ムッシュの読書紀行
人生は旅のようだと言いますが、旅が人生かも知れません。 ぼくは活字中毒気味でもあり、旅はまだまだ続くでしょう。
07 | 2017/08 | 09
S M T W T F S
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

晩秋の風わたる
敬愛していた日高敏隆氏が11月14日に肺がんのため亡くなった、享年79歳とのこと。
専門は動物行動学で昆虫の性フェロモンなどの研究で知られていました。
氏の文章は歯切れがよく好きで、ずいぶんと読んでいましたからすこし残念ではあります。
一世を風靡した「利己的な遺伝子」(リチャード・ドーキンス著)の訳でも有名でした。
虫好きの人の文章とか行動はなぜか興味がわくというのか、あこがれているような気がする。
小学生時代の夏休みの宿題提出にあった昆虫採集の成果はいつもうらやましかった。
高価そうな器具などとても買えそうにないことがわかっていたからあきらめていたものだ。
いまでも採集することはないのだが、蟻の行動など見ていて飽きることがないというのはわかる。

IMG_5031.jpg

「学問の春 <知と遊び>の10講義」 山口昌男 平凡社新書 ★★★★
専門分野というのはときに閉鎖的な学問へとつながることが多い(いわゆる専門バカだ)。
しかし知というのはそういった人間の思惑などとは関係なく存在するのである。
文化人類学が専門だからといってそんなことにとらわれる山口先生ではない。
みずからの興味の趣くままに探求してゆけば地平はひらけてゆくという考えなのであろう。
『そのときは夢中でそんな気はしないけれども、学生運動は一種の演劇や遊戯のようなものである。
前回の講義で述べた「二つに分かれて競う」ということ。
真剣にやっていた人は遊びでないと思うかもしれないけれども、
そこには一種の演劇性があって、要するに何ものかを演じているわけですね。
無理をして自分を大きく見せたり違ったものに変身して巨大な敵にふつかっていったりする。
だから素顔でやらないで、学生たちは自分の顔を隠す。
手拭いとヘルメットの間で目しか出さないから、自分の普段の顔は隠れて仮面が顔になってくる。
そうすると自己意識が日常性から離れてより高い次元のところまでエレベートする。』
とこうした視点をもてるのはとらわれない目でものを見ているからだと思われるのである。

「前夜」(上)(下) リー・チャイルド 講談社文庫 ★★★★
軍警務官(MP)のジャック・リーチャー少佐は元旦の午前零時過ぎに一本の電話を受ける。
みすぼらしいモーテルの一室で、陸軍少将が死体で発見されたというのだ。
さらに特殊部隊の軍曹が殺されるが、暴漢に襲われ手もなくやられるような兵隊ではない。
そこには内部にあるなにかの事情が関係しているのではないか。
読みすすむうちにいつしか自分がMPとなり捜査に加わっているような気分になっている。
これがハードボイルドのえもいわれぬ魅力なのだろうと、感じるのである。
『娼婦はいつだって大きなバッグをもち歩いている。もち歩くものがたくさんあるのだ。
コンドーム、マッサージ・オイル、もしかしたら銃やナイフも。
もしかしたら、クレジットカード決済用の機械も。
娼婦を見つけるには、バッグの大きさを見るのがいちばん手っ取り早い。
ダンス・パーティへいくような恰好をしているくせに休暇へ出かけるような
大きなバッグをもっていれば、それが娼婦だ。』
さあ、事件の謎究明は間近に迫っているのだろうか、それともとんでもないまちがいに。

「正義で地球は救えない」 池田清彦・養老孟司 新潮社 ★★★★
世のなかには、とかく主客転倒しているようなことが多いのはいかしかたがない。
ではあるが、あまりの暴走には歯止めもまた必要なことは当然のことである。
ものごとの根幹にかかわる、思考、判断の基準というようなものはあるのだろうか。
だれもが自分で考える習慣(これができればほとんどの問題は解決?)をもたないといけない。
狡猾な連中はそこのところもよくご存知であるので、巧みな言説で大衆を煽動する。
では、どう煽動しているのかの例を池田、養老両先生に指摘していただこう。
『スーパーマーケットのレジ袋を使わずに買い物にはエコバッグを持っていこう、
という運動の強制もおかしい。レジ袋は、レジ袋の材料に用いられなければ
廃棄されるしかないような低劣な質の石油から作られている。
タダ同然の廃油から作られているからレジ袋はタダなのだ。
上質な材料からつくられるエコバッグよりレジ袋を使うほうが資源の有効利用になっているのである。』
これってすこし前にあった割り箸(板にならない端材利用)問題とまったくおなじではないか。
なんだか人間って進歩しないというか、いつもおなじ失敗を繰り返している。
スポンサーサイト

テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌

この記事に対するコメント

この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
→http://moucheokuno.blog26.fc2.com/tb.php/765-0cc81054
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

ムッシュ

Author:ムッシュ
島を旅するときが楽しいですね。
遠くに眺めるのも好きです。
楽園なんてないんですけどね。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カレンダー

07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

カテゴリー