ムッシュの読書紀行
人生は旅のようだと言いますが、旅が人生かも知れません。 ぼくは活字中毒気味でもあり、旅はまだまだ続くでしょう。
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木の芽どき
すこしずつだが気温があがって、暖かくなってくると木や草は芽吹き緑が視界にひろくはいってくる。
雑草を抜いてという要望をうけて、いざと思ってしゃがんでみるがどれを抜けばいいのかがわからない。
春や秋の七草と呼ばれるようなものは、ガーデニングを楽しむ人から見ればほぼ雑草の区分にはいる。
これはどっちと訊きながら抜いていくのだが、そこにはもう草たちとともに蟻がいそがしく働いている。
どこへ行くのやらとか、なにか食べものは見つけられたのだろうか、としばし考えてしまうのである。
ちっぽけな石ころであっても、蟻たちからすれば巨大な岩石(?)にも相当するのかなと思ったり。
枯れた茎は道をふさぐ大木であり、草叢はジャングルにもなるのだなどと胸をおどらせたりしてしまう。
そこへ突然雷鳴のごとくに、「ちゃっちゃとやらんと日が暮れるよ」と春の嵐も吹いてくるのである。
そんなにと振り返ると、「雑草という草の名はないんでしたね」とにっこり笑顔が降りそそいでもくる。

4429木の芽どき

「博士の愛した数式」 小川洋子 新潮社 ★★★★
『彼のことを、私と息子は博士と呼んだ。そして博士は息子を、ルートと呼んだ。
息子の頭のてっぺんが、ルート記号のように平らだったからだ。』
こうして記憶が一九七五年で途切れてしまった数学者と、家政婦とその息子の物語がはじまる。
事故の影響で、博士の記憶は八十分しかもたない。といわれても、具体的なイメージはもてないだろう。
昨日はあんなに阪神タイガースの話題で盛りあがったのにと思っても、今朝はまた他人からのスタートだ。
博士は数学の話をしていると目を輝かせている。博士を喜ばそうと私は頑張り、そして発見した。
28の約数を足すと、28になった。
28:1+2+4+7+14=28
これは完全数とよばれる。博士の好きなタイガースの江夏は背番号に28をみずから選んでいた。
こんなに切なくて哀しくて、でも生きているだけでなんだかしらないけど素晴らしいんだ。
世間的な出世や成功とは縁がなく、ただ数学の世界に生きる博士をみてなにかを考えないわけがない。
映画の成功もわかる気がする(見ていませんが)、そんな小説でありましたね。

「昭和史探索 1」 半藤一利編 ちくま文庫 ★★★★
『しばしば説かれてきていることではあるが、「歴史」とは英語で「ヒストリー」というように、
それは物語(ヒストリー)であり、またそこに面白さもあるのである、と。』
しかし、まったくのフィクションではないのが歴史であることはいうまでもない。
だから、こういわれる。
『史料をもって語らしめよ、という言葉の意味深いところはそこである。』
よって、歴史書の良し悪しはその採用された史料の質によるということにもなるのだ。
昭和元年生まれの有名人はすくない。それはこういう事情だからだ。
『実際の昭和の幕開けは、昭和二年からということになる。
昭和元年は十二月二十五日から三十一日までの一週間にすぎなかった。
いろいろな問題の山積みになっている国政・外交・軍事を引き継ぐ昭和天皇は当時、
まだ二十五歳の青年である。』
今回は昭和元年から四年にかけてのこと。
なんといっても大事件は、日本陸軍が起こした昭和三年の張作霖爆殺事件である。
詳しくはご自分でお読みいただきたい。なるほどこういう経緯だったのかとうなずかれることだろう。

「はい、泳げません」 高橋秀実 新潮社 ★★★★
とにかくなんだかおかしくて、読んでる途中でなんども声をだして笑ってしまった。
登場する鬼コーチの高橋桂さんてどんな女性なんだろうかなんて想像しながらどんどん読みすすむ。
コーチとタカハシ(著者)のバトル的会話がなんともいえず、またこれがおかしく哲学的だ。
世に水泳教室や水泳入門書(?)は数知れないだろうが、ここが本書が最高峰だと断言できる。
桂コーチは、水をかこうとしないようにと言う。さらに、浮こうとするな、浮こうとすると浮力を殺してしまう、と。
泳げない人の最大の難関は息継ぎなのだが、息を吸うのではなく吐け、吐けば勝手に息が入ってくる、と。
究極は、泳がないで下さいとまで言うのだった。
『「泳ごうとするから、手足がどうした、息継ぎがどうした、あれもしなきゃこれもしなきゃと
焦ってしまうんです。最初から泳ごうとしてはいけないんです」』
そして、からだが真っ直ぐに伸びればすすんでいくというのだ。
男性(理屈からはいる)にとっては非常にわかる、そうそこのところが知りたかったのだと賛同するだろう。
その他詳しくは本書を読んでいただくとして、わたしはもうすっかり泳ぎの奥儀を見極めた気分だ。
もしもできなければ、また読めばできるに決まっているという安心感があるからだいじょうぶだ、と思う。
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