ムッシュの読書紀行
人生は旅のようだと言いますが、旅が人生かも知れません。 ぼくは活字中毒気味でもあり、旅はまだまだ続くでしょう。
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「初めての真鍋島紀行」(三)
 玄関から階段を上がったとっつきの部屋は「大海原」といった。
広い畳敷きの食堂兼ミーティングルームだ。
この部屋では、廊下に積んである長テーブルが組立てられ、人数に応じて配置される。
そこに、茶碗、お皿、湯飲みといった食器類を運ぶ。
テーブルの上には、食器を並べる。
次々に運び込まれるフライや、てんぷらを盛りつけていく。
二人一組で、仲良くよくやっていく。
魚の煮付けも、でき上がってくる。
鍋からは湯気がわき上がっている。
サラダも忘れずに皿に盛る。
なんとか食卓の格好がついてきた。
お腹も空いてきた。時間は、七時半だ。
ふつうのユースなら食事の終わっている時刻だ。
 八時になって、食事の用意ができた。
のんびりそのものであるが、しかしとにかく飯だ。
夕食を待ちかねていた若者たちの胃袋は、健康そのものだ。
大きな釜の飯を、あっと言う間に空にしてしまう。
楽しげな、満足そうな顔をしている。
生きるために喰うのか、と問われれば、瞬時にそのとおりだと答える。
そのことになんの疑問があるだろうか、と思わせる光景だ。
健康な者のみが発散させうる、甘酸っぱい汗のにおいが大海原に充満している。

見返り峠から

 このあとどうなるのだろうと思っていると、ミーティングがあるという。
旅慣れた若者が、これから始めます、大海原に集合してくださいと声をかけた。
食後そこらじゅうに散らばっていた若者が集まってくる。
たちまちにして、部屋はもとの活気をとりもどす。
みんなでフォークソングをうたう。
この時代と云えば「遠い世界に」が代表的な歌だった。
あまり上手とはいえないギターの伴奏で歌う。
何曲か歌ううちに、参加者の気分も徐々にほぐれてくる。
 大勢で歌うというのは、不思議な効果をもたらすものだ。
見知らぬ人に話しかけるのが苦手だ、という若者が多い。
どう話しかければいいのかわからないで、曖昧に笑っていたりする。
楽しげに話し合っている者たちのそばにいて、孤高を保つのは寂しいものだ。
話の輪にはいろうとして、言葉を考えに考え抜く。
しかし話の流れに乗り遅れた一言を発したときは虚しい。
暗い穴に、足元から根こそぎ落ちていくかのような気分だ。
それにひきかえ、大勢で歌うということは、なんと人を打ち解けさせるのだろうか。
観念におぼれずに、口動に移せということだろうか。

 そのあと、ゲームなどをやったりして、夜半になろうかという頃だった。
この「三虎YH」のペアレントの通称おじさんの登場であった。
人なつっこい笑顔をみせたあと、とつとつとしゃべり始めた。
自分が興味を持っていること、自分が考えていることをゆっくりと話す。
しばしば途中で、話は唐突にとまる。
思い出すかのように、また話は続いていく。
若者たちに話しているというよりは、自己との対話を声にだしているような感じた。
緊張感と眠気と疲労が混じり合った不思議な空気のなかにいた。
話が終わったとわかったとき、みんなの顔に安堵の表情が波紋のようにひろがった。
ぼくには確かにそう感じられた。
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テーマ:真鍋島の愉快な仲間 - ジャンル:旅行

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遠くに眺めるのも好きです。
楽園なんてないんですけどね。

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