ムッシュの読書紀行
人生は旅のようだと言いますが、旅が人生かも知れません。 ぼくは活字中毒気味でもあり、旅はまだまだ続くでしょう。
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深夜急行で読書
青森駅は深夜のなかでうずくまっていた。そんななかプラットホームを駆けぬけていく足音だけが高
く響く。硬直した背もたれの四人掛けのいっかくになんとか座れた。ほぼ満席である。どこにこれだ
けの人間がいたのやらと思う。やがて喧騒も鎮まり密やかに列車は走りだす。「北国」はこれから二
〇時間をかけて終着の大阪駅まで日本海の沿岸を走るのだ。列車のなかでは興奮さめやらぬ若者たち
が歌をうたう。まるで歌声喫茶のようだが、表立っての文句はでなかった。そのうちだんだんと静か
になっていった。読んでいた本を伏せ窓の外をながめる。真っ暗な闇だけがひろがっている。横では
友がやすらかな寝息をたてている。その顔を見ていたらなんだかやさしいような気持ちになった。疲
れているんだろうな。なんでも率先してやる頑張りやだからなあ。そろそろ空があかるくなろうとす
る時刻にちかづいてきた。またもやぎらぎらと輝き照りつける夏が、むくむくと起きあがってくる。

9327白夜

「医療が病いをつくる」 安保徹 岩波書店 ★★★★
現代の最先端医学は一般人には理解しがたいところがある。また医療における検査数値というのも微
妙なものが多い。薬が病気を治すというのは正確ではない。薬にはかならず副作用がある。これがよ
くわかっていない人が多い。なんでも、どんなささいなことでもすぐに薬に頼る。だが、副作用があ
ることは処方箋でよくわかる。この胃薬を飲むと胃が荒れる可能性があるので、その荒れを抑えるた
めの薬ですなどと説明される。この薬を飲むためにはこの薬を飲む必要があるのか。だからやたらに
薬の種類が多くなってくる。こんなことでいいのだろうか。製薬会社救済キャンペーンみたいだ。そ
こで本書ではこんな紹介文章を見つけた。みなさん自分で判断してください(笑)。
『ここで、アメリカで評判の医師用教科書『ドクターズルール四二五』(邦訳『医師の心得集』の一文
を紹介する。
  「可能ならすべての薬を中止せよ。不可能なら、できるだけ多くの薬を中止せよ」「薬の数が増
  えれば副作用の可能性はネズミ算的に増える」「四種類以上の薬を飲んでいる患者は医学知識の
  及ばぬ危険な領域にいる」「高齢者のほとんどは薬を中止すると体調がよくなる」』
しかし最後は本人の免疫力が体を正常にもどすのだ。もちろんヒトには免疫力という自己修復機能が
ある。その観点からガンを見直すとこういうことになるのだそうだ。
『弘前大学医学部生化学の佐藤公彦氏によって、「癌自体が生体防御反応の一つ」という考え方が最
近提起されている。癌細胞が、激しい交感神経緊張状態によって産生された体内毒物(代謝産物)を
排除するという考え方である。もしそうなら、交感神経緊張を止めると癌の存在意義がなくなり、癌
が自然退縮してしまうこととつながってくる。
 なぜ癌細胞が毒物を排除できるのであろうか。その理由は、癌細胞は増殖能も高いがアポトーシス
で死ぬ力も強いからであろう。』
最後は自己責任である。そのためには知ることは大切である。人の意見は人の数だけある。確かなセ
オリーだといわれていてもひっくり返ったことは過去にいくらでもある。これからもあるだろう。人
は誤るのだ。医者の言いなりになって過ごすか、自分で決断して生きるか。医療機関はあくまでも助
言者であると肝に銘じなければいけないんでしょうね。コレステロールについてもひとこと。
『コレステロールはすべての細胞の構成成分であり、また、ステロイドホルモンや性ホルモンそして
ビタミンDの原料となっている。極めてからだに必要なものである。
 血管に付いて動脈硬化を引き起こす以前のその大切さを知らなければならない。』
ヒトの身体を構成するものに不必要なものなんてあるのだろうか。すべてはバランスのうえで成り立
っているのか。そこで思いだすのだ。腹八文目、これはなにを意味しているのだろうか。

「身体から革命を起こす」 甲野善紀 田中聡 新潮社 ★★★★
甲野さんのことは養老先生との共著で知りました。人間の動きを分析する西洋的観点からではなく、
日本の武術につながる動作から読み解いていく。なかなかおもしろいですね。剛よく柔を制す、など
ともいいます。この剛は直線的、柔は円環的とわたしは理解しています。筋肉の使い方も、まったく
考え方がちがっているようです。そこがまた興味深いです。実践している姿が美しいですね。よくス
ポーツ選手などでボディビルダーのように筋肉を鍛えている方がいます。なにか可笑しさを誘います。
なにが目的なんだ、と思ってしまいます。思い込みというのはどんな世界にもあるようです。超一流
になるとさすがにそういう人はすくないようですが。
『甲野は、「小成は大成を妨げる最大の要素である。そこそこの成功は、それ以上のものを追求させ
ないための強力な目かくしとなる」と言う。
 人は、自分の「実感」を否定することは難しい。まして、それまでにしてきた苦労を愛さずにはい
られない。苦労して上位に上ってきたシステムを愛し、利権を守ろうとする官僚的な発想に、「実感」
も冒されている。
 だから「実感」と思うなかにひそむ観念性を見抜き、生きているものとしての身体を見出さなけれ
ば、いくら身体や感覚が大切だといっても、結局は観念を見ているだけに終わりかねないのだ。』
また甲野はこんなことを言う。スキーや自動車レースは相当技術が発達している。それは死の危険が
隣り合わせにあるからだろう。だが、ゴルフはそういうことがない。だからこう感じるのだ。
『ゴルフには、およそ身の安全にかかわるような事態はないわけです。それで動きの転換も生まれな
かったのでしょうね。そもそも私がゴルフを見ていておかしいと思うのは、ボールを見て打つという
ことです。これから打つ先を、なぜ見ないのか。
 ボールを見て打つのは、ボールを見ないとうまく当たらないとか、軸をブラさないとかいう理由で、
ほとんどのゴルファーはボールを見て打っていますね。有名選手では、わずかにデュバルとか女子の
ソレンスタムが比較的早く顔を上げていますけれど、まだまだその程度です。
 しかし、、もし敵が攻めてきたときにゴルフ用具を武器にして対抗するしかないという状況になっ
たとすれば、絶対に、ワーッと攻めて来る相手を見てその位置を確認しながら打つでしょう。攻めて
くる相手を見ないで、ボールを見ているわけがありません。心理的な面から考えてもそうでしょう。
 これは開拓時代のアメリカで腰に下げたホルスターから拳銃を抜いて撃ち合うのに、相手を見ずに
自分の腰に下げた銃を見て撃つ人がいないのと同じです。』
なるほど、その視点にはおそれいるのである。だれか有名ゴルファー反論してください。

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島を旅するときが楽しいですね。
遠くに眺めるのも好きです。
楽園なんてないんですけどね。

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