ムッシュの読書紀行
人生は旅のようだと言いますが、旅が人生かも知れません。 ぼくは活字中毒気味でもあり、旅はまだまだ続くでしょう。
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札幌のひと
もう三十年以上も前のことだ。
札幌冬季オリンピックを来年に控えていたので時期をよく憶えている。
ひょんなことから、ある女性と知りあう(?)ことになる。

ある日のことである。
短大生のNさん(M島の二女)がマンドリンクラブの演奏会に出るという。
じゃあ見物がてらにでも集まらないか、と声がかかった。

三々五々、今は震災で建替えられたK国際会館の前に旅の仲間が集まってきた。
なかに一人知らない女性がいたが、だれかの友人なのだろうと気にもしなかった。

演奏会も無事に終わって、会館の前で再び集合した。
ひさしぶりだし、喫茶店にでも行こうということになった。

席に落ち着いてから、あの女性はだれだ?と聞いた。
すると、さあて知らない顔だな、という。
何人かに聞いても要領をえない。
いったいぜんたいどうなっているんだろう、と思っていると、
ひとりが、昨日近くのユースに泊まったんだよ、という。
今朝この会場に来る前に、その女性が所在なさげにしてるので、
どうしたんだと聞くと、行くところがないと言う。
じゃあ、いっしょに行くかと聞いたら、行くというので連れて来た。
ふーんそうなのか、とそれ以上は考えもしなかった。

しかし、さて解散というときになって。
「ムッシュ、彼女のことをよろしく頼むよ」
「おいおい、よろしくったってどうするんだ」
「そこのところは、うまくね」
「あのなあ…」

おまけに彼女はこちらを向いて、ぺこりと頭を下げた。
(どうなってるんだ、と叫びたい気分だった)
(とはいえ、ひとり残して帰るわけにもいかない)
あっというまに、二人きりになってしまった。

彼女がぽつりぽつりと話し出した。
いま札幌の女子短大に通っているという。
まわりをみると、来年の札幌オリンピックのことばかり。
それも、入場式でどこの国のプラカードを持つかといったつまらない話ばかり。
なんだかそんな連中といっしょにいるのが嫌になって出てきたんです、という。
あまり話さなかったが、家庭の状況も複雑そうな雰囲気だった。

とりあえず今夜はもういちどユースに泊まるように説得して、
また明日ゆっくり話をしようということで、ひとまず別れた。

それまでは気づかなかったが、肌は透きとおるように白かった。
しかし、言葉の端々から意志の強そうなところもみせていた。
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島を旅するときが楽しいですね。
遠くに眺めるのも好きです。
楽園なんてないんですけどね。

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