ムッシュの読書紀行
人生は旅のようだと言いますが、旅が人生かも知れません。 ぼくは活字中毒気味でもあり、旅はまだまだ続くでしょう。
07 | 2017/08 | 09
S M T W T F S
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

早春紀行(二十九)夜の大合唱
「そうそう、そうやって最後のところで頭をふるとやな、部屋の空気が押されて、
順々に移動する、ということは空気の渦ができるということになるな。
この空気の渦によって、音は空気の振動やからうまいこと混ぜあわされる、よな。
まあ、あまり深くは考えんといてや。要はタイミングやな」
何人か不審げな表情の者もいるが、ここは無視していこう。
「じゃあ、一回リハーサルやな、順番に歌っていくねんで。
横のパートに引きずられたらあかんで。動作も忘れんと、きれいに付け加えるんやで。
それから気を落ち着けて、おおきくのどを開いて…」
「そんなごちゃごちゃいうたら混乱するし、集中できんやないか」
「ごめん悪かった。では始めてみよう」

 ロックマイソウル、みんなで歌おう、
 ロックマイソウル、みんなで歌おう、
 ロックマイソウル、みんなで歌おう、
 オウ、ロックマイソウル

短い歌が一回終ると、次のパートも加わってくる。

 高くて登れない、
 低くてくぐれない、
 広くて回れない、
 オウ、ロックマイソウル

まずまずの重なり具合で、歌は進行していった。
二回目も無事終わり、最後にすべてのパートが加わってハーモニーとなる。

 ロック、マイ、ソーウル、
 ロック、マイ、ソーウル、
 ロック、マイ、ソーウル、
 オウ、ロックマイソウル

低音部の単調なパートが加わると、歌もいっそう奥行きを増す。
狭くもない部屋の窓枠が振動でふるえている。
一息いれて、さあ本番だ。
「じゃあ本番です。みんな頑張ってきれいな素晴らしいハーモニーを作りあげましょう。
おばさんも歌ってくださいね」
と、硝子戸の陰に立つおばさんにも声をかけた。

ロックマイソール

 ロックマイソウル、みんなで歌おう、
 ロックマイソウル、みんなで歌おう、
 ロックマイソウル、みんなで歌おう、
 オウ、ロックマイソウル

 高くて登れない、
 低くてくぐれない、
 広くて回れない、
 オウ、ロックマイソウル

 ロック、マイ、ソーウル、
 ロック、マイ、ソーウル、
 ロック、マイ、ソーウル、
 オウ、ロックマイソウル

 順調に三回で歌は重なり響きあって、終わりをむかえる。
このまま終わるのも惜しい気がする。もう一度歌おう。何度でも歌おう。
「盛り上がってきたぞ。もう一回始めから続けて歌ってみよう。せーの」
ぼくはおおきく手を振り下ろして、みんなの気持ちを導いた。
ふたたびうねるような歌声が部屋をゆるがせる。ぼくたちのこころもゆれている。
みんなは輝くような表情で煌めいているようだ。
明るい顔が、楽しそうな顔が、おおきく口をひらいて歌う顔が、ぼくには見える。
お腹の底からわきあががってくるような息吹きを感じることができる。
スポンサーサイト

この記事に対するコメント

この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
→http://moucheokuno.blog26.fc2.com/tb.php/957-3f823cc1
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

ムッシュ

Author:ムッシュ
島を旅するときが楽しいですね。
遠くに眺めるのも好きです。
楽園なんてないんですけどね。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カレンダー

07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

カテゴリー