ムッシュの読書紀行
人生は旅のようだと言いますが、旅が人生かも知れません。 ぼくは活字中毒気味でもあり、旅はまだまだ続くでしょう。
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植物園で読書
園をはいってまっすぐに歩いていくと池につきあたる。水面を葉が覆っている。欄干にもたれて水面
をながめる。ところどころにコウホネの黄色い花が咲いている。トンボがどこからか飛んできて、ど
こかへ去っていく。二重連になって飛ぶのもいる。睡蓮の葉にいるのはお相手をさがしているのだろ
うか。じっと見ていると、ついとあらぬ方向へ飛んでいってしまうのだ。水辺のベンチに腰かけて、
頭のうしろで手を組んでぼんやりしていた。空には積乱雲がもくもくとたちのぼっている。まだ暑さ
もそれほどではない。木陰をわたる風がここちよい。本を読むならこんなときだな。すこし読んでは
かたわらに伏せて置く。どこかはるかな地でもこうして本を読んでいる人がいるんだろうな。どんな
本を読んでいるんだろうか。まったく思い浮かばないが、それでも楽しい気分にはなる。蜂がどこか
らかブンブンと飛んできて、なぜか文、文と聞こえ、おかしくなってひとりで笑ってしまった。

N9465睡蓮の花

「失踪」 ティム・クラベ 矢沢聖子訳 日本放送出版協会 ★★★★
この本はサイコ・ミステリとよばれる分野なのだそうだ。ミステリとは、フィクションでは推理小説
のことを指すことがおおい。だが、神秘、不思議という意味でもつかう。まさしく人の心理は神秘的
でもある。さらにサイキックな人物ともなれば、常軌を逸する感覚に支配されているのだろう。そこ
がまた興味をひかれる点でもあるのだが。だからかどうか、ストーリーはすっきりと解決というよう
にはならないのだ。そこがまた、ある種の魅力でもあるのだろう。人生も同様で、きっちりと割り切
れることのほうがすくないのではないか。そう思えば納得できる結末でもある。
レックス・ホフマンとサスキア・エイルベストはバカンスを楽しむべく車で地中海へと向かっていた。
とあるガソリンスタンドに止めたとき彼女はトイレに行くと言った。ついでに冷たい飲み物も買って
くると。ところがいつまで経っても帰ってこない。だれに聞いても知らないというばかりだ。そこで
消息はぷっつりと切れた。一方で、レイモン・ルモルヌは青年時代から着々と女性を誘拐する手段、
手だてを実行するシミュレーションを重ねていた。それはなんどもなんども。結婚して子どもができ
てからも、ただ仕事をこなすように淡々と。
レックスはサスキアのことを忘れてはいなかった。いろいろと探した。さらには大枚の金を使って新
聞広告をだした。するとある男から「新聞で広告を見ました」と連絡があった。レックスは彼つまり
犯人であるレイモンに会ったのだ。なぜか彼が犯人だと確信したが、確かめたかった。
『「「死んだんですね、彼女は?」
「ええ」
「やっぱり」レックスはつぶやいた。
 男は芝居がかった様子でじっと前方を見つめながら、両腕をまっすぐのばしてハンドルを握った。
何度も鏡を眺めながら、どんな表情をつくるべきか練習を重ねたとでもいうような感じだ。話す言葉
も、まるであらかじめ考えて暗記していたようだった。突然、レックスの心から、この数年募るいっ
ぽうだった不安が嘘のように消えた。彼がなによりおそれていたのは、サスキアを誘拐した犯人が死
んでしまって、すべてが永遠の謎になることだったのだ。』
ここから先ストーリーがどう展開していくのかは、書くことができない。いままでとはちがう。それ
がサイコ・ミステリとよばれる所以なのかもしれない。

「指からわかる男の能力と病」 竹内久美子 講談社+α新書 ★★★★
世になかにはいろんなことに興味をもつ人がいる。本書のテーマについてもそうだ。しかし科学者は
それを万人にデータ論証しなければならない。世のなかにおこる現象は、すべてなんらかの原因・結
果という連鎖がある。これについては、異論もあるがおおむねそう考えていいと思う。しかし現実的
には、それらがすべて単純な式で表されるということにはならない。ここに思い違いが生じる。なん
らかの因果関係があると仮定することはできる。できるが、それらをすべて解き明かせるかというこ
ととは別問題である。量子理論が代表的なものだが、解は統計的な意味しかもたないということにな
る。竹内女史が気にする男の指の問題もそれと似ている。なぜ女が男の指に惹きつけられるのか。な
んだか恥ずかしくて言いだしにくいには理由があった。受精卵が細胞分裂を繰り返しながらその動物
らしい形になっていく発生の過程で、Hox遺伝子がその形づくりを担っていることがわかってきた。
染色体のある領域に一〇個くらいのHox遺伝子がずらりと並んでいる部分がある。その終りに近い
Hox遺伝子ほど末端部分、つまり生殖器や腕や脚でいえば末端である指をそれぞれ担当している。
ほぼ同じメンバーが担当しているのだから指を見れば、生殖器の出来栄えがある程度想像できるとい
うことになる。そういうことがあるので、知ってか知らずかなんだか恥ずかしいとなってくる。こう
いうことを研究した人はもちろんいます。その研究によると、身長でもなく体重でもなく、指とペニ
スとの間に一番強い相関が現れたという結果になった。「相関」であるからあくまで傾向なのだが、
やはり気になる。その他いろいろと紹介があるのだが、それ以降では指比による。この指比となにか。
『指比とは、「薬指の長さ」に対する「人差し指の長さ」の比。要は「人差し指の長さ」割る「薬指
の長さ」で、基本的に右手で測ります。指の男女の差がより大きく現れるのが、右手であるというの
がその理由のようです。
 また、手の甲の側でなく、手のひらの側で測り、それぞれの指の付け根にあるしわ(薬指ではしわ
は二本あっらりしますが、その場合は手のひらに近い方)の真ん中の点から指先までの長さを測るの
です。』
この指比なのであるが、男の場合、値が低いほど、男性ホルモン(テストステロン)のレヴェルが高
い傾向にある。女性の場合は、値が高いほど、女性ホルモン(エストラジオールなど)のレヴェルが
高いという傾向があるということだ。つまりふたつの指の長さに差があるほど男らしい。女性は二本
の指に差が少なければ女らしいということになるのだろうか。しかしこんなこともわかってきている。
『女性ホルモンの代表格である、エストロゲンには、女としての魅力を演出する作用があることはも
ちろんです。しかし一方で、エストロゲンの構造が少し変化した物質には、恐ろしいことに強力な発
ガン作用があります。DNAの塩基にくっつき、遺伝子に傷をつけてしまうのです。
 このあたりの事情は、男性ホルモンの代表格であり、男の魅力を演出する、テストステロンが同時
に免疫を抑制するという恐ろしい働きを持つ現象とよく似ています。』
なにごとにも功罪ありで、そううまくはいかないようになっている。天は二物を与えず、でしょうか。
いろいろと気になる方は是非ご一読ください。気に病むというのが一番よくないようですから。

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島を旅するときが楽しいですね。
遠くに眺めるのも好きです。
楽園なんてないんですけどね。

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