ムッシュの読書紀行
人生は旅のようだと言いますが、旅が人生かも知れません。 ぼくは活字中毒気味でもあり、旅はまだまだ続くでしょう。
09 | 2017/10 | 11
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

東京小旅行(一)
東京へは金曜日の夜行バスで行くことになった。
若い頃には、なんどか当時国鉄のドリーム・バスなるものに乗ったことがある。
とにかく安くが合言葉で、東京のミニ周遊券(一週間有効だったか)で乗れたと思う。
現在のような設備ではなく、普通の観光バス車輌だったのでけっこう窮屈だった。
しかし、若さがそれを凌駕して東京へと向かわせたのである。
リクライニングシートを倒しながら、そんなことを思いだす。

定刻より早く東京駅に到着した。
早朝の六時前ではどこの店も開いてはいない。
やっと始発電車が動きだしたので、御徒町へむかう。

前夜、三宮の居酒屋でSN氏と飲みながら話していた。
「その銭湯なら、なんべんか行ったことがあるわ」
「東京の銭湯は熱いでえ」
「まあ、よい旅を」

駅で地図を見たりしていると、おじさんが声をかけてくる。
事情を話すと、方向を示してすぐそこだよと教えてくれた。
松坂屋の脇を抜けると、むこうに煙突が見えてきた。
さて目的地の「燕湯」にやってきた。

4686燕湯

玄関先で写真を撮っていると、旅行者らしき若い女性二人組が入っていった。
引戸を開けて、番台で料金450円也を払う。
(座っていたのは、妙齢の女性でありました)
案じていたのだが、脱衣ボックスは大きくてリュックの収納もだいじょうぶ。
なにげなく見あげると、棚になった上にはカラフルな洗面籠が並んでいる。
常連客の湯道具キープということになるのだろう。

浴室に入ると、思ったよりはこじんまりとしていた。
それでもすでに七八人の先客があった。
正面にはあたりまえのように富士山が描かれていた。
湯ぶねには一人だけだ。
ざっとかけ湯をしてから、おもむろにからだを沈める。
そんなに熱くはないなと思っていたら、肌がちくちくとしてきた。
熱いというより、刺すような感覚におそわれるのである。
何分入っていただろうか、あがって自分のからだを見ると真っ赤になっていた。
あたりを見回すと、湯ぶねにつかっていた人はみんな皮膚が赤い。

脱衣所で服を着ていると、なにか汗臭いようなすえたにおいがする。
あとからあがってきた年齢は五十代後半だろうかという人を観察してみる。
脱衣箱からおおきな風呂敷包みがひとつでてきた、加えて手提げの紙袋がひとつ。
すこし驚いたのは、下足札が二枚手のなかにあったことだ。
(これでほぼ彼が宿無しなのが確信できた)
(そのせいかどうか、カルキ臭がいつまでも残った)

そう思うと、若い人のなかにもそれらしき人がいる。
ネットカフェで時間をすごしてきたようないでたちの人がである。
くたびれたような服装で、そのくせ胴回りだけは肥っている。
銭湯の450円は、彼らにとって高いのか安いのか。
牛丼ならば、卵もつけられる値段ではないのか、などと思ってもみた。
しかし、銭湯の番台の女性も常連客も彼らに非難の目はむけていなかった。
さすが東京、坩堝の街であるという感慨がわいた。

湯上がりのからだに冬の風がこころよい。
相方と話しながらふたたび駅へもどろうとすると、
前方を風呂敷包みをもった先ほどの人物がひょこひょこと歩いていた。
やがて右側へと、ビルの影に消えていった。

4689御徒町
スポンサーサイト

テーマ:真鍋島の愉快な仲間 - ジャンル:旅行

この記事に対するコメント

この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
→http://moucheokuno.blog26.fc2.com/tb.php/655-a1dcb350
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

ムッシュ

Author:ムッシュ
島を旅するときが楽しいですね。
遠くに眺めるのも好きです。
楽園なんてないんですけどね。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カレンダー

09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

カテゴリー