ムッシュの読書紀行
人生は旅のようだと言いますが、旅が人生かも知れません。 ぼくは活字中毒気味でもあり、旅はまだまだ続くでしょう。
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公用語ってなんだ
最近、社内の公用語を英語にするという企業があり、ニュースになったりして話題を提供した。
日本の企業で英語を公用語ねえ、ふーんという感じだ(日本語と併用ということではないらしい)。
私企業がどのような方針をとろうが法的に違反がなければ問題はない、といったところか。
しかし、その判断がその企業の評価に良くも悪くも影響を与えることはありそうなことだ。

5708梅田夜景

じゃあ、諸外国(まあ欧米のことだが)では公用語はどうなっているのだろうか。

『いわゆる「先進諸国」のなかで特定の言語を法的に「公用語」としているのは
フランスとカナダなど数カ国だけ。
フランスの場合は一九九二年の共和国憲法で「共和国の言語はフランス語である」と
明確に規定しているが、それでもフランス国内でオック語、アルザス語など合計二四の言語が
存在し、機能している事実はみとめている。
カナダでは一九六九年から八八年まで何回も法律が改正されて英仏両語を公用語とすることが
決定されているが、移民の増加によって多言語政策も同時平行させるようになってきた。』

なるほど、特定の言語のみを法的に公用語とする例はどちらかといえば少数派か。
そういえば、国連の公用語はアラビア語、英語、スペイン語、中国語、フランス語、ロシア語か。

『イギリスでの英語、ドイツでのドイツ語、オーストラリアでの英語なども
慣習的にそうなっているだけで法的根拠はない。
イギリスの法律のなかにイギリスの「公用語」は英語とする、
などという厳密な規定はどこにもありはしない。』

法律というものは、決めておかないと問題になったり、争いの種になる場合に定められるものである。
慣習的にそうなっているものをわざわざ法律で規制することもない。
つまり、文化や倫理や正義感などを法律である一定の枠にはめようとしても無理があるのだ。
その場合は、政府がそう望んでいるということを知らしめる役割しかないことになる。
だが、国民が成熟していなければ(なんら自立的でない)、その方向へといとも簡単に誘導できる。
さらにマスコミやおかかえジャーナリスト、学者が賛意のコメントをすればまずうまくいく。
逆にいうと、おかかえ連中の発言を聞けば、方向性がみえてくるということでもある。

5614アサヒビルディング

『「l Long time no see」
という語法、これをわたしは一九七〇年代のハワイノの下町にある中華料理店の
ウェイトレスからいわれたときに、ハタとひざをたたいて感動した。じつにじょうずである。
この簡潔な一句にこめられているのは「あら、おひさしぶりね」ということ。』

英語というのも、上の例が示しているように、道具的に考えるなら文法にこだわる必要はない。
おたがいの気もちが理解できるツールとするときに、有用性がうまれてくるのではないか。
英語を話す人口が多いから、これからのグローバル社会では必須になるという論理はあやうい。
(単に英語というが実際に世界で話されている英語は学校で習う英語とはまたちがうようだ)

その言語を話す人の多さで、という論理で国連の公用語は決められているのではないか。
ならば、話者人口一億をはるかにこえる日本語も国連で公用語になってもおかしくない。

しかし、でもなお英語を公用語という企業は、倒れかけている英語塾と提携でもしようというのだろうか。
日本のコマーシャルに外国人(英米白人が多い)が頻繁に出てくるという事情と関連するのか。
つまりは、英語がではなく、英語的文化がイメージがいいというだけで採用されたのではないか。
(必然的に、その企業のイメージがよくなるというCMの論理である)
欧米コンプレックスにまみれた企業だ、という逆効果になる日がくるかも知れないのだが。

 (以上引用はすべて、「なんのための日本語」 加藤秀俊 中公新書刊より)
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この記事に対するコメント
ごあいさつ
わたしの本を引用してくださってありがとうございました。ブログ検索でたまたま目についたのでごアイサツまで。
【2010/10/17 11:47】 URL | 加藤秀俊 #- [ 編集]

いつまでもお元気でいてください。
というと社交辞令のように聞こえるかもしれませんが、ほんとうにそう思っています。

加藤先生の本では、「習俗の社会学」が印象に残っていますし、好きです。
学ぶ、考えるということはどういうことか、を教えていただきました。
どうも文献学派の方が苦手なものですから(笑)。

これからもご活躍くださること、期待しております。
【2010/10/18 00:06】 URL | ムッシュ #- [ 編集]


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遠くに眺めるのも好きです。
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