ムッシュの読書紀行
人生は旅のようだと言いますが、旅が人生かも知れません。 ぼくは活字中毒気味でもあり、旅はまだまだ続くでしょう。
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毒書のすすめ
読んではいけない本というものがあるのでしょうかと聞かれたらなら、たぶんないと答える。
読むということは、読んでよかったかどうかの判断をするということをも含んでいるからだ。
読まないでその判断を他人(ひと)にたのむようでは、すでにもうこころもとないというほかない。
私が読んで危険な思想だと判断した本であっても、読むことを禁じたりはしない。
逆にあなたが読んでみた感想を聞きたくてしかたがない、というくらいの気分になる。
危険に近づいてはいけないというのは、危険の本質を知らしめないという危険思想である。
毒はうすめて処方すると、薬にもなるのはよく知られた事実である。

2169霞む山々

「ヤシガラ椀の外へ」 ベネディクト・アンダーソン NTT出版 ★★★★
アンダーソンは世界的に有名なナショナリズムの研究「想像の共同体」の著者である。
『インドネシアやシャムには、「ヤシガラ椀の下のカエル」という諺がある。
これらの国では、半分に割ったヤシガラをお椀として使う。
この椀には台がなく、底は丸いままだ。椀が上を向いているところに間違って飛び込み、
椀が引っ繰り返って中に閉じ込められたカエルは、椀を前後左右に動かすことはできても、
なかなかそこから抜け出すことができない。そうこうしているうちに、
やがてカエルの知る世界はヤシガラ椀が覆う狭い空間だけになってしまう。』
若き日本の学究ののために自身の研究してきた道を振り返ってあらわしたのがこの書である。
ある意味アンダーソンの自伝といえなくもないが、彼の真摯な姿にはうたれるものがある。
なんのために研究するのかといえば、それは知りたいということでしかないのだ。
ただただほんとうはどうなっているのか知りたいという好奇心以外にないのではないか。
謙虚に虚心坦懐にものごとを見る目も同時に必要なのではあるが、これがむずかしい。

「北朝鮮を見る、聞く、歩く」 吉田康彦 平凡社新書 ★★★
近くて遠い国というのが、いまの北朝鮮ではないだろうか。
金正日が独裁者として君臨する社会主義国家(悪いイメージでの)というのが一般的だろう。
では、一般の庶民はどんな暮らしをしているのかというとさっぱりわからないというのが現状だ。
すくない情報のなかからでも、ほんとうの北朝鮮の生活がわかるなら知りたいと思う。
『朝鮮人参の本場は開城。だから人参酒では「開城人参酒」が有名だ。
開城は朝鮮民族初の統一王朝「高麗」の首都だったので「高麗人参」ともいう。』
そうだった、高麗のときに朝鮮半島は統一だれたのであり、そこに戻るのが半島の悲願なのだ。
『「朝鮮半島非核化」は金日成の遺訓であり、金正日もないがしろにできない。
その意味で、核保有が北朝鮮の最終目的ではないことは明らかだ。』
読んでみて、そうは思えなかったがそうあってほしいとは思った。
これからどうなっていくのか眼をはなせない国だということは確かである。

「用もないのに」 奥田英朗 文藝春秋 ★★★
奥田氏はまぎれもないドラゴンズ・ファンであるうえに、人気作家でもある。
そして遅筆でも有名であるから、出版社はいろんなからめ手を考えだすのである。
ニューヨークへ松井を見に行きませんか(もちろん原稿を書くのが必要条件である)。
つい滞在中の原稿といったことは後から発覚するのだが、ついふらふらと機上の人となったりする。
小説もおもしろいが、たまにはこうしたふざけた文章(?)を読むのもいいではないか。
そう思わせる筆力が奥田氏には備わっており、ついつい笑いながら読んでしまうのだ。
しかしながら、こうした経験がどう今後の作品に姿を変えて現われるのか楽しみである。
ある意味、それができる人が作家と呼ばれることになるのは異論がないであろう。
『長蛇の列をなす評判の食堂を横目に、「そうまでして食いたいのか」と鼻で笑い、
客もまばらな店の暖簾をくぐるのが、わたしのランチである。
好きな場所は、空いている場所だ。座右の銘は、「いい人は家にいる」だ。
旅人とグルメにろくなやつはいない。用もないのに出歩くな。』
という奥田氏ではあるが、行列の先が気にならないと言ったらうそになるのも事実だ。
それでつい、口車に乗せられてこうしてあちらこちらへと出歩く羽目になる。
まあ、たまにはそれもいいではないですか(笑)。
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遠くに眺めるのも好きです。
楽園なんてないんですけどね。

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