ムッシュの読書紀行
人生は旅のようだと言いますが、旅が人生かも知れません。 ぼくは活字中毒気味でもあり、旅はまだまだ続くでしょう。
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感情移入
たしかそんな書名の本があったと思って、ごそごそとさがしてみたらでてきたのがこれだ。

4754ヴォリンゲル

ずいぶんと前になるが、岩波文庫は★の数で値段を表わしていた。
これを買った頃は★ひとつが50円、これはふたつなので100円ということになる。
(奥付をみると、初版は昭和二八年、昭和四七年一九刷、もちろん旧仮名遣い)
もとは哲学や心理学の用語であったのが、いまではだれもがあたりまえのようにいう。
他人(ひと)の気持ちを知ろうとするならば、その人になりきって考えてみる。
哲学的には、それでは他者のなかにある自我しかみいだせないではないか、となるかな。
そういうことではなく、小説を読んでいて主人公になりきっている自分を発見することがある。
いまここで起きていることを経験しているのはいったい誰(わたしか)なんだ、というような。
現実の生活では味わうことのできない世界を生き、体感しているのである。
そういう感情が起こってくることが、読書の楽しみのひとつでもある。

「カリスマツアコンのどうしようもなく日本人」 柳沢正 講談社 ★★★★
ツアーコンダクターの柳沢氏はいろんなお客と遭遇するのである。
旅慣れぬ人もあれば、傲慢でわがままな人もすくなからずいる。
だがその評価も確固としたものでないことは、日常性格でもよく経験することだ。
あの人が、と意外な側面におどろいたり、感心したりするのである。
旅の楽しみ方は千差万別であるから、決めつけた言動は人々を萎縮させる。
そんなこんなを感じながら、今日もツアコンさんは旅をゆくのである。
『おそらく宇宙の情緒は、うっすらとした哀しみだ。
たまたまその中に奇跡的に命をもらった生き物たちは、
この恩恵にあずかって、祝祭的であっていい。
造物の主の粋なはからいである束の間の命を、こよなく楽しまなくてどうしよう。』
エピソード愉快だが、こんな感想をもつ柳沢氏に共感するものである。

「インド夜想曲」 アントニオ・タブッキ 白水社 ★★★★
はじめに、で書かれたこの文章ではじまる。
『これは、不眠の本であるだけではなく、旅の本である。
不眠はこの本を書いた人間に属し、旅行は旅をした人間に属している。…』
アントニオ・タブッキはイタリアの作家であり大学教授でもある。
日本ではあまり有名ではないが、ヨーロッパではかなり人気が高いらしい。
『見るという純粋行為のなかには、かならずサディスムがある、
と言ったのは誰だったろうか。
思い出そうとしたが、名が浮かばないままに、
この言葉のなかにはなにか真実があるのを僕は感じていた。』
こういう翻訳文学は訳者の力量にもおおいに影響されるだろう。
須賀敦子さんの訳がさらに作品を幻想的にしているのではないかと思う。

「トムは真夜中の庭で」 フィリパ・ピアス 岩波少年文庫 ★★★★
弟のピーターがはしかにかかったため親類の家に預けられることになったトムである。
その邸宅を改造したアパートには床にがっちりと備えつけられた大時計があった。
夜中にその大時計が13の音を打つとき、トムは部屋を抜けだした。
中庭に面したドアをあけたとき、思いもかけない光景を目にすることになら。
昼間とはうってかわったひろびろとした庭園がひろがっていたのだ。
そこでハティという少女に出会う。
だが彼女以外はだれもトムのことに気づかず、見えないようなのだった。
こうして夜ごとの冒険が始まり、トムは家へ帰りたくなくなってくる。
だが、やがて帰りが近づいたある日のこと、意外なことを知ることになるのである。
時間とは、人のこころのなかにある時とはなんだろう、と考えるのもよい。
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島を旅するときが楽しいですね。
遠くに眺めるのも好きです。
楽園なんてないんですけどね。

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