ムッシュの読書紀行
人生は旅のようだと言いますが、旅が人生かも知れません。 ぼくは活字中毒気味でもあり、旅はまだまだ続くでしょう。
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読談あり
ふらりと立ち寄った書店で、吸い寄せられるようにある棚の前までゆく。
手がのびてある本を抜きだし、書名を読んでみればそれはまぎれもなく探していた本である。
ふむふむと数ページ読みすすんでから、これはどうしたことだろう気づくのである。
なんらかの人知が関することのない力が働いたのだ、ということはたやすい。
しかしよくよく考え思い起こしてみれば、それはあたりまえのことであったりする。
あのとき、欲しいなと思いながらも手元不如意のせいであきらめたことがあった。
そう思い至たると、恋愛の出逢いなどもそういうことがあるのではないか、と疑うのである。

「蒸発した男」 マイ・シューヴァル ペール・ヴァールー 角川文庫 ★★★
ストックホルムの殺人課主任警視マルティン・ベック・シリーズの第二作である。
夏季休暇にでかけていたベックは急遽上司から呼び戻される。
アルフ・マトソンというスウェーデン人のジャーナリストが取材先のブダペストで失踪した。
政治がらみの事件とも予想される状況で、彼はブダペストへと飛ぶ。
劇的な展開があるわけでなく、警察の日常がたんたんとつづくかのような作風である。
アメリカのミステリによくあるようなどんでん返しもサスペンスもない。
読みすすめるうちにこちらのほうがほんとうの捜査ではないか、と思わせるのである。
しかし、ブダペストというのは美しい街なんだろうな、と想像するのである。
最後のほうの事件解決は、やや迫力に欠けるがそれだけに現実的でもある。
スリルとサスペンスに満ちたミステリか、じっくりと読ませるリアリステックがいいのだろうか。
結論としては、いろいろとあるほうが好ましいし、ああだこうだと考えることもまた愉しいのである。

「幕末史」 半藤一利 新潮社 ★★★★
嘉永六年六月、アメリカのペリー艦隊が浦賀に来航してきた。
そして安政から万延、文久、元治、慶応そして明治へとめまぐるしく移り変わる。
幕末はどのように理解されているのか、筆者はこう考えるというのが本書である。
主題は、あとがきにこのように簡潔にまとめられている。
『小学生時代に仕込まれたいわゆる皇国史観(すなわち薩長史観であると思うが)に
少々の異議をさし挟みたいのである。』
鎖国継続か開国するべきか、それに加えて勤皇派と佐幕派がいりみだれる。
それまで蚊帳の外だった天皇が突然舞台に登場するのはどういうことだったのか。
尊皇攘夷とはなにをいうのか、じつに複雑な時代であった。
ついには、武士の世のなかとの決別となる西南戦争が起こってしまうのである。
『戊辰戦争のつづきといえるこの明治の権力をめぐってガタガタした十年間は、
古代日本人的な道義主義者の西郷と、
近代を代表する超合理主義の建設と秩序の政治家大久保との、
やむにやまざる「私闘」であったといえそうです。』
明治の狂歌に時代の空気が感じられて興味深いのである。
「上からは明治だなどといふけれど 治まるめい(明)と下からは読む」
最後には、木戸が亡くなり、西郷が自刃し、大久保が暗殺される。

「イワシと気候変動」 川崎健 岩波新書 ★★★★
資源の枯渇などとよく議論にのぼるが、どれもが同じではない。
『資源とは、人間の利用対象となる自然物のことである。資源には三つの種類がある。
一つは鉱物資源、石油資源などの非更新資源である。採掘して使えば、その分だけ減っていく。
二つめは、水などの循環資源である。海から蒸発した水蒸気は、
雨となって地表に降り注ぎ、人間によって利用されながら河川を経て海に戻る。
淡水は、存在形態は変化するが総量は一定で、増えも減りもしない。
三つめは、林産資源、水産資源(漁業資源ともいう)などの更新資源である。
採取すれば、自然の機能によって、後から再生される。生物資源、再生可能資源ともいう。』
だから、漁業の不振は乱獲がその原因なのだ、と単純に考えやすい。
『水産資源は生物の集団である。
生物は、環境変動に対応して進化し、発展してきた。
伝統的な水産資源学の致命的な欠陥は、
資源の変動要因から環境要因を切り捨てたことにある。
平衡理論に基づくと、資源の減少の原因は、乱獲しかあり得ないことになる。』
では、ほんとうのところはどうなっているのか、に著者はこう答える。
『私は「レジーム・シフト」に「大気・海洋・海洋生態系から構成される地球環境システムの
基本構造(レジーム)が数十年の時間スケールで転換(シフト)すること」という定義を与えている。』
ものごとはなににつけそう簡単にわかった、ということは少ないことがよく分かるだろう。
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遠くに眺めるのも好きです。
楽園なんてないんですけどね。

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