ムッシュの読書紀行
人生は旅のようだと言いますが、旅が人生かも知れません。 ぼくは活字中毒気味でもあり、旅はまだまだ続くでしょう。
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虫の音と読書
秋でもないが、窓を開けていると虫の音と、かすかな蛙の求愛歌(?)が聞こえてくる。
なんとなく本を読みながらも、つい考えがあらぬ方向へさまよいだすのである。
本を読んでいるのと、虫が鳴くのとではなにがどうちがうのだろうか。
ともに生きていることに変りはないのであるが、人の命は地球よりも重いらしい。
そんなつまらないことを考えてもなあ、と思っていたら虫の音が高くなった。
初夏前の夜に、涼しげな風が部屋をぬけていくのがなにかものがなしかった。

「スリーピング・ドール」 ジェフリー・ディーヴァー 文藝春秋 ★★★★
今回はリンカーン・ライムのシリーズではなくそこにも登場していた人物が主人公である。
キャサリン・ダンスは、キネシクス分析の専門家であり、カリフォルニア州捜査局捜査官だ。
キネシクス分析とは、身振り、表情などボディーランゲージ分析によって相手の真意に迫る。
だからダンスは人間嘘発見器などといわれたりもする。
であるから、精神異常者などにはこの手法はつかえないということになる。
事件はカルトのリーダー、ダニエル・ペルの脱獄劇から始まる。
捜査はダンスとFBIにおけるカルト犯罪の専門捜査官オニールを中心にすすめられる。
いくどとなく後一歩というところまで追い詰めるがなかなか捕らえることができない。
「スリーピング・ドール」とは殺害された資産家一家のなかで、
事件当夜偶然に眠っていたために殺害をまぬがれた少女をこう呼んだ。
この少女テレサの証言がこのミステリの終盤になって謎を解く鍵ともなってくる。
後半の行き詰るような展開、逆転はさすがというほかはないのである。

「虫捕る子だけが生き残る」 養老孟司、池田清彦、奥本大三郎 小学館新書 ★★★★
虫を捕ることは一部の教育ママ(?)からは眼の敵にされているようだ。
実は虫を捕るという行動に秘められている教育的な意味をもっと知らないといけない。
そう語り合う三人はご存知日本でも有数の「虫屋」なのである。
虫の発生を知らない人々は、捕る行為をなぜか激しく非難するのである。
だが、ゴルフ場に撒かれて土壌にしみこんで害をなす薬剤には無関心である。
あのように芝生だけが青々としている景観をおかしいと思わないのだろうか。
養老氏はこんなふうに脳の入出力をとらえ、なにが大事かを話す。。
『赤ん坊がハイハイすることには、たいへん大事な意味があるわけ。
ハイハイした瞬間から、自分の手足を使って世界の中を移動するという、
とても知的な作業が始まるんです。これが、脳の発育にとって、とても大きい。
脳性麻痺の赤ちゃんの場合、かわいそうだからと歩かせないでおくと、
言葉が出てこないんです。』
奥本氏のこんな話、知っていますか。
『モンシロチョウがキャベツで死ぬ話は、よく聞きますね。
オオモンシロチョウが外国から飛んできたというので、
喜んで幼虫にスーパーのキャベツを食べさせたら全滅しちゃったって。
芯まで農薬が入ってるキャベツだと、表面だけを洗ってもダメなんです。』
クマゼミが増えたのは地球温暖化のせいじゃないという池田氏。
『植木屋さんが九州から運んできた木が原因で、都市部にクマゼミが増えましたよね。
あれは完全に人為的なものですよ。温暖化のせいじゃない。
九州や四国からクスノキなんかを東京に持ってきて公園に植えるから、
何年か経つと土の中で幼虫だったクマゼミが成虫になって出てくるんだよ。』

「世界と測量」 ダニエル・ケールマン 三修社 ★★★
副題には、ガウスとフンボルトの物語とある。
本書は二〇〇五年秋にドイツで発売され、ドイツ国内だけですでに百二十万部が売れたとか。
カール・フリードリヒ・ガウスは数学者・文学者・物理学者であり、
博物学者・地理学者アレクサンダー・フンボルトと同様ドイツのみならず世界的に有名である。
この知の歴史に偉大な足跡を残したふたりを主人公にした哲学的冒険小説なのだ。
『鼻がかゆかった。蚊に刺されたのだ。
ガウスは汗をぬぐいながら、オリノコ河の蚊についてのフンボルトの報告を思い出していた。
人間と昆虫は今後もずっと、永遠に、未来永劫に共存していくことは不可能だ。
……
人間ひとりにつき百万匹の昆虫がいると言われている。
よほど運にめぐまれた器用な人間であっても、その全部を殺すことなどできはしまい。
……
理性的に考えて、虫のほうが勝利を収めると予想するしかないだろう。』
天才とはこういうものなのか、というステレオタイプも感じてしまう。
これがベストセラーとは、やっぱり国民性(地域性か文化のちがいか)ってのがあるようです。
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遠くに眺めるのも好きです。
楽園なんてないんですけどね。

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