ムッシュの読書紀行
人生は旅のようだと言いますが、旅が人生かも知れません。 ぼくは活字中毒気味でもあり、旅はまだまだ続くでしょう。
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私的好奇心
好奇心といってもその対象はいろいろあって、言葉に対するどうにも抜けがたい好奇心というのもある。
はじめて聞いたりしたときや、なにかの拍子にむこうから唐突にとびこんできて興味をいだくのだ。
横文字であったり専門用語だったりすると、意味もよくわからないままにつかってみたくなるらしい。
小学生がついいましがた習ったフレーズを無理やり会話に忍びこませるように、といえばいいのか。
つかいつつ徐々に本来の意味を理解していく場合もあるが、たいていは歪めた意味へとむかってしまう。
世間でもそういうことがよくあるようで、まったく正反対の意味でつかわれていたりして不思議なことも多い。
でも日々言葉は変遷をたどり変形されて、のちには原義がなんであったかすら想像もできなくなったり。

3804スノーマン

「思い出袋」 鶴見俊輔 岩波新書 ★★★★
鶴見俊輔氏の名をきくと、いつもいとこであった鶴見良行さんのことを思いだすのである。
いまでも生きていたらなあ、どんなことに興味を持ってやっているのかなあ、などと。
それはさておいても、人間長く生きてくると、ときに来し方をふりかえることがある。
そんななかうかぶ回想の数々を文章にされておられ、なかなか興味深いこともあった。
(そのあたりのことはご自分で読んで感じていただくしかないですな)
文化人類学者のアルフレッド・クローバーの娘が『ゲド戦記』を書いたル=グウィンとは知らなかった。
知ると、なるほどと思いあたることなどもあって、読書はやめられないとなる。
『試験問題にはなることのない「なぜ生きているのか」は、今もわからない。
ただ、もうすこし生きてみようと思って、問題をかかえているだけだ。
問題を長くかかえているうちに、考えることはある。』
哲学者だなあと思うと同時に、こういうことをさらっと書けるところがまたいいなあと。

「トラウマの国」 高橋秀実 新潮社 ★★★★
『トラウマという言葉は、日本では一九九五年の阪神大震災や地下鉄サリン事件から知られるようになった。
そしていつの間にかトラウマ反復は一般化し、今では「日常性トラウマ」などという言葉すらあり、
どこからどこまでがトラウマなのかよくわからなくなっている。
「トラウマン」などというトラウマに悩みまくるテレビゲームまで売られているぐらいで、
言わばトラウマのインフレ状態なのである。
「われわれが普段使う診断基準で、つけられて喜ぶ診断名がふたつあって、PTSDとACなんです(笑)。
自分のつらい体験を評価してもらった、ということでしょうね」
(山口直彦氏。『トラウマ 心の痛手の精神医学』藤澤敏雄編 批評社)』
ここに書かれているように、いまではトラウマという言葉は日常会話にもふつうにつかわれている。
(PTSDは心的外傷後ストレス障害、ACはアダルトチルドレンのことである)
日本人て、こういう専門用語でもとくにカタカナ語にはめっぽう目がないようだ。
田舎暮らしというのも近年の流行現象であるようだ。そんな方へのインタビュー。
『「腹が減ったら食べ、眠くなったら寝る。そんな暮らしを夢見ていたんですが、
実際にやってみると違うんですね。そんなことをしたら“自分”がなくなってしまうんですよ」
――自分がなくなるんですか?
「そう。なんか、なくなる感じがする」』
読みながら、なくなる自分があるだけましではないかなどと皮肉にも思ったりした。
あるいは解脱の域に達する道であることを本人も気づいていていないのか(笑)。

「子どもは判ってくれない」 内田樹 洋泉社 ★★★★
『全面的に否定されることは少しも「正しさ」を損なわれない
(「世界に平和を」という主張を全面的に否定する立場は「世界に戦火を」だけであり、
そのような悪魔的主張を支持する人間は私たちのまわりにはほとんどいない)。
しかし、具体的提案(例えば、「アメリカにすべての軍事力を集中させることによって世界に平和を」
というような提案)にはただちに異論や対案が出される。
すると、その主張の「正しさ」は具体的であった分だけ損なわれることになる。
だから、正しいことだけを言いたがる人は、必然的に「具体的なこと」を言わないようになる。
そして、いったい誰が、どういう資格で、誰に向かって言っているのかも不分明になる。
今、私たちの社会はそのような、「具体性を欠き、誰に向かって言っているのかよく分からない」けれど、
文句のつけようのないほど「正しい意見」に充満している。
新聞の社説からニュース解説から大臣や官僚の国会答弁からテレビ人生相談まで、そんなのばかりだ。』
そんな社会に暮らす人びとは当然ストレスフルにならざるをえない。
世間の人が政治家に望んでいるのは、高邁な理想であるよりも現実のすこしでもいいから前進すること。
美辞麗句で飯はくえない、といったら分かりやすいかもしれない。
薬害訴訟などを延々とやっているあいだにも犠牲者はつぎつぎと亡くなっていっているのだ。
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遠くに眺めるのも好きです。
楽園なんてないんですけどね。

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