ムッシュの読書紀行
人生は旅のようだと言いますが、旅が人生かも知れません。 ぼくは活字中毒気味でもあり、旅はまだまだ続くでしょう。
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読書の深み
読書は深みがあると言いたいのではなく、ぬかるみに足を踏みいれるが如くに深みに陥るのほうである。
人間生きているといろんな深みにはまるものだが、はまらなければ見えないものがあるのだという。
つまり経験してみないことには、どうしてもわかりえない領域が厳と存在しているというのである。
だが、人生は有限でありかつ短いものだから、それではなんとしても不満なのだという御仁がでてくる。
それに経験してみなければといっても、なにを経験したいのかそれすらもわからない時期があったりする。
他者のこころのなかが分かりきるとは考えないが、それでもどう感じたのかどう思ったのかは興味がある。
読書で手にとるように理解できるとまではいえないが、それでも先人の考えや悩みが行間ににじんでいる。
いにしえの賢人、奇人たちに逢えないまでも、ほんの後姿でも見える思いがするから不思議なものだ。
人生の深みに潜んで、ひがな一日虚空をながめつつ暮らす、そういう日があってもいいのではないか。

4445ベンチ

「がんばらない生き方」 池田清彦 中経出版 ★★★
ときにがんばれって言ったりしますが、いつも頑張らなくてはと思っているのはどうかなということです。
『効率重視、成果がすべての世界では、「無駄」は絶対悪とされがちですが、
場合によっては「無駄」も結構大事です。
元来、生物の世界なんて無駄のオンパレードです。
例えば「免疫」を例に取ると、T細胞と呼ばれる細胞の役割がとても重要なのですが、
生物はまず、そのT細胞をとにかく数多くつくる。ざっくり言えば、デタラメにつくるのです。
で、デタラメにつくられた無数のT細胞は、胸腺という部分で、いわば“検査”されます。
でも、真に「T細胞」と呼ぶに相応しい外部抗原に対応できる力を持つものは、たったの三パーセント。
つまり、九十七パーセントは無駄ということになります。これらの無駄な細胞は胸腺で殺されます。
ではなぜ、最初から、その三パーセントをつくらないのか。
それは外部抗原に対応するものだけをつくるなんて、難しくてできないからです。
T細胞に関しては、ほかにも「無駄」と言える部分があります。
具体的には、はしかの抗原をやっつけるT細胞が存在しますが、
今は生涯、はしかの抗原とは無縁の人もかなりいます。
そうなるとそのT細胞は生涯、その人の体の中でブラブラと、ほっつき回っているだけで終わってしまう(笑)。
では、そういう無駄を一切排除して、ギチギチのところで生物が存在できるかといったら、答えはNOです。』
科学の世界では無駄はあたりまえのこと、逆に無駄なくして成果はありえないとさえいえる。
無駄とも思える実験の繰り返し、積み重ねがなくては到達できないものがある。
それは無駄だというのはけっこう後理屈が多いのではないだろうか。つまり、成果が得られなかったという。
いまでは一斉風靡している(?)事業仕分けなどもそういう面がなきにしもあらず、と考えたりする。

「ロードサイド・クロス」 ジェフリー・ディーヴァー 文藝春秋 ★★★★
本作はリンカーン・ライム・シリーズではなくカリフォルニア州捜査局捜査官キャサリン・ダンスが主人公。
ダンスはキネシクスの専門家で、キネシクスとは表情・動作・身ぶりなどから隠された本意を知ること。
たとえば、口では知らないと言っていても、ボディランゲージは知ってると表現しているということがある。
だから尋問によって相手の供述が嘘であることを知ったり隠していることがあると察知できるというのだ。
このキネシクスは、すこしまえのプロファイリングにかわって最近の流行になりつつあるのだろうか。
まあ以前からボディランゲージとして知られていたことを、犯罪捜査にも役だてようというだけのこと。
で今回は、人気のブログに書かれた記事によせられたコメントがひとりの高校生をバッシングする。
だがこうした中傷をおこなった人が次々に襲われるという事件が発生するという事態に発展した。
ある意味ネット社会がかかえる問題を提起するという本作は、ミステリとしてもよくできている。
二転三転はあたりまえで、読みながら真犯人は誰と予想しつつことごとくくつがえされていくことになる。
うーん、でもリンカーン・ライムのほうのシニカルさが好きだという読者も多いかもしれないという感想だ。

「話せぬ若手と聞けない上司」 山本直人 新潮新書 ★★★★
山本氏は博報堂でコピーラーター、研究開発を経て人事局で若手育成の仕事に長くたずさわった。
そのなかでのいろいろな経験によって、氏は本書を書いてみようと思われたのだろう。
「理不尽症候群」と呼びうるような新人たちがいるという。
『仕事を始めた新人から「理不尽」という言葉が出てくることがやたら多いことにやがて気づくようになった。
「とにかく部長の言うことが理不尽なんです」
「得意先が理不尽だから嫌になりますよ」』
これはどうも自分の仕事が評価されなかったときにつかうらしい。
そういえば、若手のお笑い芸人もネタのなかで相手を断罪するときに「理不尽」と言ったりする。
まさに切れ味するどいことばで使い応えがあるのだろう、とわたしも想像している。
『「もしかしたら彼らは『理不尽な経験』が少なかったのでは」というのがその仮説である。
逆に言えば「学生時代までに理不尽経験を適度に知っている」ということが
結構大切なのではないかと思ったのだ。』
過保護家庭で育った若者は、はじめて社会にでてそのギャップに戸惑うのである。
優劣をつけない教育の場から、できるものが勝ち組だというある意味理不尽(?)な世界へ。
だからこうすればああなり、こうしたからああなるゲームの世界には安心感していられるのではだろうか。
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遠くに眺めるのも好きです。
楽園なんてないんですけどね。

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