ムッシュの読書紀行
人生は旅のようだと言いますが、旅が人生かも知れません。 ぼくは活字中毒気味でもあり、旅はまだまだ続くでしょう。
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読書と眠気
本を読んでいると、どうしても眠くなってしかたがないという方がいる。
気を入れて読もうとするほど、ますます眠りの強い力に引きずりこまれてしまうのだという。
もちろん私もそのような経験は多々あるが、そのときには無理に読もうとはしないのだ。
眠気を感じるということは、本の内容に興味がもてないということの逆証明である。
だから眠気をふり払おうとしても、とうてい生理的要求に打ち克つことはできないだろう。
なんとか興味を見いだそうとしても、徒労に終わることが多いと経験が教えてくれる。
眠ればいいのではないか。本を読みながら眠りにおちるというのは至福のときだ。
こうして眠ったときにみる夢は、冒険に満ちロマンあふれる愉快なものが断然多い。
だがいかんせん、どういった夢だったかというと楽しすぎて思いだせないのである。

2585黒猫

「老化はなぜ進むのか」 近藤祥司 講談社ブルーバックス ★★★
アンチエイジング(老化予防)ということばはもう市民権をえたようだが、認識は立場でちがう。
若返りというような観点もあれば、筆者のような医療従事者はこう考えるのである。
『日本は、世界的にも有数の長寿の国ですが、
平均寿命から寝たきり期間を差し引いた健康寿命で見ると6~7年短くなります。
つまり平均して6~7年は寝たきりや入院の期間があるわけです。
この寝たきりの期間をなくし、健康寿命を延長すること、
これが現実的なアンチエイジング薬の目標です。』
科学的にとらえると、老化には大きく分けて「個体老化」と「細胞老化」があるという。
いずれにしても、老化は避けられないようである。
『病気とはなんらかの生命システムの破綻であり、その破綻を修復する、
あるいは除去すれば病気は治癒するかもしれないと考えることもできます。
しかし、老化の原因は生命の営みに必須の仕組みと表裏の関係があることがわかってきており、
その原因を除去あるいは修復すると、
生命活動に別の問題が引きおこされる可能性が非常に大きいのです。
したがって、残念ながら「不死」というのは現実には難しいといわざるをえません。』
しかし、自分はまだまだ死なないと漠然と思っている人は多いようだ。

「六号病棟・退屈な話 他六篇」 チェーホフ 岩波文庫 ★★★★
チェ-ホフの医学、医師、医業関係の中短編小説七篇を収めたものが本書である。
彼は一生を医師として勤めながら、作家活動をも行ったことは有名である。
日本でいえば、斎藤茂吉さんや北杜夫さん(親子ですが)がそうです。
病むということ、あるいは正常と異常はどこで線引きがなされるのかを考えるとむずかしい。
多数派が正常とはならないことは、虫歯、近視の例をあげるだけですぐ気がつくことだ。
だが病気のなかに健康への道筋をさぐるということは、科学の歩んできた道である。
『「汝自身を知れ」というのは、立派な、有益な忠告には違いない。ただ残念なのは、
昔の人が、この忠告を実地にどう生かすかを教えることに気がつかなかったことだ。
 以前わたしは、誰か他人なり自分なりを理解したいという気が起こると、
すべては条件的でしかない行動にではなく、願望のほうに注意を向けたものだ。
おまえは何を望んでいるかを語れ、そうすればおまえは何者かがわかる。(退屈な話)』
私とは何者であるのか問わないで生きることは、できない相談なのかもしれない。
「退屈な話」を書いた作者チェーホフは、まだ二十九歳の青年作家だった。

「日本語と私」 大野晋 朝日新聞社 ★★★★
ベストセラーになった「日本語練習帳」(岩波新書)で世間的にも有名になった。
日本語の源はタミル語にあるという説をとなえて、かなりの批判を受けたがひるまなかった。
自分の信念をつらぬいた人だなあと思うし、どこの世界にもやっかむ輩はいるものだ。
ただの頑固なる御仁ではなかったことが清泉女学院で教えていた時のことからもわかる。
ある本を読んで原稿用紙十五枚に要約する宿題をだした。
『だが普段は喜んで勉強する生徒たちが、「ワカリマセーン」「イヤデース」と口々に叫んだ。
落ち着いて読めば分り易い話だ。私は次第に憤ろしくなり、叫ぶ生徒たちに雷を落したかった。
しかし女性を激しく叱ると、何故叱られたかは全く考えずに、
ただ「オコッタ。ドナラレタ」というマイナスの記憶だけを永く残すと聞いていた。
私はこらえて黒板に大きな字で書いた。「知的鍛錬は厳格なるを要す」。
彼女らは静まった。数人は、実に見事な要約を提出した。』
この数行の描写にも、大野先生のよさが、公平さがあらわれていると思う。
学問をするということは世間的な栄達ではなく、知的な喜びがあるのだということ。
金銭にはかえられないものがあるということを、行間から語りかけてくれるのある。
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遠くに眺めるのも好きです。
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