ムッシュの読書紀行
人生は旅のようだと言いますが、旅が人生かも知れません。 ぼくは活字中毒気味でもあり、旅はまだまだ続くでしょう。
09 | 2017/10 | 11
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

安眠夜
最近はそうでもないのだが若いころには眠れぬ夜をいくども経験した。
だが、どんな悩みがあったのかということについてはあまり強く記憶に残っているものはない。
だから逆説的には、たいした悩みがあったわけではなかったのだろう、ということにもなる。
眠り姫の童話があることからもわかるように、眠りにはなにか不思議な力が宿っていると思われた。
いまではいろんな研究から、眠りは生理的にも必須の作用があることが理解されてきた。
だが、科学的に解明されていないから知らないということにはならない。
経験的に知っていたからこそ、罪人に対するもっとも残酷な刑罰は眠りを奪うことだったのだ。
眠ることが許されない、つまり眠らせなければ多くの囚人は発狂にいたったという。

3509霧の中

「疲れすぎて眠れぬ夜のために」 内田樹 角川書店 ★★★★
現代に生きる人間は、なぜがわからないと行為できない、あるいは中止できないという。
そんな言い草は、若者のあいだでも反論としていわれることがあったりした。
典型例が、「買春してなにがいけないの、人に迷惑かけるでもないし」というのがあった。
内田氏はそんな女性にこう問いかける。
『売春というのは厳密には「身体」を売るのではなく、
「身体を売るような人間である」という社会的評価を受ける代償に金を受け取るということです。
みんな勘違いしているけれど、買春する男というのは、身体的快楽のために金を払うのではありません。
「この女は金で身体を売るような人間だ」
という人間を貶めることのできる立場を得るために金を払っているのです。
人間が無意味な金を払うのは、幻想に対してだけです。』
つぎなることもおなじようなことを言っているのだ。
『優れたビジネスマンは「リスクを取る」と言いますが、凡庸なサラリーマンは「リスクを負う」と言うからです。
「リスクというのは負わされるものだ」というふうに思う人は、リスクをできるだけ回避しようとします。
確かにリスクは回避されますが、リスクを取らない人間は決定権をも回避することになります。』
最後に、ツケはやはりまわってくる、ということになる。

「希望格差社会」 山田昌弘 筑摩書房 ★★★
パラサイトシングルの名付け者として有名な筆者であり、今回の書名についてはこう解説している。
『日本社会は、将来に希望がもてる人と将来に絶望している人に
分裂していくプロセスに入っているのではないか。
これを私は、「希望格差社会」と名付けたい。
一見、日本社会は、今でも経済的に豊かで平等な社会に見える。
フリーターでさえ、車やブランド・バッグをもっている。
しかし、豊かな生活の裏側で進行しているのが、希望格差の拡大なのである。』
ものが溢れかえっており、食べることに汲々とすることも当面はなさそうな情勢である。
ではなにに絶望するのかというと、生活の保証がないことにだというのである。
『現代日本社会では、生活に対する「保証」が急速に失われつつある。
学歴をつければ大丈夫、大企業に入れば大丈夫、結婚すれば大丈夫とは言えなくなっている。
生活のあらゆる領域にリスクが広がる状況、これをリスク化と呼ぶことにする。
それは、戦後日本が築いてきた安心社会の終焉でもある。』
では明治時代や江戸時代、はたまた天平・平安時代はどうだったんだ、という疑問がないでもない。
つまりは、安心は与えられるものという生き方が問題なのでは、と感じられるのだがどうだろう。

「キャット・ウォッチング2」 デズモンド・モリス 小学館 ★★★
身近な存在であるネコは、いまや高齢化、核家族社会になくてはならない存在かもしれない。
だが、先日も通勤途上の道路に車にひかれた無残な姿のネコの死体を見た。
飛びだしたのではなく、きっと、迫る車に立ちすくんでいたのではないか、と想像するのである。
『自分になにが起こっているのか理解できずに死んでいくネコを哀れに思うなら、
ネコには私たちよりはるかに有利な点があることを思い出してほしい。
彼らには死の恐怖というものがない。
それにひきかえ、私たち人間は長い人生の間じゅうこの恐怖をひきずって歩かねばならないのである。』
勝手気ままに生きているようにみえるネコたちも、それはそれで悩みもあるのだろう。
しかし、ネコ可愛がりはよくない、とは言われ続けたことなのだが、実行するのはむずかしい。
スポンサーサイト

テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌

この記事に対するコメント

この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
→http://moucheokuno.blog26.fc2.com/tb.php/904-0a1a9812
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

ムッシュ

Author:ムッシュ
島を旅するときが楽しいですね。
遠くに眺めるのも好きです。
楽園なんてないんですけどね。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カレンダー

09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

カテゴリー