ムッシュの読書紀行
人生は旅のようだと言いますが、旅が人生かも知れません。 ぼくは活字中毒気味でもあり、旅はまだまだ続くでしょう。
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梅棹さん哀悼
梅棹忠夫さんが亡くなられたと報じられた。九十歳だったという。
1969年に出版された岩波新書の「知的生産の技術」は読まれた方も多いのではないかと思う。
わたしの手もとにあるのは1973年1月10日第17刷発行となっている。
ぱらぱらとめくってみると、鉛筆で傍線を引いている箇所があった。
『芸ごとと学問では、事情のちがうところはあるが、まなぶ側の積極的意欲が根本だという点では、
まったくおなじだと、わたしはかんがえている。うけ身では学問はできない。
学問は自分がするものであって、だれかにおしえてもらうものではない。』
なにを感じ考えていたのか、いまではまったく憶えていないのではあるが、そうかという気がする。
ベストセラーになり、カードで思考を整理分類するという方法はおいに参考になった。
京都大学で動物学からスタートし、やがて文化人類学へと進まれユニークな史観で知られています。
師の今西錦司さんとおなじくなかなかのおしゃれで、強情な京都人を感じさせる方だったですね。
人類学では、クロード・レヴィ=ストロースも昨年亡くなられて(百歳)います。

「キャット・ウォッチング1」 デズモンド・モリス 平凡社 ★★★
世のなかには、イヌ派とネコ派があってそれぞれに特異な個性をもつなどといわれる。
たしかにイヌとネコでは行動パターンもちがうし、ペットとひとくくりはできない。
『イヌの社会は群れ組織であるが、ネコの社会はそうではない。
イヌは群れをなしてくらし、群れの個体間にはしっかり統制のとれた順位関係がある。
上位の個体、注意の個体、下位の個体があり、自然環境のもとでは、
彼らはいっしょに行動し、たえずお互いに確かめあっている。
こういうわけで、おとなのペットイヌは人間の家族を代理の親とみなすと同時に
自分の群れの優位個体ともみなしている。
つとに有名な彼らの服従と忠誠はこのためなのだ。
ネコも複雑な社会組織をもっているが、けっして群れをなして狩りをすることはない。
野生のものは一日の大半をひとりですごす。
したがって、人間と散歩にいくことなど彼らには何の魅力もない。』
かって若い女性がネコを散歩させてる光景を目撃、だがネコは陽だまりにうずくまったまま動かず。

「からくり民主主義」 高橋秀実 草思社 ★★★★最初からぐいぐいと引きこまれた。ものごとは一面からではとらえられないところが確かにある。
そういう観方を信じない(拒否する)人々は、自分に都合のいいようにものごとを見て解釈する。
それが集団ともなると、はたから見ておかしいと思うことも矛盾がない世界に感じるのだろう。
不思議なことだが、それらの実例を的確な表現と、とぼけたユーモアで紹介してくれるのだ。
読みながらなんども笑ってしまったが、笑えるということが理解できない人びともいるようだ。
しかし、そうした人びとのことをとことん笑うことができないのは、思いあたることもすこしあるからだ。
沖縄の基地問題も単純に割り切ることはできない。
その地に暮らす人たちは、ある意味それぞれの事情をかかえていること理解しなければ…。
『「汚い海ですよ。ここは採石場から流れる赤土やら生活排水が垂れ流しですからね。
いまさら、突然、“海は宝”とか騒がれてもねえ……」(宮城実氏)
基地がくるから海は守るべき「美しい自然」になった。
反対運動の最中、取材等の観光バスの通り道にポツンと一軒の沖縄ソバ屋が開店した。
オーナーは反対団体の会長で、元ひめゆり部隊の宮城清子氏。
ひめゆり話付きの沖縄ソバは取材にはとても便利である。
「基地反対」ののぼりが暖簾のようにひるがえる店が、
日に日に寂れる辺野古で唯一、活性化していた。ちなみに彼女も軍用地主である。』
基地や原発にかぎらず、反対運動とはどういう意味があるのか。
『「反対する人を非難してはいかん。反対は政府を刺激するから、いい方向へ物事がいく。
言ってみれば、ソバと七味唐辛子の関係なんだな。
ソバに七味唐辛子を入れると、おいしくソバが食べられる。
反対分子が頑張れば、それだけ得るものは大きいんだ。
でも、七味唐辛子の中にソバを入れて食べる人はいないでしょ。
食えたもんじゃない。本当は誰もそんなことは望んでいない」
別の地主は反対運動を「浄化作用」と呼んだ。
「みんなで誘致したら、腐ってしまうから」だと。
大城氏らは毎年、予算内示期に防衛施設を訪れ、借地料の陳情を続ける。
“反対”のおかげで要求額は常に満額通り。
年間八二一億円(二〇〇〇年沖縄県借地料総額)、年四パーセントの上昇を維持している。
これが税金であることは言うまでもない。』

こういうことも知っていないと、世間知らずの莫迦になってしまう、かな。
是非この本を読んでいただきたいし、人のしたたかさをかみしめて笑ってみてください。

「科学とオカルト」 池田清彦 講談社学術文庫 ★★★★
筆者によれば、科学はオカルトが大衆化した所から生じたのである、という。
中世の錬金術もオカルトだが、科学との境界線ははなはだ曖昧である。
だが、科学がすべてを解き明かすことはこれからもできないだろう。
科学は因果関係をあきらかにすると思われているようだが、実は対応関係を示すだけなのだ。
なぜあなたはこの世に生まれてきたのか、という疑問については答えることができない。
だが、現代の社会は科学万能、あるいは科学主義といわれるような状況になっている。
『科学のアカウンタビリティは、「社会の役に立つ」とか「人類の福祉に資する」とか
「環境問題を解決する」とかいったたてまえのお題目であるほかはないのに対して、
オカルトのメッセージは、「かけがえのない私」が見つかりますよ、
といったきわめて直接的なものである。
自分の本音を実現するために、
たてまえを巧妙に利用できないで、もがいている多くの人々にとって、
オカルトのメッセージが魅力的なものに映ったとしても不思議ではない。』
だからいつの世も、オカルトはある種の人びとを強く引きつけてやまないのだ。
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遠くに眺めるのも好きです。
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