ムッシュの読書紀行
人生は旅のようだと言いますが、旅が人生かも知れません。 ぼくは活字中毒気味でもあり、旅はまだまだ続くでしょう。
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フィクション過ぎる
めずらしいことに続けて読んだ三作がともに小説である。
先だっての引越のときに、ウォシュレット(これは商標だが)と取り付けをおこなったときのことだ。
一階と二階の二台を取り外し、原状復帰するのだが以前はどうなっていたのか憶えてない。
だが、ああでもないこうでもないと考えながら汗を滴らせて作業をおこないなんとか終了する。
途中、配管の長さが違ってくるのでホームセンターへ買い求めに行ったりした。
こんどは転居先で取り付けるのだが、ひとつとして同じというのがない印象だ。
頭のなかではこうすればこうなって、すべてはこともなく終了するのであるが、現実はちがう。
このパッキンは必要か不必要かどうなんだ、クリップがうまくはまらないで汗みずくだ。
これがフィクションの世界だと最後はなんとかおさまると鷹揚に構えていられるのだ。
最近の若者に人気のファンタジーもそういうことなのか、とわかるのである。
現実の思うようにならなさを、逃げるでもないだろうが、忘れて世界に遊ぶのであろう。

4850六甲山系

「逆さまゲーム」 アントニオ・タブッキ 白水社 ★★★★
短篇集なのでどれがということになるのだが、全体にファンタスティックだ。
読んでいてなるほどそうだと知らず知らずに思っている自分を発見するだろう。
でなければ小説の世界にのめりこんでいけないし、つまらなく感じてしまう。
『「わかりません」彼は応えた。「この列車の行き先も知らないんです」
「え、ではどうして乗ったんです?」男は当然な質問をした。「行き先を知らないなんて」
「旅がしたいだけです」彼はいった。「汽車は旅をしますからね」』
 (行き先のない旅)
旅をする汽車に乗っかってあてもない(時刻表を見れば行き先はわかるが)旅をする。
はたして旅をしているのは汽車なのか、自分なのかと考えるのもまた一興である。

「菊葉荘の幽霊たち」 角田光代 角川春樹事務所 ★★★
本田典子は吉元と二人、新しいアパートを探して歩きまわっている。
蓼科という大学生が住むアパートがなぜか気に入り、そこに狙いをさだめた。
典子は大学生のふりをして蓼科に接近、彼の部屋に入り浸るようになって情報を収集する。
ここの住人(六部屋あるのだ)がそれぞれに変わった人生を生きてもいることがわかってくる。
『こうして歩いていると、次第に奇妙な気分になってくる。
こんなにもたくさんの部屋があるのにどうしてみなふさっがているのだろう。
わたしたちが見ているのはすべて賃貸住宅であり、だれもがその部屋を所有せず住んでいて、
きっと何年か後にはそこを出る。しかし現在わたしたちの前に空き部屋はない。
とすると、部屋と人々の数は決定されていて彼らはみな順繰りに部屋という部屋を移動している
としか思えない。わたしたちの知らない隙に、こっそりと。』
部屋に執着するわりには、人間関係にはこだわりがすくないようにも思える。
『「おれは最近ほとほと実感したんだけど、住む場所というのは、
人にとってまったく重要なんだよなあ」』
そうなのかどうなのかは別にして、不思議な魅力をもつ文章を書く作家だと思う。

「夜のフロスト」 R・D・ウィングフィールド 創元推理文庫 ★★★★
さえない風采で、とばすジョークも品がなく場違いでときとしてひんしゅくをかう。
捜査現場でしゃべることも場当たり的な印象をうけるジャック・フロスト警部である。
事務的な管理能力はゼロだから、いつも署長からうとまれているが気にもしない。
だが現場の巡査や刑事にはなぜかうけがいいようなところが不思議な人格である。
そんなフロスト警部のもとにはつぎつぎと事件が飛びこんでくるのである。
それを苦にもせず現場から事件発見者、関係者など根気よく(?)あたってゆくのである。
パートナーとなった刑事は災難というほかない仕事ぶりというか仕事中毒気味なのだ。
ふつうミステリといえばさっそうとした探偵や警部が鋭い推理で事件を解決するもの。
そう思い込んでいる読者には、なんともはやどうなっているのだこの警部はと思わせるだろう。
だが、いろんな事件がしだいにその関係性を帯びてくるのである。
いかにもいそうで、でも実際はこんな警官いないだろうなというキャラクターなのだ。
であるからある段階をすぎると、確実に読むのが癖になるというフロスト警部シリーズものだ。
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遠くに眺めるのも好きです。
楽園なんてないんですけどね。

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