ムッシュの読書紀行
人生は旅のようだと言いますが、旅が人生かも知れません。 ぼくは活字中毒気味でもあり、旅はまだまだ続くでしょう。
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ご自愛ください
Kさんはそう言ってその日の船で東京へ帰っていった。
なんだか変だなあとは思っていたのだが、その後門限(?)は緩和されたらしい。

そのときの写真を同宿者からもらったので送ってあげた。
それがきっかけでときおり手紙をやりとりするようになった。

彼女は大学生でK女子大に通っているといっていた。
だがぼくは、その大学が東京のどこにあるのかも知らなかった。
なんとなく緑に囲まれたキャンパスを想像した。

わたしは案外おてんばなんですよ、という。
バスケット部のマネージャーなんです。
この身長でたまには試合にも出るんですのよ。
とまたいかにもおかしそうに笑っていたのを想いだす。

島からの帰りだっただろうか、神戸にやってきたことがある。
いまはない元町の米軍払い下げの店や、薄暗い高架下商店街を案内した。
お嬢さん育ちのKさんには刺激がきついかなとも思った。
しかし、案ずるよりは産むが易し、だった。
いかにもはじめての経験だというふうに驚き、楽しそうに笑った。

そんな彼女が亡くなったと突然知らされた。
秩父のほうの山で滑落したということだった。
そのころ大学の研究室にいて、まだ二十代の若さだった。

3314花

Kさんからの便りは和紙の便箋に流れるような行書だった。
ぼくのことをヤンチャぼうずと思っていたのだろうか。
手紙の最後にはいつも「ご自愛ください」と書かれていた。
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島を旅するときが楽しいですね。
遠くに眺めるのも好きです。
楽園なんてないんですけどね。

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