ムッシュの読書紀行
人生は旅のようだと言いますが、旅が人生かも知れません。 ぼくは活字中毒気味でもあり、旅はまだまだ続くでしょう。
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受験生の夏
長かった梅雨も明け、あの雨模様の光景がいまでは幻のようにも思える。
ということは、蒸し暑い日本の夏がいよいよ本格化してくるということだ。
こう暑くなると、きまって若いころのことを思いだしたりする。
受験勉強は(といってもいったん社会人生活をしたのちのことだ)、クーラーもない部屋だった。
昼間は暑くてとても机に向かう気がせず、ごろごろと寝たりパチンコで冷をとったりしていた。
いま考えればなんとも気楽な受験生活だったのだが、時代環境がちがっていた。
夜更けて深夜放送を聞きながら、受験用ドリルの問題を解くのがいつものコースだ。
冷蔵庫で冷やしたジンを細いタンブラーについで、ぐいっとのむのが休憩の作法だった。
いつしか明けた空に疲れたからだをやすめてそれで一日が終わるのである。

2874カラスアゲハ

「養老孟司 太田光 人生の疑問に答えます」 養老孟司製作委員会編 日本放送出版協会 ★★★
人生相談に答えることはむずかしいと思うのだが、相談者はなにが聞きたいのか、また知りたいのか。
どう答えが得られたとしても、それで解決ということにはならないのである。
自分が変わらないとなにごとも始まらない、ということを養老先生はおっしゃるのである。
『いずれ決断しなくてはならない時期がくれば、決断せざるを得ないわけです。
そこでも決断できないでいるということは「決断しないでそのまま過ごす」という決断をしたことになる。
それだけのことです。そして、どんな決断をしたのせよ、
結果は自分で負わなければいけないことには変わりはありません。
「決断」とは、どちらか一方を捨てるということです。それだけで、自分を変えることになります。』
相談をするということは、その決断のきっかけがほしいということなのだろう。
結論は相談者のなかにおぼろげではあってもかならず存在しているのではないだろうか。
自分を変えることを恐れるというか、変わらない自分があると思っているのは自分だけだ。
人はみな変わっていくものであり、もし変わらないなら成長もないということになりはしないか。

「灯台」 P・D・ジェイムズ 早川書房 ★★★
P・D・ジェイムズはこむずかしいという評もあるが、それはそれで好きな人も多いのである。
こん回もおなじみのアダム・ダルグリッシュが登場するが、なんと警視長に出世している。
コーンウォール沖にうかぶカム島の灯台で著名な作家の首吊り死体が発見された。
調べてみると、絞殺されたのちに吊り下げられたことが判明した。
島に滞在して捜査にあたることになるのだが、待遇は警視長だからそれなりのものだ。
家事管理者であるバーブリッジ夫人が部屋に備えるために選んだものは次の通りだ。
『ジョージ・エリオットの『ミドルマーチ』は孤島で読む本としては無難なところだろう。
ブラウニング、ハウスマン、エリオット、ラーキンの詩集が四冊。
テレビはないが、新型ステレオ装置が備えられている。棚に夫人が選んだ、
あるいは手に当たったものを適当に集めたかもしれないCDが納まっていた。
バッハの『ミサ曲ロ短調』とポール・トルトゥリエ演奏のチェロ組曲。
フィンジ作曲の声楽曲、ジェイムズ・ボウマンが歌うヘンデルとヴィヴァルディ。
ベートーベンの『第九交響曲』、モーツァルトの『フィガロの結婚』。
ダルグリッシュの好きなジャズは考慮の対象にされなかったようだ。』
さて、事件はどのようにして解決へ向かうのかにはあまり興味がわかないのもしかたない。

「むかし噺うきよ噺」 小沢昭一 新潮社 ★★★
以前、車で九州へ四国へと出張したときにラジオで楽しみにしていたのが小沢さんの番組である。
夕方になると、ちょっと助平なおじさんの笑いとペーソスにまみれた噺が流れてきたものだった。
「小沢昭一の小沢昭一的こころ」という名だったかな。いまでもやっているのだろうか。
『ところで私はトンボ捕り、特にヤンマをつかまえることに熱中して育ちましたので、
こんにち、トンボの飛んでこないことを嘆き悲しむのですが、トンボがいなくなったのと、
蝿が少なくなってきたのとは同じ頃だったと気づくのです。いえ、トンボや蝿に限らず、
便利文明の発達につれて、ムシはいつの間にか減ってしまいましたね。』
なにごとも建前でかっこうつけているのを横目に見て、つぶやくのであります。
なんて、口調も似てきてしまうから影響力は甚大でありますね。
このあります調の話法が、またなんともいえず懐かしさとともに旅の夜をいろどるのであります。
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遠くに眺めるのも好きです。
楽園なんてないんですけどね。

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