ムッシュの読書紀行
人生は旅のようだと言いますが、旅が人生かも知れません。 ぼくは活字中毒気味でもあり、旅はまだまだ続くでしょう。
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早春紀行(十九)美人談義
「まずやな、ぼくは美人が無条件にすばらしいとは思っていません」
「そんなの当然のことやないの。いまさら言うこととちがうわ。でも、なんか嘘っぽい」
「それって、美人が嫌いってことなんですか」
「美人が好きとか嫌いじゃなくて、もっと別の観点から女性を見てるということです」
うん、これならいいのじゃないだろうか。
「人のすばらしさって、見た目じゃないとも思うんですよ。
たしかに第一印象ってのは、姿形から入ってゆくのでしょうけれどもね。
なにが美しいのかは、姿形にはないんですね。美しいって思うこころがないと、美は存在しない。
だから、ぼくはこころを重視しています」
懐疑的なまなざしで、こう切り返してきた。
「ふ~ん、でも見た目じゃないともの、ともが、なにか引っかかるわね」
「それにね、しゃべりかたが関東弁になってきたときは要注意なんですって。
きっとなにかよからぬことを企んでるか、策略をめぐらしている兆候らしいから」
なかなか手厳しい。
「困ったなあ。ぼくは緊張するとことばが変になるんです。
人を外見で判断するというのは、美人を優遇するとかというのとは違うんです。
外見にはその人の内面が反映している、と言えるのじゃないかと…」
ぼくのことばが終らぬうちに、反論がきた。
「やっぱりね。なんのかんのといっても、男の人って結局は美人が好きなんよ。
お兄ちゃんもおんなじやね。きれいな人の前やと、でれっと鼻の下をのばすのよね。
そしてなんやかやと世話をやいたり、チヤホヤするのよね、きっと」
確かにその傾向がないとはいえない。
「その傾向は男子一般にたしかにあると思います。これは素直に認めます。
でも何度も言うようだけど、それだけじゃあないんですよ。
それに、そんな状態は長くは続かないと思うよ。馬鹿な男じゃない限り、ね」
(でもきれいな人って、本当にいるもんな。今朝みたいな人もいるから、問題は複雑やで)
「そらそうやわ、でも世の中馬鹿な男が多いのも事実なんよね。
私なら男を外観で判断しないんだけど。もちろん、不潔な人ってのは嫌よ」
「それに美人美人っていうけど、いいなと思う人が美人に見えるってこともあるんだよね。
ほかの連中ならいざ知らず、ぼくはぼくが美人と思えれば、それだけでいいんだからね。
それに美人観て、実際は人によってかなり違うらしいよ。それに美人ってすぐに飽きるらしいから」
「ぼくは絶対飽きないと思いますけどね。やっぱり美人がいいなあ」
余計なことをいう奴だ。
「じゃあ、君はこれまでに美人とつきあったことがあるのか」
「いいえ、残念ながらありませんけど」

0945島猫

 ではぼくはあったかなあ。高速回転で過去を振りかえってみる。
ないことはないようだが、判然としない。よく分からないというのが本音だ。
大体が、どういうことを付きあうというのかよくわかっていない。
いわゆるデートというようなことを何度かしたことがあるけど、そういうことか。
それってちっとも楽しくないことが多かった。どちらかというと、息苦しかった。
なにをしゃべればいいのか、どこへ行けばいいのか、なんてことばかり考えてた。
おまけに相手のどこを見ればいいのか、視線に困った。
だからやたらきょろきょろとあたりを見回したり、会話を途切らさないようにしゃべったり。
家に帰ってくると、どっと疲れを感じた。そんなとき、もういいやと思ってしまう。
でもいつのまにか女性に対する興味が、またふつふつと湧いてくるのだ。
「それにやで、君が美人がいいからといって、美人が君を選んでくれるとは限らんぞ」
「そういわれたらそうですね。それを、ついうっかり忘れてました」
と、うまく落ちをつけてくれた。
「現実の世の中は、まあなんとかうまく回ってるようだから、よく出来てるのかなあ。
それとも、ぼくらの知らないところで思いもかけないドラマが繰りひろげられてるのかなあ」
「もうええ、分かったわ。そんな変にもってまわったような言い方して、疲れるわ。
でもねえ、なんだか話がどんどん逸れてきてるのとちがう」
そうだ、なんの話をしていたんだっけ。
「そうでした。ぼくは他の人から見れば外交的だが、自分では内向的だと思っている。
こういうことでしたね。ひとの評価と、自己認識は違うということです。
それに外交的、内向的と二値的に切っていくと、判断がせまくなるということです。
だれでも人知れず秘めたる面がある、と言いたかったんです。
推し量れない面がどんな人にもある。だから、汲めど尽くせない興味がわくんだ。
よって、Oさんにはもちろん、ぼくらにも未知なる面が隠されている。
人を判断するときには、余程注意してかからないと間違いを犯すんじゃないか。
恋愛においてもとは思うんやけど、ようは知りません」
「つまり、人を単に外見だけで判断するんやなく、滲みでてくる資質を見なあかん。
どんな人にもいい面はある。さらに、隠れたいいところもあるのと違うか。
それに、良い悪いという単純な判断だけでは決められへんことが、世の中には多い。
そういうことも知っとかなあかんよ。そういうことなの」
そう言われたら、そうかなと変に納得してしまった。的が外れているとは言えへんなあ。
ぼくらの話を笑って聞いていたおばさんは、いかにも楽げにこう言うのだった。
「若い人っていいわねえ。みんなしっかり頑張ってね」
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遠くに眺めるのも好きです。
楽園なんてないんですけどね。

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