ムッシュの読書紀行
人生は旅のようだと言いますが、旅が人生かも知れません。 ぼくは活字中毒気味でもあり、旅はまだまだ続くでしょう。
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早春紀行(二十三)自問自答
 こころを落ちつけて自問自答してみた。
「基本に帰るんだ。変な色気をだすのはよくないぞ」
「そんなこと分かっとるんや、静かにしてほしいな。精神統一してるんやから」
「嘘をつくんじゃない。精神統一とは名ばかりで、どうすればうけるかを考えているだろう。
君のことはすべてお見通しなんだから」
「あたりまえやないか、自分のことなんやから。ほんまに怒るで」
「悪かった。でも、これだけは言っておく。あの娘にうけようとしてやると、かならず失敗するぞ。
無心でやったほうがいい。そうすれば、結果的にあの娘も君を注目するかもしれん」
「おおきに、ありがたい忠告していただいて。でもな、そうはいかんのや。
今日は絶対に失敗は許されへんのや。絶対に成功させるんや」
「君はなにか勘違いをしているようだ。成功って、いったい何のことなのだ。
ミーティングは、何のために誰のために行なわれるのか。答えられるか」
「そんなことは分りきっとるやないか。みんなが仲良くなるためのイントロダクションや。
知らないもの同士の気持ちをほぐして、うちとけあえるようにするためや」
「それだけなのか」
「それだけかって、ほかになんかあるんか」
「ほんとうに他意はないか」
「そんなあ、ないことはないけど。まあ、ええやないか」
「よくはない。ハッキリと自覚しておかなければいけない」
「なんや精神分析みたいなこと言いよるな。わかりました、たしかに多少の下心がありました」
「ほんとうに多少か、それにどんな下心か」
「偉そうに言いよるな。こうやって喋っているけど、あんたにとっても自分のことなんやで。
はい、あの娘にいいところをみせて、ぼくのことを好きになってほしいと思いました」
「悪いとは思っていないな」
「あたりまえやないか。どこが悪いんや。人間としてふつうの感情やないか。
人を好きになるってことは麗しくも崇高な行為、じゃないんですか。まちがってますか」
「強弁してはいけない。人は自分の非を意識するとき、往々にしてぎゃくに強くでるものだ。
まあ、自ら認めているようなものだな。よいか、私は好悪の感情を悪くいっているのではない。
そのためにとる手段として、ミーティングを使うことが適切かどうか、といっておるのだ」
「それは、多少問題があるかもしれんな。職権乱用とかなんとかといいたいんやろ。
べつに、町同心が商家の娘を手籠めにするわけでもあるまいし、かまへんのとちがうか。
司会者の立場を利用するいうても、世間的には許容範囲やと思うけど…」
「類例が古めかしいな。それにステレオタイプだ。すこしがっかりしたな。
わたしの、つまり君のといっても同じことだが、言いたいことはこういうことだ。
あの娘のことがそんなに気になるのなら、まずそのことを忘れよ。
あの娘のためにではなく、みんなと楽しくすごすことに集中したらどうか。
それがまわりまわって君のためになるのではないか、と思うのだ。
後ろめたさを感じてまで、りきむ必要はない。そうすることは、君に精神の安寧をもたらさない。
もっと大きな観点から行動したいのではないか。例えば、人類の平和のためとか。
べつになんでもいいのだが、多少偽善的な行為のほうが気が楽ではないか」
「なんか、言いたいこと言ってくれますね。まあ、ぼくはあなたでもあるわけだから、いいのか。
ぼくの言うことは、あなたの考えでもあるわけですよね。なんだか頭が混乱してきたなあ。
つまり、あなたは偽善的にふるまえといってるんですか」
「偽善的行為も、それを自覚していれば行い得るといっているのだ。
わかりやすくいえば、馬鹿とハサミはつかいよう、ということだ。
知って行動するのと、知らずに行動するのでは、同じ行為でも意味がちがってくる。
行為の正当性ということではなく、あくまでも自覚的行為を意識せよ、といっているのだ。
少しは理解できたかな。たぶんわからんと思うが、どうだ」
「つまらんな。むずかしげにいうところが、あなたの弱点ですね。底が知れてるな。
ふつうの言葉でしゃべられへんのかなあ。あなたこそ自覚的行為、この言葉嫌やな。まあ、いいか。
あなたは自分で自分のいってること、してることを、わかってないと思うな。
それに、だんだんと言うてることが変ってきてるで。
結果オーライでいけ、ということ?なんや言動が分裂病みたいやで。
あんたの好きな言葉でいうとスキゾフレニア、か」
「それをいうなら、あの子に『好きぞ、ふるなや』のほうが、洒落ていないか。
冗談はさておき、君はつくづく根が真面目であるな。
それもくそがつくくらいのレベルだ。そのくせ、みょうに姑息でもある。
なかなか興味深い症例、といえなくもない。
ふだん通りにやればいいのではないか。このへんで、わたしは去るぞ。健闘を祈る」
「なんや、あいつは…。そうやな、結果ばかりを先に心配しても仕方がないんや。
自分でできる精いっぱいのことをやるしかないんやろな。
世のなか、なるようになる、や。なせば成る、なにを成すかが問題やけど。
すこしは気持ちもスッキリしてきたな。みんなと一緒になって、楽しんだらええんや。さあ、頑張っていこう」

2282菜の花
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島を旅するときが楽しいですね。
遠くに眺めるのも好きです。
楽園なんてないんですけどね。

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