ムッシュの読書紀行
人生は旅のようだと言いますが、旅が人生かも知れません。 ぼくは活字中毒気味でもあり、旅はまだまだ続くでしょう。
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早春紀行(四十二)目的論的人生
「うまく説明できるというのか話せるかはわからんけど、こう思っているんや。
野望をいだくにはその前提となるものがあるはずなんや、と思う。
その前提とは、人生は野望をいだくに値するものだという信念なんや。
これは一見すると、循環論法のように聞えるかもしれへんな。
たとえば、鶏が先か卵が先かといった話がそうやな。
野望をいだく信念があるから野望をいだくのであって、ということがいえそうや。
それは野望をいだくことの理由なり説明にはなっていないんと違うか、となるな」
「それはそうですよね」
「すこしいい方を変えてみようか。
ぼくはなあ、人生にはっきりした目的なんかない、と思っているんやな。
それに、なんでもかんでも目的目的っていう、目的論的人生観というのはどうかな。
疑問を感じているというのか、それってウソ臭いのと違うんかと思うんや。
その目的っていうのは、じつは進歩とかいった概念と親戚らしいと睨んでいるんや。
進化が進歩と混同されたように、ということや。
目的のない人生に意味はない。つまり、そんな人生なら生きるに値しない。
とどのつまりは、そんな人生観をもっている人間はクズや。
そう暗黙のうちに主張しているようで、なんやおかしいのと違うんかと思うのや。
野望というのは、しばしば経済と結びつくなあ。
経済的に成功した者が、人生においても成功者である。
お金がすべての価値の基準となり、繁栄の基礎をなすものであり、
人間は経済の発展をめざして生きていく動物である、とかなんとか。
大阪商人みたいやと思うか知れへんけど、大阪商人というのはほんとうはそうではないんやで。
ケチに撤して、使うべきところでは、ぱーっと使うというのがほんまの大阪商人や。
まあ、こんなことはこの話とは関係ないけどな。
お金のために生きて、最後にはお金を貯めるのが目的になってしもうたら本末転倒や、
ということは誰でもわかるんやけど、頭に血が昇ってしまうんやろな。
最初は目的を達するための道具であったものが、いつしかめざすものに入れ替わってる。
手段が目的化しているということは、ほかにも結構あるんやで。
たとえばやで…。
そやな、恋に恋するっていうのもそれと似たりよったりやで」
「恋に恋する、か。そんな女の子がときどきいますよね。わたし、大っ嫌い」
「まあ、そう言いなさんな。恋に恋するのは、哲学的でもあるんやな」
「どうして哲学的になるんですか。あんな、へなちょこなのに」
「へなちょこかどうか知らんけどな。本人も気づかずに哲学してるんかな。
哲学のことを形而上学とかいうたりするやろ。
形而上学って、メタフィジクスのことやな。
このメタという言葉が、ここでのポイントなんやで。
なんか講義みたいになってきたけど、まあ気楽に聞いといてや。
メタは高度のとか、抽象度を一段あげたとかいうことらしいんやけど。
これってなんだかわかったような、わからんような説明やな。
ぼくもうまく説明できないんやけど、話しているうちにわかってくるかな。
たとえば、よくつわれるのにメタ言語というのがあるな。
これは、ぼくたちが普通につかっている言語、言葉でもいいけど、について述べた言語。
つまり言語について述べた言語のことをいうわけです。
当然、どんどん抽象度をあげていくことができるわけやな。
だから、メタ言語のメタ言語は、メタメタ言語ということになるのかな。
ということは、恋に恋するというようなことは、メタ恋ということができるし、
これができるということは高等な動物にのみ許された行為ということやな」
「そういわれればそうだけど、なにかいまひとつ納得できません。
そうなんですか、メタ恋愛ということになるんですね。
でも、メタなんとかって人間だからできることなんですね。
そういうところは面白いなあ」
「でもって、メタ操作を行なえるヒトは、いつしか迷宮に入りこむ。
メタの次元は限りがないんやなあ。果てしがないんや。
無限に次元をあげていくことができるということやな。
実際はそんなことをしても意味がないようだけど、可能やということには意味がある。
これって、コンピュータゲームに似ているかも知れへんな。
精巧にできていればいるほど、現実とゲームとの間が不明確になってくる」
「リアル感が、ヒトを惑わすわけですね」
「そういうことやろな。
意識では現実じゃあないとわかるんだけど、しかしとね。
最初の話にもどるけれど、オレは一体なにをしていたんだろう、なんてね。
なにかに向かって歩みはじめたはずなんだけど、
いつしかどこに向かっていたのかが自分でも判らなくなってしまう。
めくるめく、ゆらゆらと眩暈を感じているかも知れへんな。
この眩暈を感じること、これがヒトの特質かもしれない、そう思えてくるんや」

4228阿
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