ムッシュの読書紀行
人生は旅のようだと言いますが、旅が人生かも知れません。 ぼくは活字中毒気味でもあり、旅はまだまだ続くでしょう。
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快読
読みながらこれはおもしろいとか、なんだか読むのが嫌になってきたというようなことはある。
もちろん論のすすめかたが粗雑な(わざとか)せいであほらしくなるのもままある。
つまり読者を莫迦(芥川龍之介はこの字を使っていたな)にというか、あまく見ているのであろう。
だがなぜそうなるに至ったかを推理し始めると、逆におもしろくなってくるから不思議だ。
人が主張したり反対するということからは、本人が興味をもっているということしかわからない。
批判するからといって、正しいことをしていることの担保にはならないのである。
そこを正確に理解していないと、まちがった判断をくだしてしまうことになる。
読みながら想像しながら、作者の意図などどうでもよいという世界で遊ぶのが楽しいのである。

「快楽殺人の心理」 ロバート・K・レスラー アン・W・バージェス
                      ジョン・E・ダグラス 講談社 ★★★

快楽殺人とは、なにかのために(例えばお金のためや怨みのゆえに)殺人を犯すのではない。
ただ殺すことが目的である殺人であり、人を殺すことによって快感をえられるという。
それゆえに快楽殺人は連続殺人へと移行しやすいことは容易に想像される。
『思考パターンが行動パターンに与える影響に関するこれまでの研究、
およぼサディスティックな空想についての調査が、われわれの仮説の基盤になっている。
その仮説とは、快楽殺人の動機づけ(モチベーション)は、空想がもとになっているというものである。』
ゆえに、衝動的ではなく頭のなかでいくたびとなくシミュレーションがおこなわれている。
そしてそのシミュレーションからまた快感がえられ、自信も深めてゆくこともあるのだろう。
では、どういう人物が快楽殺人をおこすのだろうか。
『警察が陥りやすい誤りとしては、たとえば次のようなものがある。
ひどくむごたらしい死体切断が行なわれている殺人事件の場合、
警察は性的変質者の犯行と判断し、捜査の対象を性犯罪の前科がある人間に絞りがちである。
しかし、そうした犯行は、
実はそれまで犯罪歴のない人間によって行なわれることのほうが普通なのだ。』
数々の事件を分析し、殺人者とのインタビューによってその心理が追求されていくのである。

「目撃証言」 E・ロスタフ K・ケッチャム 岩波書店 ★★★★
事件が起こったとき、物的証拠とともに決め手となるのが目撃証言である。
自白がその真実性が疑われだしたように、目撃証言もそんなに信用できるものだろうか。
心理学の側面から、目撃者の記憶を検証するのが彼女の仕事でもある。
一般に記憶とはいつでも再生可能なビデオテープのように考えられているがそうではない。
数々の実験や、過去の例を引いて目撃証言の危うさを知ってもらうのが使命だと彼女はいう。
証人が嘘の証言をしているというのではないのである。
記憶というものはどういうものなのか、証言者自身も気づかない落とし穴があるのだ。
『古い格言が教えているように、記憶はただ色あせていくだけではなく、成長する。
色あせていくのは初期の知覚であり、出来事の実際の経験である。
しかし出来事を思い出すときは、いつでも記憶は再構成される。
そして想起するたびにその後の出来事、他人の記憶あついは暗示、理解の深まり、
新しい文脈によって彩られて記憶は変容していく。』
ましてや、物的証拠がいっさいなく、被告にアリバイがあっても目撃者がいる場合はどうなる。
陪審員制度のアメリカでは有罪になる確率が高く、感情が先行してしまうことが多い。

「テレビ標本箱」 小田嶋隆 中公新書ラクレ ★★★
現代においてテレビは、新聞よりも良きにつけ悪しきにつけ影響力がおおきい。
だから見過ごすことなく、まちがったことはまちがっていると指摘する人物が必要である。
影響力と権力はテレビにおいては比例するからこそ、言わなければならないのである。
そこで小田嶋氏は、いいたいことをズバリとなぜそう考えるかとともに言うのである。
テレビを見ているとわかるのだが、声の大きい人は反比例して論拠が乏しい。
あるいは、その理由を隠す(隠せると思っているのか!)べく大声で封じようとするようだ。
正常な神経の持ち主であれば、テレビはテレビでしかないと理解しているのである。
もちろんその映像の圧倒的な迫力は、他に較べうるべきものがない場合もある。
『画面の中で道徳的なことを言っているのは、多くの場合、単に道徳を商売にしている人々だ。
それは、必ずしも道徳的な人物ではない。
お金より大切なものがあることを知っている人間は、テレビなんかには出ない。たぶん』
商業的に成り立っているテレビはたぶんCMのおまけなのだろう、というのは説得力あり。
こうまで名指しで批判しながら嫌な感じをあたえないのは、やはりユーモアがあるからだろう。

1223おたまじゃくし
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遠くに眺めるのも好きです。
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