逆らうことはできるの
だ。本性は柔軟性に欠けているわけではなく、融通がきくのである。さらに、進化に関して最も自然
なことは、ある種の本性は他の本性と敵対するということである。進化の行きつく先はユートピアで
はない。ある男にとって最善の状況は、他の男にとって最悪の状況、ある女にとって最善の状況は、
ある男にとって最悪の状況という事態に導くのだ。どちらかが「不自然」な運命を余儀なくされるの
である。これが赤の女王のメッセージの核心である。』
本書は文庫ながら、本文だけで545ページもある。すべてを紹介することはできない。いたるとこ
ろになるほどといえる知見がある。根気のある方には是非ご一読をおすすめする。読んでおもしろか
った、と思えるのではないか。

「「婚活」時代」 山田昌弘 白河桃子 ディスカヴァー・トゥエンティワン ★★★★
パラサイトシングルということばを山田氏の著書で知ったときの驚きはいまでも覚えている。あれか
らどれくらい経ったのだろうか。いま日本では「就活」とも密接に関係する「婚活」が話題だ。これ
らをどう考えればいいのだろうか。「規制緩和」によって、就職活動を積極的にする、いやしなけれ
ばならない時代に変化していった。山田氏はこういう。
『では、もう一方の結婚はどうかというと、状況は同じです。男女交際に関する規制緩和が起きたが
ゆえに、自動的に結婚できない時代が出現しています。つまり、個人が、意識的に結婚活動を行わな
いと、よい結婚相手どころか、結婚自体をすることがむずかしい時代に突入しているのです。』
職場結婚やお見合いではなく、恋愛結婚があるべき結婚だという時代感覚もあったのでしょう。だか
ら結婚適齢期ということばもある意味、否定的な含みをもってきていたのです。
『結婚年齢が多様化しているとか、結婚しない人が増えているというと、一般には、自分の意志でそ
うしている人が増えたからだと思われがちですが、実際には、まったく逆です。結婚年齢がばらつく
ことにより、逆に、自分の思ったタイミングで結婚できるとは限らなくなってくるのです。就職にし
ろ結婚しろ、自由化が起これば思いどおりにならなくなる、というパラドクスです。』
うーん、ちょっと学者っぽい発言だな。それに比して白河さんはどうみているのか。女性にとって、
結婚とはしなければならないものではなくなってきている、という。
『つまり、依存型、自立型、どちらのタイプの女性たちにとっても、結婚がかつてのような生活必需
品ではなくなってきていること、それが根底にある要因だと思います。生活必需品ではなくて嗜好品。
だから、自分の嗜好に合わない結婚ならしたくない、というのが、本音でしょう。』
女性経験のない男ほど女性に対する要求水準が高い、とくにビジュアル面でと白河さんはおっしゃる。
まあ、ひとことでいえば身の程知らず。よくいえば、それだけうぶなのだ。しかし、男のうぶはどう
しようもない。だから売れ残る。もちろん、女性陣も結婚の条件にこだわりはある。
『たしかに、女性の「経済力へのこだわり」に相当するものが、男性の「外見と年齢」へのこだわり
なのでしょう。けれども、女性のこだわりは現実に立脚したものであるのに対して、男性のこだわり
はファンタジーだと思います。』
ファンタジーを求める男。つまり、おたくだ。だから、現実をわきまえてそれなりの社会でのポジシ
ョンを確立している男はある意味そういう女性に幻滅する。だから、なかなか結婚に対する腰をあげ
ない。そいう男が独身で一人いると、最低五人の女性が引きずられてしまうのだ。そして婚期を逃す。
『「結婚しない男」には婚活は必要ありません。必要なのは、流される勇気だけです。それをもてば
すぐに結婚できます。婚活が必要なのは、男磨きしないと「入り口すら入れない人」「声をかけられ
ない人」です。女性の目線の範囲内にとまるように男を磨き、傷つくことを恐れぬ勇気をもつことが、
彼らの婚活です。』
こうしてミスマッチが重なって、結婚しない結婚できない男女があふれてくる、のだそうだ。そうい
うことなんですかね。なるほど、ね。って他人事ですが、むずかしいものなのですね。

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島を旅するときが楽しいですね。
遠くに眺めるのも好きです。
楽園なんてないんですけどね。

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