ムッシュの読書紀行
人生は旅のようだと言いますが、旅が人生かも知れません。 ぼくは活字中毒気味でもあり、旅はまだまだ続くでしょう。
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喉元過ぎれば
熱中しているときにはどうしても全体像を把握するというようなことに神経がまわらないことが多い。
どうしてそんなふうに考えて行動してしまったのか、あとになってからでは理解できないということもままある。
時間的な制約があったろうし、とにかく何かしなくてはという強迫観念的なものもあったかもしれない。
まわりがひとつの方向へとむかっているときには、ひとり逆志向することができなかったりする。
それはそれとして、そんなことを考えたことすら忘れてしまっているということがあるのはなぜだろう。
この日本社会のなかで生きるための術ではないか、とすら思えてくることがある。
地震・雷・火事・親父(台風のことだともいう)といいならわすように、過ぎてしまえばそれまでだ。
すべてを水に流してしまおうとするのは、自然災害にくよくよしてもしかたがないという諦観でもある。
それはひとつの人生観なのだが、科学が発達してきてすこしは対処できると、なんとかなると考える。
過去の事例から予想しさらに安全率を上乗せしていのに被害にあう、と想定外であったということになる。
だが、本来自然はつねに想定の外にあるものではなかったのだろうか。

4035窓外

「隅田川の向う側 私の昭和史」 半藤一利 創元社 ★★★
東京向島生れの著者がサラリーマン稼業をしていたころ豆本年賀状というのを出しつづけていた。
一九八〇年から一九九五年までの十六年間のうちの三、四、五、六冊の豆本年賀状をまとめたもの。
当時の学生気質(ボート部という体育会系)や世相などわかって、なかなかおもしろいものである。
そんななか女性とやりとりした手紙に関してこんなたのしい話もある。
『彼女の手紙の封筒は封をしたところに、三カ所にわけて「つぼみ」といつも書かれていた。
「開かない」という意味だそうだった。こっちは「〆」ばかり、じゃ能がないと智慧をそぼって、
返書の封に√5としたためたことがある。
日向ぼっこのあるとき、彼女が訊いた。「あれ、どういう意味?」
私は得々として答えた。ルート5は、つぼみと同じ、開かないということ、菊池寛の小説にでていた。
上野さんはいったもんだ。「あんた、勉強が好きなのね。私と違って頭がいいのね」
このときほど、勉強がしたいなァ、と心から思ったことは、生涯に、ない。』
勉学に志すというようなことも、このようなちょっとした言葉をかけられた結果であることが多い。
わたしにはこのような経験がない、ということがちょっと哀しくもある。

「簡単に断れない。」 土屋賢二 文藝春秋 ★★★
どのような本がおもしろいと感じることができるか、ということは案外に個人差があるようだ。
では筆者の以下のような言説(?)を読んで、あなたならどういう感想をもつだろうか。
『「女らしい」性質は男が無理やり女に押し付けたという考え方もあるが、少なくとも今の時代は違う。
どんなに女が自由になっても、男(とくに中年男)のようになりたいと思う女はいない
(中年男でさえ、いやいや中年男になっているのだ)。
どんなに無茶なことをする中年女でも、自分が嫌う中年男のようになりたがるとは思えない。
納豆を嫌う者が納豆のようになりたがるだろうか
(オヤジのような言動をする女もいるが、自分をオヤジだと勘違いしているか、本当にオヤジであるかだ)。』
『幸福になるには努力が必要である。金がないと幸福になれない人は、金を手に入れる努力をするしかない。
やせないと幸福になれない人は、ダイエットなどの努力が必要だ。
だが、努力はつらい。つらいことが嫌いな人は幸福になることを断念するしかない。
そもそも、健康の快適さを求める人は、検査のような苦痛を嫌い、飲酒、喫煙などの快楽を求めるものだ。
金をほしがる人にかぎって金を使いたがる。やせたがる人にかぎって食べたがる。
おとなしい男にかぎって横暴な妻がいる。』
おもしろいと感じる人はさらに新たな著書に挑戦していただきたい。
ちなみに土屋氏は哲学者である。すこしは哲学に関する印象がかわりましたでしょうか。

「化粧するアジア」 呉善花 三交社 ★★★
書かれたのが一九九六年とすこし前になるが、上海、台北、香港、シンガポールを訪問してのレポートだ。
アジア人といっても、その地によって外見以上に人びとの価値観、美意識はちがうものである。
『本来「ナチュラル」といえば、自然な素肌の美しさを養いながらそれを生かそうとする、
淡く透明な感覚が魅力の化粧スタイルだといえます。
ところが面白いことに、韓国人にとっての「ナチュラル」とは一般に、
「ファンデーションを塗って素肌そっくりの色を作り、薄い口紅をつけること」となっているのです。』
おなじようにナチュラルな化粧といってもほとんど正反対というようなことがある。
香港では女性の働く場がたくさんあり、社会、職場進出には目ざましいものがあるという。
『それは、子どもをもつ働く女性の子育てが、大部分、両親やメイドさんに委ねられている、ということです。
だからこそ、香港には共稼ぎ夫婦が多いのです。両親に負担がかかることにも問題がありますが、
それよりもメイドさんの方により大きな問題があると思います。
メイドを多く雇うことのできる国は、例外なく一般市民以下の低賃金で働く労働者が豊富に存在する国なの
です。アメリカなどはその代表的な国の一つです。
そこには、いうまでもなく大きな所得格差、社会的な差別が存在しています。』
ということを忘れた議論は、非現実的なものとなる。
呉さんは以下のような感想をいだくのだが、急激に経済を発展させている華人社会に共通するのだろうか。
『上海、台北、香港、シンガポールとめぐってきて、つくづく思うのですが、これら華人消費都市では、
強固なブランド指向、高級品指向に象徴される「ステイタス消費」が一貫していて、
シンガポールでそれが極まった、という感じです。』
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遠くに眺めるのも好きです。
楽園なんてないんですけどね。

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