ムッシュの読書紀行
人生は旅のようだと言いますが、旅が人生かも知れません。 ぼくは活字中毒気味でもあり、旅はまだまだ続くでしょう。
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遊びせんとや
遊びというと勉強に対比される場合、どうしても不真面目なふざけたという語感がともなう。
しかし、工学でいうところの「遊び」とは装置に必要不可欠なものであるという認識に変わる。
中学だったか、英語の授業で「run」とは走るだが、経営するという意味もあるんだときいた。
これをきいてすぐに自転車操業ということばが浮かんで、走らないと倒れるんだと納得した。
ひとつのことばにひとつの意味というのは、じつは非常にまれなのである。
というよりは、ヒトというレトリックを好む動物ゆえ、反語的用法などにより意味が拡張されるのだ。
とわたしは理解しており、ときにつけ遊びを忘れてはいけない、と肝に銘じるのである。

1743錦鯉

「大鴉の啼く冬」 アン・クリーヴス 創元推理文庫 ★★★
ロンドンから北へ九六〇キロ離れ、緯度的にはアンカレッジ、ヘルシンキとほぼ同じ位置にある。
夏には白夜がおとずれるシェトランド諸島が舞台になるミステリ四重奏の第一部である。
事件の内容とは別に離島での生活がどういうものか、そこでの人間関係の濃密さが描かれる。
ドメスティックというべきか、いつもだれかに見られている状況での生活の息苦しさ。
そんななかイングランドから移住してきた高校生キャサリンが死体となって発見される。
場所は七年前に少女が失踪したあたり、人々はいやでもその事件を思いだす。
近くに住むいまはだれも相手にしない知恵遅れの老人が犯人だとみんながいいたてる。
しかし、ペレス警部はそれでは事件のピースがぴったりとおさまらないと考える。
閉鎖的な社会で起こる殺人事件、フォークロアな行事もからめてなかなか読ませる一作である。

「アウトドア道具考―バックパッキングの世界」 村上宣寛 春秋社 ★★★
まさしくアウトドアの用具を自分で使用してみて、評価をくだすというもの。
この実際につかったという点では、雑誌の提灯記事などではほんとかなということが多い。
村上氏はつかうだけでなく自分にあったようにどんどん改造するところもすごい。
駄目なものはダメだと躊躇することがない。
大学教授でもあるから、論理的整合性のないようなことはおっしゃらないのである。
実体験から導きだした理論は説得力もあり、おもわずふんふんと読んでしまっていた。
『頭脳は体と比べると、進化的にはごく最近できた物だ。
だから、人間はまだ神経細胞を使いこなしてはいない。
頭脳は大量のエネルギーと酸素を消費し、その上、疲れやすく、回復も遅い。
この弱々しい頭脳を支えるには頑丈な体が必要だが、
頭脳を使い込むと体は消耗してしまい、いつしか、全システムがダウンする。
その前に、バックパッキングに出かける必要がある。』
と、こう説明する村上先生はおもしろい人だと思う。

「寿司屋のかみさんの今夜のおつまみ」 佐川芳枝 青春出版社 ★★★
ずいぶんと前にもこの人のエッセイを読んだことがあって、この本を図書館で予約した。
文章は平明で読みやすくそれでいて余韻も感じる。並みの書き手ではないなと思う。
こんなふうに書けるということはその奥にものごとを洞察する精神があるということだ。
沢村貞子さんを思わせるような文章は、読んでいてとてもここちがいい。
すこしは興味をもって自分でもやってみようか、と思わせるから始末が悪い。
『肉じゃがのアクを取り、しばらくことこと煮てから、砂糖を入れる。
先に醤油を入れると塩分でジャガイモが堅くなって、
このあといくら煮てもほっくりしないのでご用心だ。』
なるほど知らなかった、いちど実験してみようかなどと思うのである。
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遠くに眺めるのも好きです。
楽園なんてないんですけどね。

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